開催時間 |
14時00分 - 19時00分
金-土は20時00分まで |
---|---|
休み |
日曜日,月曜日,火曜日
※火曜日はアポイントメント制 |
入場料 |
無料 |
この情報のお問合せ |
Masumi Sasaki Gallery
|
情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒135-0007 東京都
江東区新大橋3-17-10 水野ビル1F |
---|---|
最寄り駅 | 森下 |
電話番号 | - |
愛知県立瀬戸窯業高校にて陶芸を、武蔵野美術大学で映像を、セツ・モード・セミナーで絵画を学んだ森田は、陶器の肌のような下地をつくり、その下地を削ぎ落とすことや、下地の上にステンシルの技法を用いてモチーフを描くことで、寓話的で内省的な世界観を持つ作品を描きだしてきました。
森田が手がける絵画の下地は、ブラシとペインティングナイフによって生み出される陶器の肌のような絵肌です。そしてその絵肌は”ぼかし”や”かすれ”を持った奥行きのある作品背景に見立てられ、そこにモチーフが描かれていきますが、この独自の手法は、森田が陶芸を学んだ際に得た感覚に加えて、自身が影響を受けていると語る長谷川等伯などの水墨画家が用いる技法を感じさせます。
また、森田はステンシルの技法を使うことや、画面の背景を引っ掻くことでモチーフを描いていきます。筆でモチーフを描くのではなく、顔料を重ねることや、顔料を削ぎ落とすことで強調される物質感や工芸感を大切にしているのは、森田が“美術と工芸の間にある要素を取り入れること”を制作のコンセプトに掲げていることに加えて、今の時代にあえて絵画というモノを制作することについて考察を続けているからにほかなりません。
幼い頃にレフ・アタマーノフやミヒャエル・エンデの作品に影響を受けたと語る森田の作品世界は、神話や絵巻物の一場面のようです。描かれる国籍も性別も年齢もはっきりとわからない人物(のような存在)や動植物の様子は、誰もが一度は心に留めた情景であり、普遍性をもってわたしたちに語りかけてきます。
森田晶子コメント:
子どもの頃、「時間とは?」と考えると微塵も分からない不可思議さに吸い込まれていくようで怖くなることに気づき、それを愉しむひとり遊びをしていました。しかし日々に追われる今では当たり前の秩序の一つとして暮らしています。
そして永遠かもしれない時間に対して自分の限りある時間について考えるようになると、物事も生命も雷光のように強く閃いて、凄い速さで儚く消えていく、と感じるようになりました。それに伴い、難問ひしめく世の中で、閃光のような「今」の憐れさを肯定できたならという恥ずかしい欲が生まれてきました。
また数年前にデジタルで描くことを覚え、デジタルの軽やかな利点を感じると同時に「今」「眼前にあり手に取れる絵」を残そうとする行為についてこれまで以上に考えるようになりました。あえて物体として絵画を残すという行いもまた恥ずかしくて憐れな欲求であり、小さな肯定そのものだと思っています。