柳澤 紀子 「動物のことば 2021-2023」

『動物のことば 北緯72°』2023  銅版画

『動物のことば 北緯72°』2023 銅版画

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会 期
20231018日 -  20231119
開催時間
12時00分 - 18時00分
休み
月曜日,火曜日,祝日
クリエイター在廊

10月18日、25日、11月1日、8日、15日(各水曜日)
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
ギャラリーキドプレス/Gallery KIDO Press
情報提供者/投稿者
開催場所
ギャラリー キドプレス
住所
〒101-0021 東京都
千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 204号
最寄り駅
末広町
電話番号
03-5817-8988

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

この度ギャラリーキドプレスでは、柳澤紀子さんの『動物のことば 2021〜2023』を開催いたします。
ギャラリーキドプレスは工房と共にこの4月に移転をいたしました。移転後最初の展示を柳澤紀子さんの作品とさせていただくことは、版画制作を長く続けてきた弊社と作家とのコラボレーションの展示でもあり大変光栄に感じています。

キドプレスではこれまで多くの銅版画の制作に関わってきましたが、柳澤紀子さんの技術的な難易度はトップクラスと言って良いと思います。なぜなら、一枚の銅版の中に刻み込まれた各種の技法が混在するため、それぞれの技法に合った表現を同時に成立させることがことのほか難しいからです。
まず、第一の特徴は、エッチングの描画線の深さです。硬く金属的な冷たさを感じさせる、深く、鋭く刻まれたニードルの線。その線をさらに腐食することで、実際に描いたより遥かに、銅版を深く、広く穿つことができます。このことによって、筆や鉛筆などでは表現できない、腐食銅版画特有な線を生み出しています。柳澤作品の根幹となる、この深く広い線を刷るには、強烈な圧力をプレス機に求めます。しかし、この線の表現と真逆な表現が、同じ版に存在します。それは、同じ版の中に存在する、メゾチント(無数の目立てをした版を削ることにより、微妙な諧調表現ができる。)です。メゾチント特有の柔らかく、光が差し込んだような表現は、繊細な刷りを要求します。この技法は、版への強いプレスの圧力は、厳禁です。版を潰しかねません。他にも、アクアチントの表現もあり、刷り師への高度な技術を求める作品作りになっています。
また、さらに近年の大きな特徴として、雁皮紙にご自身で手染めを行い、紙全体に着彩や筆勢によるマチェールをつけ始められたことがあります。直接作品全体への着彩や調子付け、時には筆跡を残すことは、厳密な意味での版画の複数性を否定することかもしれませんが、作家は、それよりも作品そのものの生き生きとした存在感を追い求めたのではないかと思います。そしてこのことは、これまで時として縛られていた、版画の主版法(主版の輪郭線に色版を配置する多色刷りの)からの解放も可能にしたと考えられます。
このように柳澤紀子さんは常に版画に新しい表現を模索し発表を続け、またドローイングなど他の表現にも意欲的に取り組んでいらっしゃる数少ない作家であることがわかります。弊社工房で若い作家の作品を目にされると、「この技法はなに?」「素敵な作品!」といつもご感想や好奇心を素直にぶつけられ、常に作品のためにいろいろな事柄を吸収しようとされているのだと思います。また、版画は版画表現だけにまとまることなく、芸術の一つの表現として可能性を探っていかなければ、と熱く使命感に溢れた思いで版画の行く末を語ってくださいます。
また制作の根底には社会情勢の不安定さ、核を作る人間、核の犠牲になる人間や動物への憂いなど長い時間をかけて対峙し感じたことが作家の中に蓄積されています。その思いを版画、絵画表現を通して我々に問いかけています。
視野の広いテーマ性、作品に注ぎ込まれた版画への変わらぬ探究心はもとより、柳澤紀子さんの世界観を感じ取っていただければ幸いです。
つきましては、是非本展のご周知にご協力頂けましたら幸甚です。
何卒宜しくお願い申し上げます。

〈作家コメント〉 
私の中では、第2次大戦の、広島・長崎の被爆、1954年のビキニ環礁、2011年のフクシマと、在りました。
常に核の事は制作のモーティベーションとなっています。
1 「動物のことば ニガヨモギⅠ・Ⅱ」は、2015年にチェルノブリへ取材に行った折りに立ち寄った周囲の廃村には、人々はひっそり暮らしており、比べて犬、牛、豚、山羊等は「この世は春」と言わんばかりに生き生きとした姿に圧倒された印象を作品に。
2 「動物のことば フクシマⅠ・Ⅱ」は、フクシマで取り残された動物達。
3 「動物のことば 北緯72°・90°」は、ロシアの侵攻後のウクライナを抽象的に表現。
4 「海の庭 Ⅰ・Ⅱ」は、ビキニ環礁を案に表現しつつ、海は人類の庭!というメッセージを。

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