中村 昇・辻 政博 二人展

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会 期
20241016日 -  20241020
開催時間
13時00分 - 19時00分
20日の最終日は、13:00〜17:00
クリエイター在廊

辻政博は全日在廊。中村昇は金曜日は不在。
入場料
無料
展覧会の撮影

メディアに掲載等の場合は、連絡ください。
子連れ
この情報のお問合せ
masatsuji@jcom.home.ne.jp
080-5496-8167
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
ぎゃらりー由芽のつづき
住所
〒181-0013 東京都
三鷹市下連雀4-15-1 和光マンション103
最寄り駅
三鷹
電話番号
0422-47-5241

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

中村 昇と辻 政博は、大学の同期である。というと同窓会的、情緒的な雰囲気を醸し出してしまうが、むしろ、この二者の関係が、卒業後も長らく続いたのは、単に友人としての親しさというよりも「制作」「表現」といったものを仲立ちしてのことである。思うに、若い頃に共有された経験は、その後の活動のベースとなっているのではないだろうか。それは、長い人生の過程の中で、個々の社会的な関係性が変転を遂げていく中で、自己のあり方を観測する基準のひとつとなっている。互いの存在や仕事は、自分を映し出す鏡である。久しぶりの展覧会が、現在の自分の姿を映し出してくれることを期待して、企画した。

中村は、高等学校卒業後、その当時、カメラの性能で世界に名を馳せていたニコンに就職し、超望遠レンズをつくる仕事をしていた。そのような生活の中、フェルメールの絵画作品を見て感動し、周囲の反対を振り切って画家を志した。美術予備校では、デッサンなどの基本的な方法を学ぶが、中村は、対象の描写に関して優れた技術を発揮する一方、そうした表現への懐疑ももっていた。中村のキュビスムやモンドリアンなどの絵画の抽象化への興味は、その現れであろう。キュビスムは、対象を多視点から眺め、形象を面に分解、再構成しながら総合化し、ルネサンス以来の視線の固定された線的遠近法の世界に革命的な改変を成した。

辻は、「全共闘世代」と続く「新人類世代」との狭間で高校時代を過ごした。蔑称としては「三無主義(無気力・無関心・無責任)」とも呼ばれた世代である。そうした風潮の中で、システムに取り込まれにくい分野ではないかとの思いから、アートの世界に興味を抱いた。これまでの辻の美術的な経験世界を区分して述べるなら、子ども時代(遊び)→予備校(アカデミズム)→大学時代のトレンド(現代美術)→子どもの世界(教育)という流れの中で過ごしてきたと言えるであろう。

大学では、共に、抽象コースを選択した。担当教官は、稲葉治夫(1931〜2010)、成田克彦(1944〜1992)、木村一生(1932~2015)、榎倉康二(1942〜1995)。当時は、絵画の抽象化や、さらに、モノ派、ミニマルアートなどの、素材そのものを表現の基点にした還元主義的な流れが先端であった。中村は、キュビスムの平面化をさらに推し進めた抽象的な絵画を制作していた。辻は、黒鉛などの素材を使って、身体性の強い還元的な表現を志向していた。

卒業後、中村は、多様な素材や方法を試行錯誤しながら制作を行ってきた。モノ派などの影響を受けながら、一時、勤務した家具の木工房の技巧などを取り入れ、寄木造りで制作したり、和紙など、多様な素材や技法を用いたりしながら、インスタレーション、立体と平面を並行して制作した。美術団体等には属さず、無所属での個人制作を行い、発表を継続してきた。また、あまり知られていないが、中村は、個人の制作の他、市民向けの絵画講座の講師を長い間、継続してきた。そこで、生徒たちに慕われたのは、中村の温和な人柄によるものであろう。

辻は、公立小学校の図工教師となった。そこでは、子どもたちは、美術史(界)的な文脈に縛られないアートの活動の面白さやよさを体現しており、驚愕し、のめり込んだ。美術教育の活動では、当時、教科存続の問題もあり、さまざまな活動に取り組むようになった。その後、大学での教員養成にも関わった。自己の制作では、布などの素材や支持体、環境などの関係性に着眼し、制作してきた。その中で、表現活動は、モノとして物象化されたものではなく、ヒトの生きる上での意味生成のメディウムであることを感じ、活動を進めてきた。

近年、二人とも、平面(絵画)の枠組みの中で制作を進めている。中村は、モノの表面に着目し、表層・中間層・深層の視覚的な絵画の構造を顕在化するような表現を志向している。辻も、絵画が層を成し、成立していく構造に着目しつつ、行為を通して現れる意味生成に関心を寄せ制作している。共に、強いメッセージの伝達を目的にした表現ではなく、また、キャラ立ちをさせながら物語化を図り、見る者を引き込むような手法でもない、むしろ、立ち現れた表象以前の、絵という「乗り物」について、媒体としての構造から、制作を通して思考し、新たなモノの見方や感性のあり方を探っていこうとする態度が共通していると考えられる。

関連イベント

ゆるりトークショウ「美術de表す・学ぶ・生きる」
参加無料
10月19日(土)14時~16時
ゲスト
穴漻 秀隆 國參院栃木短期大学、絵本学会会長代行、詩人
高桥 香苗 美術家、束京都园商工作研究会元会長
山廣 茂夫  Auther、美術家

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