開催時間 |
12時00分 - 19時00分
最終日は17時00分まで |
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休み |
日曜日,月曜日,火曜日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
s+arts
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒106-0032 東京都
港区六本木7-6-5 六本木栄ビル3F |
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最寄り駅 | 六本木 |
電話番号 | 03-3403-0103 |
「自分自身の地層を作る。」と語る山本秀明は、豊かな自然の中で木と対峙しながら作品を制作している作家です。独自の手法により形成される作品は、観る者が吸い込まれるような圧倒的な存在感で多くの人々を魅了し、これまでに約15カ国の個人や企業に作品が渡る実績を持ち、国内外で高い評価を得ています。
山本作品の特異性の一つとして、無垢の木塊を彫り削るのではなく、松の角材を接着して積み重ね面を作り、ユニットにしたラフな形の表面をチェーンソーや丸鋸で削り出していく、という点が挙げられます。数え切れないほどの線を刻んだ後、松の樹脂や柿のタンニン等を用い、昔から日本で使われる手法で木を保護します。綿密に計算した上で構築されていく角材の束が、熟練された技術と研ぎ澄まされた感覚により削られ、荒々しさと繊細さが混じり合い、大変美しい存在感を纏った新しい形が生まれてくるのです。
昨年の個展「原点回帰」では、元々は油絵を中心としていた山本が、木を素材とした彫刻制作にシフトしたきっかけとなった、現在のアトリエでもある山小屋(ログハウス)作りを始めた頃に立ち返り、その時の心境を軸として制作に取り組んだ作品群を発表いたしました。“原点回帰”の続(つづき)とした本展では、前回生まれた作品から派生し、そこに含まれる要素(考え方、技術、構成、等)を用いて制作したと山本は話します。
「タイトルに沿って制作を進めると、楽に仕事に入れた。
面白い。気楽だ。自由に変化させられる。
緊張、不安定、不穏、気難しい自分がいない。
心の底から楽しい!という言葉を発することができた。
これも一つの制作手段なのかなと感じている。」--- 山本秀明
幼少期から地層に興味を持ち、縄文土器、化石等の発掘や、断層のでき方をずっと眺めては過去の物や事に思いを馳せる時を過ごしてきた山本は、木を素材として作品創りを始めた時、その頃の感覚が原点となって影響し、形となって現れてきたと言います。歴史や時間、生命感を強く感じたことから、角材を積み重ね、質感を出すために丹念に削ることで地層を連想させ、降り積もる時間の経過を表現しているのです。
近年の山本の制作姿勢を見ていると、歳を重ねると共に柔軟で開放的な印象になってきているように見受けられます。自身の軸となるスタイルを保ちながらも、新たな要素を作品に臆せず受け入れられるのは、長年拘りを貫いて制作を続けてきたからこそ、あえて考え方を固めず柔軟に保つことに努め、その先にある可能性を見出そうとしているからなのでしょう。
様々な技術と木材の性質を組み合わせ、年々複雑さと繊細さを増しながらも、形や色彩が加わりポジティブな印象を受ける作品は、自分の気持ちや感覚に素直に向き合い制作された作家自身の想いが反映されているようです。これを機に、山本秀明の新作群を是非お楽しみください。