内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙

カマルドリ会士シモーネ彩飾 《典礼用詩編集零葉》イタリア、フィレンツェ 1380年頃 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション(⾧沼基金)国立西洋美術館蔵

カマルドリ会士シモーネ彩飾 《典礼用詩編集零葉》イタリア、フィレンツェ 1380年頃 彩色、インク、金/獣皮紙 内藤コレクション(⾧沼基金)国立西洋美術館蔵

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    会 期
    20240611日 -  20240825
    開催時間
    9時30分 - 17時30分
    金・土曜日は20時00分まで
    ※入館は閉館の30分前まで
    休み
    月曜日
    7月16日(火)
    ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、8月13日(火)は開館
    入場料
    有料
    一般1,700円、大学生1,300円、高校生1,000円
    ※中学生以下、心身に障害のある方及び付添者1名は無料。入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください。 ※国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校の学生・教職員は本展を学生1,100円、教職員1,500円でご覧いただけます。学生証または教職員証をご提示のうえ、国立西洋美術館券売窓口にてお求めください。 ※観覧当日に限り本展の観覧券で常設展もご覧いただけます。 ※8月3日(土)は「おしゃべりOK『にぎやかサタデー』」を開催し、常設展・企画展ともに無料観覧日となります。
    作品の販売有無
    展示のみ
    この情報のお問合せ
    050−5541−8600(ハローダイヤル)
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    国立西洋美術館
    住所
    〒110-0007 東京都
    台東区上野公園7-7
    最寄り駅
    上野
    電話番号
    050-5541-8600(ハローダイヤル)

    詳細

    展覧会内容

    印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人々の信仰を支え、知の伝達を担う主要な媒体でした。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に人の手でテキストを筆写し、膨大な時間と労力をかけて制作される写本は、ときに非常な贅沢品となりました。なかには、華やかな彩飾が施され、一級の美術作品へと昇華を遂げている例もしばしば見られます。
    国立西洋美術館では2015年度に、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より写本零葉(零葉:本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とするコレクションを一括でご寄贈いただきました。その後も2020年にかけて、内藤氏ご友人の⾧沼昭夫氏からも支援を賜りつつ、新たに26点を所蔵品に加えています。
    国立西洋美術館は、2019-20年度に三期にわたり開催した小企画展で、内藤コレクションを紹介してまいりました。しかし、コロナ禍のさなかでもあったため、それらは小規模なものにとどまったと言わざるを得ません。こうした事情をふまえて、改めて内藤コレクションの作品の大多数を一堂に展示し、皆様にご覧いただくべく企画されたのが今回の展覧会であり、国立西洋美術館では初の大規模な写本展となります。
    本展は、内藤コレクションを中心に、国内の大学図書館のご所蔵品も若干数加えた約150点より構成され、聖書や詩編集、時祷書、聖歌集など中世に広く普及した写本の役割や装飾の特徴を見ていきます。書物の機能と結びつき、文字と絵が一体となった彩飾芸術の美、「中世の小宇宙」をご堪能いただければ幸いです。

    【本展の見どころ】
    ・国内美術館最大級の写本コレクション「内藤コレクション」から約150点を一堂に展示
    ・数年間にわたる作品調査を経て、国立西洋美術館初の大規模写本展
    ・鮮やかな色彩と遊び心あふれる装飾・・・中世彩飾芸術の粋を堪能

    【展覧会構成】
    1章:聖書
    聖書は中世ヨーロッパにおける最も重要なテキストであり、多数の写本が制作されました。内藤コレクションの聖書写本の中心をなすのは、13世紀のイングランドおよびフランスで制作された作例です。なかでも《聖書零葉》は、「創世記」冒頭を示す大きな物語イニシャルが目を惹きつけ、内藤コレクションを代表する一点となっています。またオックスフォードやパリで制作され、黎明期の大学教育の現場で使用された写本由来の例も見られます。さらに、14-15世紀の作例も数点含まれますが、それらにおいては、繊細で、ときに遊び心あふれる装飾が特色となっています。

    2章:詩編集
    神の栄光を讃える150編の詩からなり、旧約聖書の一書を構成する「詩編」は、修道院や教会の礼拝から一般信徒の私的な祈りまで、古来キリスト教徒の祈りの重要な要素をなしてきました。この「詩編」のテキストに、聖歌や祈祷文、教会暦(キリストの生涯を一年の周期にあてはめて編成した暦)に基づく暦などをあわせて収録した祈祷書が詩編集です。13世紀から14世紀中頃にかけて、イングランドやフランス、南ネーデルラント(現ベルギーにおおよそ相当)などを中心に一般信徒が私的な礼拝に用いる祈祷書として人気を博しました。内藤コレクションには、13世紀後半の南ネーデルラントおよびフランス北部、14世紀末から15世紀初頭のイングランドに由来する零葉を中心に、20件ほどの作例が含まれます。

    3章:聖務日課のための写本
    聖務日課は日々8回、定刻に行われる礼拝で、修道院や教会の典礼の基本をなします。その祈りで唱えられる全テキストをまとめて収録した書物が聖務日課書です。礼拝の進行を担当する司祭によって使用されるのが基本ですが、次第に一般信徒たちの間にも普及していきました。なかでも《『レオネッロ・デステの聖務日課書』零葉》などは、世俗の信徒のために贅を尽くして制作された華やかな作例です。聖務日課においてはまた、朗読集や聖務日課聖歌集、典礼用詩編集といった書物も使用されました。聖務日課聖歌集や典礼用詩編集は、集団で参照するために大きな判型を持ち、大型イニシャルなど華やかな装飾を伴うものも多く見られます。その一例、《典礼用詩編集零葉》のイニシャル挿絵からは、これらの書物がどのように使用されていたかをうかがい知ることができます。

    4章:ミサのための写本
    修道院や教会における中心的な典礼であるミサは、キリストの十字架上での犠牲と復活を再現し、記念する礼拝です。ミサのために編まれた代表的な書物がミサ典礼書です。ミサ典礼書には、司祭とその補佐役が唱え、あるいは歌うテキストのほか、聖歌隊が歌う聖歌が所収されています。また、ミサの中で朗読される福音書や使徒書簡集のテキストを収めた朗読集も編纂されました。ミサで歌われる聖歌を楽譜とともに収録したミサ聖歌集も用いられましたが、ミサ聖歌集は、聖務日課聖歌集と同様、集団で参照するために大型の判型を持つものが多く、大きなイニシャルや華やかな余白装飾を含む作例もしばしば見られます。

    5章:聖職者たちが用いたその他の写本
    5章では、聖務日課やミサ以外の用途で聖職者たちが用いた写本由来、ないし親写本の用途を特定するのが難しい作品群をご紹介します。司教定式書(司教が執り行う諸儀式で朗読されるテキスト類を記した書物)や、13世紀のフランシスコ会士の著作で、聖職者にとどまらず広く読まれた『説教術書』の写本に由来する作例がその中心となります。このほか、由来元となる写本のジャンルを厳密に特定することはできませんが、典礼の際に聖歌隊が用いた聖歌集より切り取られたイニシャル5点もご紹介します。

    6章:時祷書
    聖職者や修道士の聖務日課に倣い、一般信徒たちも日々8回、毎日定められた時間に私的な礼拝を行っていました。時祷書はこの礼拝で用いられた書物で、内容的には、聖務日課書を一般信徒向けに簡略化したものとなっています。中世において最も多くの写本が制作されたのは時祷書であり、ゆえに「中世のベストセラー」とも称されます。こうした事情を反映するかのように、内藤コレクションにおいても一番数が多いのは時祷書、およびこれに準じる祈祷書の零葉となっています。王侯貴族や高位聖職者の注文で制作された時祷書の写本の中には、有名画家が挿絵やページ余白の装飾を手掛けた豪華な作例も存在します。一方、パリなどの主要都市では、既製品としての写本を効率的に制作する動きも見られました。また、時祷書に対する高い需要に応えるべく、15世紀末から16世紀には印刷技術も写本制作に取り入れられました。本章では、そうした時祷書の印刷本の零葉も4点ご紹介します。

    7章:暦
    7章では、写本に収められた暦を特集します。キリスト教における日々の礼拝の内容は、教会暦に従って決まります。このため詩編集や聖務日課書、ミサ典礼書、時祷書などでは、巻頭に暦が所収されているのが通例でした。それらには、しばしばミニアチュールによる挿絵も添えられます。その中心的な主題としては、各月に典型的な農作業あるいはレジャーの情景や、月ごとの星座図が挙げられます。こうした挿絵はどこか親しみやすいもので、暦ページは、写本ファンの中でもとりわけ人気があります。

    8章:教会法令集および宣誓の書
    8章の中核となるのは、教会法令集由来の作品です。教会法令集とは、教父文書、公会議決議、教皇令を中心に、カトリック教会が、その組織運営や信徒たちの信仰、生活に関して定めた法文を所収した書物のことを言います。ご紹介する5点はいずれもその註解書で、びっしりと書き込まれた細かな文字からは学問的情熱が伝わってくるようです。また8章では「宣誓の書」の写本零葉もご紹介します。「宣誓の書」は、中世フランスで市参事会員や領主が、慣習法の遵守を「福音書にかけて」宣誓する儀式の際に用いられました。宣誓は開いたページ上に手を置いて行われ、出品作の表面の黒ずみも、そうした使用法に由来するものと推測されます。

    9章:世俗写本
    本展の締めくくりとなる9章では、世俗写本すなわち非宗教的な内容を持つ作例をご紹介します。うち1点は13世紀フィレンツェの人文主義者ブルネット・ラティーニの著作『宝典』の写本零葉で、大きな挿絵が特色をなします。このほか、16世紀ドイツのトーナメント書に由来する例、および同じく16世紀スペインで発行された貴族身分証明書をご覧いただきます。内藤コレクションの大半を占めるのは、キリスト教関連の写本に由来するものです。その中で、若干数ながら存在する世俗写本は、コレクションに厚みをもたらすものとなっています。

    関連イベント

    ■講演会(事前申込制)
    「書物の中の小宇宙-文字と彩飾の饗宴」
     駒田亜紀子(実践女子大学美学美術史学科教授)
     6月23日(日)14 :00 〜15:30

    「西洋中世写本の生産、流通、蒐集」
     松田隆美(慶応義塾大学名誉教授)
     7月6日(土)16 :00 〜17:30

    ■トークコンサート(事前申込制)
    「写本から読み解くいにしえの響き」
     出演: アンサンブル・サリクス、櫻井元希(歌手・指揮者)
     ①7月19日(金)18 :00〜19:30
     ②7月20日(土)14 :00〜15:30

    ■スライドトーク(申込不要/当日先着順)
     解説:中田明日佳(本展担当/国立西洋美術館主任研究員)
     ①6月14日(金)18 :00〜18:30
     ②8月16日(金)18 :00〜18:30

    ■おしゃべりOK「にぎやかサタデー」
    会話しながら作品をご覧いただくなど、どなたでも気軽にそれぞれの鑑賞スタイルで美術館を楽しんでいただける、常設展・企画展が観覧料無料となる1 日「にぎやかサタデー」を8 月3 日(土)に開催します。
    開催日:8月3日(土)
    時間:9:30〜20:00 ※入館は閉館の30分前まで
    常設展、企画展「内藤コレクション写本ーいとも優雅なる中世の小宇宙」ともに無料
    ※通常の開館日も周りのお客様のご迷惑にならない範囲で会話をお楽しみください。
    ※詳細は公式サイトでご案内いたします。

    主催・協賛・後援

    主催:国立西洋美術館、朝日新聞社
    協 力:西洋美術振興財団

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