企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界

《竹取物語絵巻》(部分) 江戸・17世紀 泉屋博古館

《竹取物語絵巻》(部分) 江戸・17世紀 泉屋博古館

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    会 期
    20240601日 -  20240721
    開催時間
    11時00分 - 18時00分
    ※金曜日は19時00分まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
    休み
    月曜日
    7月16日(火)※7月15日(月・祝)は開館
    入場料
    有料
    一般1,000円(800円)、高大生600円(500円)、中学生以下無料
    ※20名様以上の団体は( )内の割引料金 ※障がい者手帳等ご呈示の方はご本人および同伴者1名まで無料
    作品の販売有無
    展示のみ
    この情報のお問合せ
    050-5541-8600(ハローダイヤル)
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    泉屋博古館東京
    住所
    〒106-0032 東京都
    港区六本木1-5-1
    最寄り駅
    六本木一丁目
    電話番号
    050-5541-8600(ハローダイヤル)

    詳細

    展覧会内容

    古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵から受けた感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。
    物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。また、ストーリーに流れる時間を表すかのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな表現が生まれました。
    古典文学は、後世の人々が自身に引き寄せて味わうことで、読み継がれ輝き続けてきました。それに基づく絵画もまた同様です。本展では、近世の人々の気分を映し出す物語絵、歌絵を、館蔵の住友コレクションから選りすぐってご紹介します。雅やかで華麗、時にちょっとユーモラスな世界をお楽しみください。

    [見どころ]
    1. 住友コレクションのやまと絵を一挙公開。
    当館が所蔵する住友家歴代収集の日本絵画には、繊細な描写と典雅な色彩を特徴とする絵巻・屏風の作品群が含まれます。それは、平安時代より培われてきたやまと絵の領域が一気にひろがった桃山から江戸時代前期(17世紀頃)のものです。かつて一部の貴人のためだったやまと絵は、より広い階層にむけて一段と親しみやすく視覚効果の高いものへ生まれ変わっていったのです。

    2. 知っているようで知らない古典文学。江戸時代の親しみやすい絵画を通じて、一歩近づく。
    江戸時代の人たちだって、みなが全編読破していたとも限りません。挿絵入りのダイジェストやパロディ本も人気がありました。屏風や掛軸には特に印象的な名場面が選ばれ、その時代ならではの好みや解釈も反映されています。それらに親しむうちに、いつのまにか文学の根底にある普遍的な人生の機微に引き寄せられていく――古典文学が読み継がれてきた理由はそのあたりにあるのでしょう。

    3. 細部こそ見せ場!高精細画像で心情・風情に迫る。
    絵巻は手元で、屏風は座敷で、ともに間近に鑑賞されたやまと絵は、細密な描写こそ本領ともいえるでしょう。
    文化財用高精細スキャナーで撮影した3点の物語絵屏風の拡大画像を会場にご用意します。ガラス越しでは見つけにくい表情や仕草、四季折々の自然など、ひとたび目にすれば古典文学にぐっと近づけることでしょう。

    [展示構成]
    1. うたうたう絵
    和歌とは、人の心に去来した感興を三十一文字の言葉に託して表すものです。そこに欠かせないのが、日本の四季折々の自然、そして人の営みでした。平安時代中頃、和歌の隆盛とともに広がったのが歌絵です。それは歌の意味からイメージされ、また詠まれた景物を素材として描かれたものです。反対に、描かれた景物に触発されて歌が詠まれることもありました。
    歌から絵へ、絵から歌へ――無限の連鎖のなかから新たな芸術は生まれていったのです。
    掛詞や見立て、本歌取りなど、和歌は限られた言葉を起点に、鑑賞者の知識や想像の力も借りて最大限の表現にいたる技に満ちています。歌絵もまた、シンプルなモチーフ、機知に富む構図を通じ、古来の言語・造形の積層を紐解きイメージを広げる余地を観る者に与えています。いにしえの画家たちからの一投に応え、私たちはその絵に何を思うでしょうか。

    2. ものかたる絵
    元来、物語文学は「語り」のことばどおり、音読して聞かせることが中心だったといい、早い時期から巻物などに描かれた絵を前に耳と目で味わう楽しみがありました。やがて言葉と書、絵からなる総合芸術となった絵巻物から、冊子、扇、掛物、屏風へと物語絵は広がります。
    とりわけ中世末から近世にかけての物語絵屏風は、大画面の特長を生かした装飾的で視覚効果の高い新たな世界を開きます。物語の各場面を一覧するものから、次第に場面数をしぼり、一場面を詳細にドラマティックに描く方向へと展開します。そこでは、場面選択や表現に、当時の鑑賞者の好みを映し出し、また新興の画派たちの創意が注ぎ込まれます。古代中世の見る側の想像の余地をのこした引目鉤鼻から、表情豊かな個性的表現へ――それを可能にするのも、長く読み継がれる古典文学のもつ普遍性のなせるわざでしょう。目を凝らして登場人物になった気分で物語の世界を眺めてみるのも一興です。

    3. れきしがたる絵
    明治時代には洋画・日本画を問わず、日本の歴史・神話・仏教主題・伝説を描く「歴史画」が流行しました。画家たちは歴史を正しくかつリアルに伝えるため、時代考証を究め、時に西洋画の技法を駆使して迫真的に描き出すことに腐心しました。歴史画を奨励した岡倉覚三(天心)は、「歴史画は国体思想の発達に随て益々振興すべきものなり」というように、歴史画は近代国家の形成において必要とされ、国家意識や民族意識を養分とし、あるいは西洋絵画における「歴史画」概念の輸入を受けて盛んに描かれるようになります。視覚的に国家の歴史を表す歴史画は、単なる歴史の記録にとどまらず、歴史意識の共有や国民の道徳心を養うために求められたのです。一方で思想を絵画に盛り込むことが求められた近代絵画において、歴史画はそういった抽象概念を可視化する最も適した画題でした。
    明治時代の思想家・高山樗牛は「歴史画の本領は歴史のために描くのではなく、絵画のために歴史を借りるのである」と言っていますが、果たして「れきしがたる絵」とは「歴史を語る絵」なのか、あるいは「歴史画たる・・絵」のどちらでしょうか?

    主催・協賛・後援

    主催:公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社

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