特別展「北斎サムライ画伝」
会期: 2023-12-14 - 2024-02-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
浮世絵
日本画
開催内容
サムライは、江戸時代に生きた北斎にとって身近な存在でした。本展では、源頼朝や徳川家康など名の知れたサムライだけでなく、北斎と門人たちの目に映った江戸市中に暮らす太平の世のサムライを描いた作品も展示します。また、実際にあった戦いや物語の中の戦う場面を描いた作品もご覧いただきます。江戸時代の人々が抱いていたサムライのイメージにふれるとともに、北斎たちによるサムライの姿をご堪能ください。さらに、刀や鑓といった戦いの道具を取り上げた作品も紹介し、刀剣博物館所蔵の「太刀 銘 信房作」(重要文化財)なども展観します。刀剣そのものと描かれた刀剣を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の表現力をお楽しみください。
第1章 サムライの姿
日本の歴史の中で、平安時代末期の平清盛の政権から江戸幕府が倒れる約700年の間、主にサムライが政権を握ってきました。このうちサムライの性格が大きく変わる時期があります。それは豊臣秀吉により天下が平定され、徳川家康によって江戸幕府が開かれた頃です。平和な江戸時代のサムライは武力として期待されることが少なくなり幕府や藩の政治を担う存在として重視されるようになりました。
本章では、そのような北斎や弟子たちと同時代のサムライの姿と、それ以前の戦乱の世の武力の担い手として北斎たちが描いたサムライの作品をご紹介します。江戸の人々のサムライのイメージの一端に触れてみてください。
第2章 戦いの場面
サムライは自己の戦闘技術を磨き、編成した家臣の武力を用いて戦ってきました。その目的は、家の存続や財産の維持・拡大、政治的・私的紛争の解決のためでもありました。サムライは生死をかけた戦いを繰り返すことで、相手の武力・政治的権力の縮小、滅亡を重ね、最終的に幕府を開いて政権を担う存在となります。武力として家臣を編成するにあたり、主従の信義や、礼節を重んじた自律集団を築いていきます。
本章では、江戸時代の情報に基づいて北斎たちが描いた歴史上実際にあった戦いから、当時の小説である読本などの物語の挿絵として描かれた戦いの場面までをご紹介します。また、サムライは魔を払うという考えもあったことから、怪異との戦いのシーンを描いた作品も取り上げます。
第3章 サムライの得物
サムライは、刀や弓などの得物(武器)を駆使して戦っています。本来サムライは、弓馬の芸に通じた家柄の者ともいわれ、射芸が重視されていました。実際の戦いでは、楯で防ぎながらの弓矢の射懸け合いからはじまり、すきが生じると接近して鑓(やり)や刀で戦ったと考えられています。江戸時代には、サムライは大小の刀の二本差しが定められ、平和な時代でも武器を携帯しています。
本章ではサムライの象徴でもある刀や弓、他にも鑓や鉄炮などの武器、そして鎧を描いた作品を集めました。刀に関する作品は、刀鍛冶の姿を描いたもの、刀の意匠のデザインを北斎の門人が描いたものに加え、刀や鑓そのものも紹介します。描かれた刀や鑓と実物を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の描写力をお楽しみください。