生誕120年 安井仲治―僕の大切な写真

《馬と少女》1940 個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

《馬と少女》1940 個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

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    会 期
    20231216日 -  20240212
    開催時間
    10時00分 - 18時00分
    最終入場は閉館の30分前まで
    休み
    月曜日
    年末年始(12月29日~1月2日)
    ※ただし、1月8日(月・祝)と2月12日(月・振休)は開館、1月9日(火)は休館
    入場料
    有料
    一般 1,600円(団体・前売 1,400円) 大学生 1,000円(団体・前売 800円) 高校生以下 無料 70歳以上 800円(団体 700円)
    障害者手帳等をお持ちの方(一般) 400円(団体 350円) 障害者手帳等をお持ちの方(大学生) 250円(団体 200円)
    ※前売券販売期間:10月13日(金)~12月15日(金)23:59 ※事前予約制ではありません。混雑時は入場制限を行いますので、お待ちいただく場合があります。 ※団体は20名以上。団体鑑賞をご希望の場合は1か月前までにご連絡ください。 ※障害者手帳等をお持ちの方1名につき、介助者1名は無料です。 ※一般以外の料金でご利用される方は証明書を当日ご提示ください。 ※コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は割引があります)。
    作品の販売有無
    展示のみ
    この情報のお問合せ
    兵庫県立美術館 078-262-1011
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    兵庫県立美術館
    住所
    〒651-0073 兵庫県
    神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 [HAT神戸内]
    最寄り駅
    岩屋
    電話番号
    078-262-1011

    詳細

    展覧会内容

    1903(明治36)年に現在の大阪市中央区に生まれた安井は、親から与えられたカメラに魅せられ、10代にして同好の士が集う関西の名門、浪華写真倶楽部の会員となり、瞬く間に日本全国にその名を知られる写真家となります。ピグメント印画の技法を駆使した作品や、1930年前後の日本で流行した新興写真と呼ばれる絵画とは異なる写真ならではの画面を志向する作品など、安井の作品は時代の潮流に敏感に反応しながらも、カメラを介して世界と向きあった時に生じる心の震えを繊細に、時には激しく受け止めている点において一貫していました。卓越した作品とともに温厚篤実な人柄から人々に慕われた安井はしかし、1942(昭和17)年に病によりこの世を去ります。38歳の若さでした。

    この度の展覧会では、作家自身の手掛けたヴィンテージプリント141点と、この度の展覧会を機に新たに制作された23点を含むモダンプリント合計64点をご紹介します。作品は時系列に沿いつつ、作品に応じて5章に分けて構成し、その業績の全貌を辿ります。あらゆる対象に食い入る安井の眼の特質が一層明らかになり、その作品はさらなる象徴性を帯びて安井の生きた時代を、そして私たちが生きる現代を照らしだすことでしょう。

    [みどころ]
    ・日本写真史において最も重要な作家のひとりである安井仲治の20年ぶりとなる本格的な回顧展です。

    ・今回は関係各所の特別なご理解とご協力により、戦前のオリジナルプリント141点を含む全205点の作品を展示替えなしで展示します。安井仲治の代表作を一望できる大変貴重な機会です。

    ・安井仲治は、宝塚と芦屋に暮らした兵庫県ゆかりの作家です。当館では兵庫県立近代美術館の時代から安井をはじめとする戦前の関西の写真家たちの作品の調査・研究と紹介に継続的に取り組んできました。

    ・近年、安井仲治をはじめとする戦前の日本の写真家たちの作品、なかでも1930年代の前衛的な傾向を示した作品は、海外からも熱い注目を集めています。

    ・関連イベントには美術家・島袋道浩氏、写真家・野口里佳氏をお招きします。世界的に活躍するお二人を通じて、安井仲治の人と作品の魅力に迫ります。
    ・2024年1月13日(土)から開幕する「コレクション展III」では、安井仲治展に連動して戦前の関西で活躍した写真家たちの作品を展示予定です。

    [展示構成]
    第1章 1920s:仲治誕生
    1903(明治36)年、大阪の豊かな商家に生まれた安井仲治。高等学校在学中に親からカメラを買い与えられた彼は、卒業後も家業の安井洋紙店に勤務しながら写真を続けた。10代末には関西の名門アマチュア写真団体、浪華写真倶楽部に入会を果たす。当時は芸術表現としての写真を追求する「芸術写真」の機運が高まっていた。「芸術写真」の実相はきわめて多様だが、その多くが情緒ある「絵画的」な写真表現を志向するもので、顔料でイメージを形作るピグメント印画法がしばしば用いられた。安井もピグメント印画の作品を多く手がけたが、初期の代表作である《猿廻しの図》は社会的な関心に裏打ちされたもので、穏当な「芸術写真」の枠組みを拡張するものとして注目を集めた。安井は20代前半にして同倶楽部の指導的立場となり、1927(昭和2)年の秋には倶楽部の実力者とともに銀鈴社を結成し、精力的に制作と発表を行った。

    第2章 1930s - 1:都市への眼差し
    1931(昭和6)年、ドイツからもたらされた展覧会が日本の写真界に衝撃を与えた。東京、大阪を巡回した「独逸国際移動写真展」である。この写真展が大きな契機となり、日本、とりわけ関西の写真界では、それまでの「芸術写真」からいわゆる「新興写真」と呼ばれるものに表現の主潮が移行していく。本章では、このように日本でモダニズム写真が隆盛した、1920年代末から1930年代前半頃の安井の作例を紹介する。他の同時代の写真家と同様に、安井も新興写真の開花に多大な影響を受け、新技法を取り入れた実験的作品に取り組んでいく。しかしその一方で、すでに時代遅れとなりつつあったブロムオイル印画への強い拘りも見せているのが興味深い。新興写真を単純に模倣するのではなく、作画のための一手段として消化し、安井は独自の写真表現を追求していった。ここで取り上げる作品は、安井にとってそのような換骨奪胎の時期の作例といえよう。

    第3章 1930s - 2:静物のある風景
    日本の写真史における一つのピークである1930年代は、安井仲治という写真家にとっても様々な手法やスタイルが試みられ、代表作の数々が生まれた充実した時代であった。この章では、1930年代の作品の中でも新興写真やシュルレアリスムといった特定のジャンルや傾向には区分しがたい作品を取り上げる。とはいえ、それ故にと言うべきか、ここには自邸の窓ガラスに止まった蛾を写した作品[nos. 72-74]や医療実験の検体を写した《犬》[no.96]のように、安井の代表作が並ぶ。1930年代に、安井は4人の子供たちを授かる一方で、弟妹を、さらに次男を相次いで亡くしている。こうした私生活における出来事がカメラを小さな生き物たちへと向けさせたのだろう。
    安井は1932(昭和7)年に「半静物」の語をもって、撮影場所で静物を即興的に組み合わせて現実と超現実とのあわいを現出させる方法を語っており、この独自の手法はその後の安井の実践において重要なものとなっていく。

    第4章 1930s - 3:夢幻と不条理の沃野
    本章ではシュルレアリスムに影響を受けた安井の作品を紹介する。1930年代半ばになると「新興写真」は退潮し、写真表現はまた新たな展開を迎えた。その中でシュルレアリスムの理論を積極的に取り入れた写真は「前衛」と形容され、報道写真とともに、際立った存在感を放った。前章で見た安井の「半静物」の取り組みも、写真だからこそ達成できる精緻な現実世界の再現によって、非現実的な詩情と美しさを備えた世界を生み出すことを目指すものへと展開していく。学校教材の標本や模型などをモチーフとする作品や、モデルの撮影会での作品、海や湖を舞台にした作品など、被写体そのものはありふれていても、安井はそれらが置かれた状況の中に不条理かつ夢幻的なイメージを見出したのである。

    第5章 Late 1930s - 1942:不易と流行
    1937(昭和12)年の日中戦争の開戦以降、アマチュア写真家たちの活動は徐々に制限されていく。そうした状況下で、安井は戦時社会を生きた人々の姿を象徴的に捉えた作品を残した。それらは悲哀や緊張を感じさせるものがある一方で、どこか突き放したユーモアを感じさせるものもある。この時期には集団による撮影の実践も行われており、丹平写真倶楽部の有志とともに「奉仕」として取り組んだ〈白衣勇士〉や、ナチスドイツによる迫害から逃れてきたユダヤ人たちを神戸でとらえた〈流氓ユダヤ〉がこれにあたる。後者を撮影して間もない1941年の夏、安井は不調を覚える。同年10月には病をおして朝日新聞社主催の講演に登壇し、個人の人格の表現としての芸術の重要性を訴えたが、それから半年を待たずに安井は逝去した。

    関連イベント

    記念トーク「美術家から見た安井仲治」
    日時:2024年1月28日(日)15時~16時30分(開場は30分前から)
    出演:島袋道浩(美術家)
    会場:ミュージアムホール
    定員:150名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会会員優先座席あり)

    野口里佳さんによるワークショップ
    野口里佳さんと一緒に写真の原理を体験しよう。ピンホールカメラを制作して、撮影、現像まで行います。現像作業では、安全に配慮した上で、毒性のある薬品を使用します。ご理解いただいた上でお申し込みください。
    日時:2024年1月20日(土)
    講師:野口里佳(写真家)
    定員・対象・申込方法等の詳細は、決定次第、当館HPでお知らせします。

    こどものイベント特別編 野口里佳さんによるワークショップ
    野口里佳さんと一緒に写真が写る不思議を体験しよう。ピンホールカメラを制作して、撮影、現像まで行います。現像作業では、安全に配慮した上で、毒性のある薬品を使用します。ご理解いただいた上でお申し込みください。
    日時:2024年1月21日(日)
    講師:野口里佳
    定員・対象・申込方法等の詳細は、決定次第、当館HPでお知らせします。

    ゆっくり解説会 in Winter
    展覧会の見どころを手話通訳および要約筆記付きで解説します。
    日時:2024年1月14日(日)13時~14時35分
    会場:レクチャールーム
    定員:60名(先着順)
    詳細は、決定次第、当館HPでお知らせします。

    学芸員によるレクチャー
    日時:2024年1月6日(土)、2月10日(土)、いずれも15時~15時45分(開場は30分前から)
    会場:レクチャールーム
    定員:60名(先着順)
    ※2月にも開催予定です。決定次第、当館HPでお知らせします。

    ミュージアム・ボランティアによる解説会
    会期中毎週日曜日 11時~(約15分)
    会場:レクチャールーム
    定員:60名(先着順)

    主催・協賛・後援

    主催:兵庫県立美術館、神戸新聞社、共同通信社
    協力:銀遊堂、PGI、株式会社アフロ
    協賛:公益財団法人伊藤文化財団
    助成:公益財団法人ポーラ美術振興財団
    特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部

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