片山穣 We are “ noise ”

片山穣   We are “ noise ”

片山穣 We are “ noise ”

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会 期
20240621日 -  20240706
開催時間
12時00分 - 19時00分
最終日は17時00分まで
休み
日曜日,月曜日,火曜日
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
s+arts
情報提供者/投稿者
開催場所
s+arts
住所
〒106-0032 東京都
港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F
最寄り駅
六本木
電話番号
03-3403-0103

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

ろうけつ染めに独自の技術を加えた染色技法で作品を制作している片山穣。多くの制約が伴う中で綿密に計画され、幾度も繰り返される染色の作業工程と、それを成し遂げられる片山の技術と器量によって、絵柄が何層にも重なり、繊細な作品の表情を出すことを可能にしています。絵画とは異なり、「染め」は色を重ねても表面に凹凸が出来ません。しかしながら、何度も重ねられた色が糸の中に染み込み、制作過程で試行錯誤をした痕跡が生地の表面に現れることで、染料ならではの透明感のある発色と柔らかで深みのある表情が作られるのです。「制約が多く、修正の効かない手法で作品を制作することは、柵の多い社会の中でどう生きていくか考える事と似ている」と考える片山は、作品を通じて社会と共振し、新たな染めの可能性を探求しています。

片山がモチーフとする風景は、都心の交差点だったり、太陽の光が降り注ぐ海岸線だったり、時には動物や草花をクローズアップしたもの等様々ですが、そこから彼が引き出す静謐な空気感と染め特有の雰囲気を上手く交わらせることで、既視感のある日常の側に潜む気持ち良い瞬間にリンクするよう描いています。片山は、「Chill」という一貫した自身の作品テーマを掲げ、観る者が現実から離れて自身と向き合い、心を落ち着かせるための役割を持たす事を目指しているのです。また、近年の特徴の一つとも言える、作品中に散りばめられている点(ドット)は、蝋を用いてフリーハンドで描いた痕跡による図柄です。単純な行為の蓄積でありながらも、モチーフを干渉しない絶妙な間隔で並べられることにより、心地良い時の経過が感じられ、大小やドット自体の色彩に変化をつけることによって、感情の振れ幅と視覚的な効果がより強く感じられるよう工夫されています。

「今回の作品は、作品毎に焦点の合わせ方を変え視覚的な距離感を操作することで対象物との心理的な距離を示しています。
はっきりと見えるもの、ぼやけて形が歪んだもの、光だけで認識しづらいものなど、様々な捉え方を提示し主観的な視点の揺らぎを表現しています。クリアな視界の作品は細かいノイズで構成されつつも調和し、またぼやけた視界の作品では普段は雑然と見えるものが柔らかく一体感を持っています。そういった物事の輪郭が曖昧になり溶け合う景色を見ていると、私たち自身もそれぞれが個でありつつ俯瞰で見ると“人”という大きな存在の一部でしかなく、人種、性差、国籍、障害などあらゆるカテゴライズから解放された一つの生でしかないと思いました。

現代社会は情報網が発達していて何処にいても猥雑な情報が飛び交い、当事者以外の物事に傷つき怒りを感じてしまったり、正しいと思われていたことが間違っていると一方的に指摘されたりと誰もが誰かを傷つけ干渉し合っていると感じます。そんな中で様々な出来事に対しての距離感を探りながら自身の立ち位置について考察し、私たちは“普遍的に不協和音を与え合う存在”だということを受け入れ、どういったスタンスで物事と関わっていくかを、作品を通して探っていきたいと考えています。」--- 片山穣

以前より片山は、“ノイズ”と呼ばれる違和感を度々作品に含ませることがありました。例えば、美しく描かれた風景や動物の顔の一部が異なる色をしていたり、描かれた風景の中に実際にはいないはずの動物がいたり、綿密に考えられた心地良いノイズが入ることで、作品画面に広がる空気感により深みをもたらす効果を与えてくれています。本展「We are “noise”」では、焦点の合わせ方を変えることから派生する違和感と、人と人との関わり方や距離感を繋げ、作品を制作するために用いられる技術と作品に描かれている意味合いが巧妙に絡み合う、大変興味深い作品群となりました。

これを機に、個展の度に新たな技術と表現方法を見出し、複雑でありながらも美しく繊細な雰囲気で独自の世界観が印象的な片山穣の新作展を是非ご高覧ください。

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