DREAM STATE
会期: 2023-11-17 - 2023-12-03
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
開催内容
[本展ステートメント]
人間の身体はシステマチックだ。私たちは自分の意思で臓器をコントロールすることはできず、体内の機能は意識・無意識に関係なく動き続ける。
アーティストの三上晴子は《存在,皮膜,分断された身体》という作品において、無響室を利用することで外部の環境音(雑音)を意図的に遮断し、常に鳴り続けている音でありながら、普段の生活ではほほ聴くことがない体内音に意識を向けさせた。またそれを増幅させリアルタイムでスピーカーで流し、自身とスピーカーから流れる体内音とのズレによって諸感覚を覚醒させようとした。彼女はテクノロジー技術を使い、人間の意識、無意識、諸感覚という原始的な問いに芸術的な視点からアプローチした。
現代において人間は、日々アップデートされるテクノロジー技術によって行動を支配されているといっても過言ではない。とりわけSNSは、人間の欲望を顕著にし、それを大幅に増幅させ、SNSのために行動する人間を生み出した。それにより生身の肉体が属するオフライン社会ではなく、メタバース的オンライン社会における自身の存在がより重要視され、肉体はわずらわしく不要なものとして存在し始めた。インターネット上に存在する分身としての私たちは、根本的に食事や睡眠といった人間の生命を維持するための活動を必要としない。オンライン社会には、いつでもアクセス可能な分身が、疲れを知らずそこで持っているのである。それでは今後、そのような身体的な遮断を伴わない永続的なオンライン世界と、オフラインに存在する身体との境界を埋める"プラットフオーム"がこの世界に展開されたとすれぱ、人間の"生"は一体どこに帰属するのであろうか。食欲、疲労などの生理的な現象、または病気、死などの身体的なリスクなど、オンライン上では不要な要素として捉えられていたものが、メタバース的な世界の分身と生身の肉体をリンクさせることで、実際に体感できるようになれぱどうだろう。リアリティを帯びたヴァージョン違いの世界として確立され、近い未来、私たちはどこで生活を行うかという問いや選択を迫られる日が来るかもしれないのだ。
最も近いようで違い私たちの身体は、これからどこへ向かうのであろうか。本展では、拡張するオンライン社会とともに生きる人間の身体について思考を巡らせる。
参加アーティスト
JACKSON Kaki
タムロ・ダベル
noisy_eye