初公開の仏教美術 ―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―
会期: 2023-11-22 - 2024-04-14
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
仏画
仏像
彫刻
日本画
絵画
開催内容
2018年に開館した半蔵門ミュージアムでは、地下1階展示室の「祈りの世界」のエリアの中央に運慶作と推定される重要文化財の大日如来坐像を安置するとともに、両界曼荼羅または仏涅槃図、不動明王坐像を展示してまいりました。この度、京都の醍醐寺から縁あって寄贈され、修復を終えた如意輪観音菩薩像と二童子像を「祈りの世界」の展示空間に迎えることとなり、初公開いたします。
また、重要文化財である大日如来坐像の像内納入品について、X線断層撮影やボアスコープなど科学的調査でえられたデータにもとづき原寸模型を制作しておりました。このほど完成いたしましたので、こちらもあわせて展示いたします。
特集展示には初公開の経典・彫刻・絵画を配しました。経典は、大般涅槃経如来性品十四音義や光讃般若経を展示します。また、彫刻は如来立像の残欠とみられる中国の石仏で、北斉時代の製作と考えられるものです。絵画は、倶利伽羅不動明王像、当麻曼荼羅、刀八毘沙門天像、虚空蔵菩薩像などをお披露目します。当麻曼荼羅は下部に中将姫の姿を加えるのが珍しく、8本の刀を手にした刀八毘沙門天像も類例の少ない貴重な作品です。
如意輪観音菩薩像と二童子像をむかえた今期、リニューアルされた展示エリア「祈りの世界」と特集展示をあわせて、半蔵門ミュージアムの仏教美術をご堪能ください。
[主な見どころ]
如意輪観音菩薩坐像
平安時代 10世紀
醍醐寺の開祖聖宝(832~909)が、上醍醐に結んだ草庵に最初に安置したのは准胝観音菩薩像と如意輪観音菩薩像だったと伝えられ、如意輪観音は醍醐寺にとってきわめて重要な尊格です。この像は江戸時代初期に修復され、三宝院持仏堂に安置されたことが知られますが、それ以前の伝来は不明です。『如意輪菩薩瑜伽法要』に説かれ現図曼荼羅中にも描かれる六臂像ですが、右足を左腿の上に跏し、左足を踏み下げて坐る半跏の姿はきわめてめずらしいものです。平安時代、10世紀後半頃の製作とみられます。
二童子立像(制吒迦童子・矜羯羅童子)
平安時代 11~12世紀
不動明王像に随侍する制吒迦と矜羯羅の二童子像。明治時代には、当館が所蔵する不動明王坐像とともに醍醐寺三宝院にあったそうですが、その後、三尊そろって昭和5(1930)年創建の旧伝法学院に移されています。誇張の少ない穏やかな肉どりや静かな動きの把握などに、平安時代後期、11世紀末ないし12世紀初め頃の典雅かつ繊細な美意識がうかがわれます。当時の都で活躍した一流仏師の手になるものでしょう。
納入品解説 初公開 大日如来坐像の像内納入品原寸模型
像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり彩色した木札が立ち、その柄の部分上方は白く塗り、梵字で宝篋印陀羅尼を墨書しています。柄の中ほどに留められた金属製蓮台付きの水晶珠は、心月輪と呼ばれる仏像の魂です。木札の手前には竹製の棒が立ち、上方に五輪塔形の水晶製舎利容器があります。下方には布袋にはいった紐束もあります。内刳り部内面は漆箔です。模型では、ボアスコープ画像で色が判明した箇所はそれを再現し、不明の部分は灰色で表現しています。
*協力:文化庁(ボアスコープ撮影)、東京国立博物館(X線断層撮影)