長沢 秀之|『「C通信Ⅱ」ネクロポリ ー島』

“C89 月のウサギが向かうところ” 2023 年 インクジェットプリント、紙 ©NAGASAWA Hideyuki

“C89 月のウサギが向かうところ” 2023 年 インクジェットプリント、紙 ©NAGASAWA Hideyuki

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会 期
20240601日 -  20240702
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日曜日,月曜日,祝日
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
Gallery MoMo Projects
情報提供者/投稿者
開催場所
GALLERY MoMo Ryogoku
住所
〒130-0014 東京都
墨田区亀沢1-7-15
最寄り駅
両国
電話番号
03-3621-6813

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

 GALLERY MoMo 両国では、2024 年 6 月 1 日(土)から 7 月 6 日(土)まで長沢秀之の個展『「C 通信Ⅱ」ネクロポリ ー 島』を開催いたします。
 本展は、2022 年の個展『「C 通信」 ー 目の記憶 -』の続編となる展示で、長沢がコロナ禍で見た夢をもとに描いた鉛筆ドローイングを写真に撮り、さらに Photoshop で加工し、高機能プリンターでプリントアウトするという過程を経て展開してきた作品の展示となります。
 前回の作品では “オレたち” がひとウサギに「ここは死者のこたつです。オマエらはここに入れない。なぜならボディをもっていないからだ。早く出て行け!」と言われ、あちこちさまよう中で、死者の世界、時空を超えた世界に入っていくという構成で制作されました。しかし、本展では、はじめから死者の街であるネクロポリに入っていく場面が描かれています。
 長沢によれば、以前何回か訪れたことがあるイタリア、タルキニアのネクロポリの記憶が、ウクライナやガザの戦争とともに蘇ったと言い、前回の展示が、COVID-19 からの『なぞかけ』に応えようとするものであったように、今回は戦争や死が『なぞかけ』として作品に反映されています。
 今回展示する作品には、死者に関連する記述やモチーフとして石が頻繁に取り上げられ、実際の石も展示される予定です。その中で、「…死者と石は平等である」という言葉と共に「もっともめざましいのは、そのとき死者が生者とともにいることだ」(C 通信 119-1)と述べられているように死者の存在が大きなテーマとなっています。
 そして、もうひとつの大きなテーマとして長沢は「ボディ」について描き、言及しています。これは単純な肉体回帰的な意味でのボディではなく、現代にあって消えかかっていく肉体が、常に死者の側から見つめられ、石、珊瑚、地層から問いかけられています。
そして “オレたち” が最後にたどりつくのが記憶島 ( きおくしま ) であり肉体の島でもあることに「ボディ」の意味が表れていることでしょう。
 今回も、実際に紙に描いたドローイングは一点も展示されていません。しかし、作品として展示されている顔料インクのマット紙も、パソコンやスマホで見る透明な画像とは違ってひとつのボディとして区別されていることは明らかです。長沢にとってそれは人間の手(文字通りのボディ)とデバイスの手(もうひとつのボディ)による結合の結果でもあるのです。また、展示される一点の絵画は、世界を構成する粒子に関連したものであり、石を構成する粒子ともつながっています。これは前回の展示で提示した回析格子(構造色)へのひとつの応えにもなっています。
 前回、山本和弘氏に寄稿していただきましたが、今回は、椹木野衣氏の寄稿を得て、カタログを作成しました。会場にてお手に取っていただき、一つの作品として展示と共にご高覧いただけましたら幸いです。

長沢秀之は 1947 年埼玉県生まれ、72 年武蔵野美術大学卒業後、映画制作などを経て、79 年から美術作家として本格的な活動を始め、ギャラリーや美術館で絵画作品の発表を続けてきました。また 2018 年まで武蔵野美術大学油絵学科で若手作家の指導、育成にあたり(現在、同大学名誉教授)、2018 年から 2022 年までは神戸芸術工科大学の客員教授としても学生の制作指導に取り組みました。
 初期作品の「風景 -◯◯」シリーズでは、ひとが存在しうる「風景」を追求し、そこから見ることの仕組み(メガミル)や描かれるものの大小と遠近の問題などを提起する作品を発表し続けてきました。
 2000 年から進めてきたドットによる作品の皮膜シリーズでは、2次元の平面に奥行きが生じるという絵画の原初的疑問に応えようとしています。一方で 2014 年の当ギャラリーで発表の「絵画の中のあらゆる人物は亡霊である」展、ドローイング+文章の「心霊教室」展、2017 年の「未来の幽霊」展などは、画像がもつ人間とは別の視覚の解釈に絵画の奥行きを重ね、空間だけでなく時間や記憶の問題も提起してきました。     
 また、1954 年の映画「ゴジラ」への敬愛から始めた学生とのコラボレーションによる「大きいゴジラ、小さいゴジラ」展は、ビキニ環礁での米国の核実験の被爆と福島原発事故を結びつけ、深刻な問題と制作の楽しさが混じった展示として、いくつかの美術館でも展示され、大きな反響を呼びました。さらに 2015 年から続く「対話『私が生まれたとき』」は、奄美や神戸の住民との対話を通して生まれたプロジェクトで、ドローイングとことばによる展示のかたちは今回の「C 通信」シリーズにつながっています。

関連イベント

オープニングレセプション: 2024年6月1日(土)17:00 - 19:00

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