White Waters [玉山拓郎、C2D] 「腐るほどの金はないが、腐る金ならあるだろう(cream)」

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会 期
20240316日 -  20240414
開催時間
12時00分 - 19時00分
日曜:12時00分~17時00分
休み
月曜日,火曜日,祝日
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
LEESAYA
情報提供者/投稿者
開催場所
LEESAYA
住所
〒153-0064 東京都
目黒区下目黒3-14-2
最寄り駅
不動前
電話番号
03-6881-4389

詳細

展覧会内容

 White Waters(ホワイト・ウォータース)は玉山拓郎(たまやま・たくろう)とC2D(シー・ツー・ディー)からなるユニットで、2021年から活動を続けています。彼らは既存のルールやシステムを俯瞰し、その名の通り、形の定まらない液体のように、社会的・言語的な対立構造を軽やかにいなし、人々の常識や思い込みの隙間に入り込むような試みを続けています。彼らは自身の活動を「コンセプチュアル・サポート(構想の支持体)」と称しており、作品の表現方法は多岐に渡ります。

 展覧会のタイトルである「腐るほどの金はないが、腐る金ならあるだろう」は、ある一つの具体的なエピソードから生まれています。White Watersの共通の知人である日本人アーティストが2022年に公的な助成を得て、コロナ禍とその後に続く急激なインフレのさなか、ニューヨーク郊外のクイーンズ地区に1年間滞在しました。そしてその生活のなかで、コミュニティガーデンをよく利用したと言います。物価高と円安の影響により、支給される助成金だけでは食費も充分に賄えないなか、移民も多いその地域の住民たちが共同で運営し、みんなで野菜や作物を育てて分かち合うコミュニティガーデンが毎日の食卓の支えになったそうです。
そのアーティストが帰国後に「お金も腐ればいいのに」とふと呟いたことがありました。野菜や作物は腐るものであり、有用性の期限が目に見えてわかるからこそ分かち合い、コミュニティの紐帯にもなっているという、そうした経験から無意識に口をついて出た言葉なのではないかとWhite Watersは解釈しました。また、「(cream)」とは、“Cash Rules Everything Around Me(金がおれの周りの全てを支配する)”の略で、ヒップホップの古典的音源の一節でもあります。

 本展でWhite Watersは、金と時間を起点として、その見えない絡まりのエクストラクション(抽出)を試みた新作群を発表いたします。私たちは金銭を稼ぎ、消費し、資本に支配された日常を送っています。お金や言葉に実態はありませんが、たしかに社会的に実在しており暮らしの中で機能し続けています。しかし、もし明日地球が滅亡するとしたら、金を大切に取っておく意味がなくなるように、我々の金への執着は、過去・現在・未来へと続くと思われている時間との絶妙な関係性において成立しています。資本主義社会において絶対視されるものの一つである金銭の価値は、実は非常に曖昧で、無根拠です。

 決定的な根拠はないけれど、誰も無視できないもの。世界中で自然災害や紛争が頻発する中で、持つ者と、持たざる者に分かれ、今日も争いは絶えません。そもそも私たちは何に囚われ、何に一喜一憂しているのか。本展はそんなことにふと立ち戻るきっかけとなることでしょう。

「語の意味ではなくてその働きを示すところからはじまる辞書というものがありうるはずだ。」
ジョルジュ・バタイユ(思想家、作家/主著に「無神学大全」三部作、「眼球譚」など)

「金本位制がなければ、インフレによる貯蓄の没収を防ぐ方法はありません。価値を安全に保管できる場所はありません。」
アラン・グリーンスパン(第13代米連邦準備制度理事会議長/在任1987-2006年)

 展覧会会期中は3月15日に新しくオープンするLEESAYAのセカンドスペース、BackyardでもWhite Watersらしい作品を提案する予定です。(※Backyardの営業時間はギャラリーと異なりますのでご注意ください)

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