牟禮 朱美 作品展 さなぎの中はだれも知らない

©Akemi Mure

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    会 期
    20240913日 -  20240926
    開催時間
    11時00分 - 19時00分
    入場料
    無料
    この情報のお問合せ
    ソニーイメージングギャラリー 03-3571-7606
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    Sony Imaging Gallery
    住所
    〒104-0061 東京都
    中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階
    最寄り駅
    銀座
    電話番号
    03-3571-7606

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

    —ある少女から渡されたリンゴには傷がつけられていましたー

    一般的な「思春期」のイメージは、あらゆるメディアによって流布され、肯定されています。その表現手法は、彼女らを扇動するときすらあります。しかし、わたしは定型の形に違和感があります。なぜだか思春期には遠さがありますし、未だにその時期の記憶が夢に出てきたりもします。もどかしいことに、言葉で表現すると修飾され、違った意味に変換されそうなので、口ごもりながらこの作品をつくりました。

    親や先生といった大人と10代の彼女らとの関係は(強者としての)撮る立場と(弱者としての)撮られる立場に似ています。ですから、思春期をテーマにするとき「観察」という手段をとるならば、写真は適するメディアだと思いました。また、客観的でありながら、意図せず主観的に喚起されるイメージの透過性は、みつめる行為そのものだとも思いました。

    撮影中、彼女らは制服を着て周囲に溶け込み、戸惑いながらわたしとある一定の距離を保ち続けます。ぎこちない会話も続かず、ただ唯一、レンズがお互いの依り代だったように思います。このような心許ないやりとりに決着をつけようと、答えを求めたくなりましたが、意味はふらふらさせておくことにしました。彼女らは制服と皮膚が擦れるとき、身体的には自身の存在に安心し、精神的には親から与えられた輪郭との齟齬を感じているようでした。

    数名を撮影したところで、制服が未完成な彼女らを外圧から守るさなぎにみえてきました。その制服は、彼女らの押し黙る表現を助けます。みる側に一旦考えさせることを保留にさせる力があるからです。でも私たちはその「制服を着た少女」というイメージを容易にたどってはいけないはずです。彼女たちが戸惑ったように、私たちも戸惑わなければいけません。差し出されたイメージを心地よく受け入れたのでは、したたかに戦略を組みながら垂れ流される映像を見ていることと同じだからです。

    結局彼女の変化の背景はわかりませんでした。しかし、うつろう彼女らをみつめていると、かつて少女だったわたしもうつろいはじめます。彼女らは、外へは余白としてとりあえず固定したイメージを与えておきながら(それはある意味求められているイメージでもある点に注意が必要ですが)、安全なさなぎの中で移り変わっているのだとしたら、わたしはわからないままに観察するべきだと思いました。このような行き来するまなざしにこそ、「思春期」という名でカムフラージュされている彼女らの「本当の態度」が立ち表れてくるのだと思います。

    牟禮 朱美

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