Kim Young、張益寧 / 虚構、幻視と鏡

Kim Young、張益寧 / 虚構、幻視と鏡
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    会 期
    20240917日 -  20240929
    開催時間
    12時00分 - 19時00分
    休み
    月曜日
    入場料
    無料
    作品の販売有無
    販売有
    この情報のお問合せ
    TOTEM POLE PHOTO GALLERY
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    TOTEM POLE PHOTO GALLERY
    住所
    〒160-0004  東京都
    新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F
    最寄り駅
    四谷三丁目
    電話番号
    03-3341-9341

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

    現代写真において、現実と虚構の境界はますます曖昧になってきている。私たちは、一見異なる2つの作品群を組み合わせることで、「虚構」、「幻視」、「鏡」という3つのコンセプトを通して、これらのパブリックイメージやプライベートな写真について、より多くの疑問を投げかけようとしている。

    ボードリヤールが『シミュラークルとシミュレーション』で述べているように、シミュラークルはもはや単に現実を映し出すものではなく、それに取って代わり、自己複製する虚構の世界を形成している。これらのイメージはもはや現実の物体を指し示すものではなく、独立した意味体系を構築している。この理論を現代のプライベート写真の実践に適用すると、ユニークな文化現象を観察することができる。プライベート写真は、人生を記録し、感情を表現するだけでなく、自己を深く探求し、レンズを通して撮影者の内的世界を外在化させ、視覚化されたシミュラークルとなる。このような鏡像は、現実の反映であるだけでなく、写真家自身のアイデンティティや感情の探求でもある。

    001.虚構
    写真は複製を通じて、現実を無限に再現することを可能にし、そのたびに現実はますます虚構に近づいていく。ヴァルター・ベンヤミンの『複製技術時代の芸術作品』に述べられているように、写真は現実を捉えながら、それを構築し、再形成することで、現実と虚構の間にあるイメージの世界を創り出している。Kim Youngの映像表現において、彼はカメラの機械的な眼を通して虚構の現実を再構築している。カメラの前にいる女性は、いたずらっぽく、あるいは冷静にカメラを見つめているように見え、シャッターが押された瞬間、彼女が提示する「鏡」のような存在感が貫かれている。それは、再構築された「超現実」の一部であるかのようだ。一見リアルに見える記憶が、画像を通してフレーム化されるとき、鑑賞者が共有する複製品は、鑑賞者自身のものなのか、それとも撮影者のものなのか。

    002.幻視
    ここでは、視覚は知覚の道具であるだけでなく、問題提起者でもある。私が推奨するのは、鑑賞者がイメージを漫然と眺めるのではなく、注意深く観察することである。シンプルで直接的な表現とは対照的に、視覚性はどちらの写真家にとっても不可欠な要素である。おそらく張益寧の「空」シリーズでは、鑑賞者はよりシュールなヴァーチャルな表現を見つけることができるだろう。多くのイメージが何度も改変され、再構築されており、それは作者自身の不完全な記憶に呼応するだけでなく、被写体のアイデンティティを曖昧にしている。同時に、元の規則や秩序も壊され、再構築されている。作者は外的なつながり(曲線や奇妙な組み合わせ)を用いてイメージを再配置しているが、その線が構築するのは単なる記憶の断片のモンタージュだけでなく、精神世界と夢の世界をつなぐ架け橋でもあるのだろう。

    003.鏡
    レンズを通して、写真家は自らの感情、記憶、アイデンティティをイメージに投影し、イメージを自己探求と表現の場とする。レンズはもはや鋭利な道具ではなく、写真家がイメージを通して自分自身のアイデンティティを映し出し、構築するための鏡なのだ。個人が鏡を通して自分自身を認識するのと同様に、撮影者はレンズを通して自己の内面を外在化させ、イメージは彼自身のアイデンティティの投影と反映となる。鑑賞者は、モデルを写真家自身の反映として見るのか、それとも自身の反映として見るのか。もちろん鏡の中には「他者」がいるが、それは鑑賞者自身の精神の投影ではないのか。

    イメージが氾濫する時代、単なるイメージはそれ自体の意味や価値を失ってしまったかもしれない。しかし、この「取り返しのつかない消失感」に対して、私たちは無力ではない。記憶とは本来あやふやなものであり、イメージはジグソーパズルのようなものである。私たちがすべきことは、それらを手に取り、配置し直すことである。私たちが目にする日々の現実が、実際のものなのか、それともシミュレーションによるものなのかはわからない。しかし、この非現実と現実が絡み合うゲームにおいて、たとえ観客であっても、参加者であってほしいと願う。

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