三宅砂織『Nowhere in Blue』

『Nowhere in Blue』2023年(ビデオスチル)

『Nowhere in Blue』2023年(ビデオスチル)

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会 期
20231021日 -  20231119
開催時間
12時00分 - 19時00分
日曜日12時00分~17時00分
休み
月曜日,火曜日,祝日
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
WAITINGROOM
情報提供者/投稿者
開催場所
WAITINGROOM
住所
〒112-0005 東京都
文京区水道2-14-2 長島ビル 1F
最寄り駅
江戸川橋
電話番号
03-6304-1877

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

WAITINGROOM(東京)では、2023年10月21日(土)から11月19日(日)まで、三宅砂織の個展『Nowhere in Blue』を開催いたします。三宅はこれまで、さまざまな経緯で出会った既存の画像を、ネガポジ反転させて透明シートの上に描き、それを感光紙の上に重ねて露光することで、ドローイングの「影」を印画するというフォトグラムの手法に取り組んできました。近年では、フォトグラムの制作を通して深めた思考を反映させた映像作品や、日光で感光させるサイアノタイプにも取り組みながら、人間がさまざまなものに眼差しを向け、それを何らかの方法で画像化することや、画像化されたものが共有され、また新たな眼差しが重なっていくという営みの中に存在する「絵画的な像」を抽出するような試みを続けています。本展で三宅は、サイアノタイプの新シリーズと、その思考を反映させた映像作品を初めて発表いたします。それらは、世界的なパンデミックの経験や生成AIの爆発的普及など、劇的に変化し続ける日常を三宅がアーティストとして過ごす中で、森林や庭園を歩くことから見出した「ランドスケープ(風景/風景画)」についての思索が反映されたシリーズになります。

作家・三宅砂織について
1975年岐阜県生まれ。2000年に京都市立芸術大学大学院美術研究科を修了。現在は京都を拠点に活動中。主な個展に「アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.9 三宅砂織」(2021、岐阜県美術館アトリエ/岐阜)、「庭園|POTSDAM」(2019、SPACE TGC/東京)、「THE MISSING SHADE 3」(2018、WAITINGROOM/東京)、「THE MISSING SHADE 2」(2017、SAI GALLERY/大阪)など。主なグループ展に、「The Practice of Everyday Practice 日常の実践の練習」(2021、名古屋芸術大学Art & Design Center/愛知)、「奥能登国際芸術祭2020+最涯の芸術祭、美術の最先端。」(2021、石川県珠洲市全域/石川)、「MOTアニュアル2019 Echo after Echo: 仮の声、新しい影」(2019、東京都現代美術館/東京)、「第20回 DOMANI・明日展」(2018、国立新美術館 企画展示室2E/東京)などが挙げられます。2016年『京都府文化奨励賞』、2013年『咲くやこの花賞』美術部門、2010年『VOCA賞』などの受賞や、東京都現代美術館、兵庫県立美術館、京都市立芸術大学、モンブランジャパンへの作品収蔵など、幅広く活躍している作家です。

影が描く風景の「青写真」
鮮やかな青色の発色を特徴とするサイアノタイプは、鉄塩の化学反応を利用した写真技法です。19世紀に発明された写真方式で、太陽光で印画することができるため、日光写真とも呼ばれます。三宅砂織はこの手法について「自分の作品を作る手法として取り入れ始めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大で“外出自粛”をしていた時期です。室内に閉じこもっていたことから、屋外の環境や自然への意識が高まっていました。暗室の外へ出て、太陽の光でプリントすることが、個人的な癒しでもありました。」(『版画芸術』2022年春号 (No.195)、pp.26‒33)と語っています。新型コロナウイルス感染症が猛威を奮ったこの数年間、三宅は、岐阜県美術館や石川県珠洲市、長野の山荘で滞在制作を行ないました。庭園や森林など、自然物と人工物が同居しながら形づくられた風景を眺めながらあてもなく歩く中で、テクノロジーが私たちと自然との関わりや理解をどう変えてきたのか、また、そうした環境変化の中で、アートはどのように存在するのかについて、より深く考えるようになったといいます。
イメージの組成そのものに興味を持ち、イメージが共有される営みに内在する「絵画的な像」を探究してきた三宅にとって、既存のイメージの学習から新たなイメージを生み出す生成AIの普及も、大きな影響を与えました。滞在制作を行なっていた長野県の山荘周辺の風景をネガポジ反転させた映像作品や、映像作品の、時間の異なるシーンのスチル画像をフィルムに出力し、重ね合わせて多重露光したシリーズ、そして、デジタル画像のグリッドを拡大した画像をスクリーンショットして画面上で合成し、出力したフィルムをさらに実際に重ね合わせて焼き付けたシリーズなど、本展で発表される新シリーズはどれも、世界的なパンデミックの経験と、生成AIの急速な普及という、ここ数年の「日常」を三宅がアーティストとして過ごす中で生まれたものです。
画像イメージの起源としての「影」にまで遡り、その特徴ともいえる複数性や反転といった要素を取り入れながらつくられた「どこでもない」風景は、SFの世界ように、人間が滅び、世界が自然に飲み込まれた後の未来をも彷彿とさせます。独特なプロセスをもって制作された作品群はどれも、絵画とも写真とも異なる奥行きをもち、「どこかではあるけど、どこでもない」「いつかではあるけど、いつだかわからない」という、時間や場所がかき回される感覚を呼び起こすかのようです。それは三宅のいう、イメージが生まれ、共有される過程に存在している「絵画的な像」が抽出された状態であると言えるでしょう。
サイアノタイプという写真における古典技法と、生成AIなどの画像生成技術を重ねたとき、どのような「風景」が見えるのか。未来の姿を想像することを「青写真を描く」と言いますが、三宅が実際に滞在していた山荘の家具に座り、現実の時間よりもゆっくりと流れる青い映像の風景を眺めながら、どこかにあるかもしれない・いつかあるかもしれない未知の「風景」に、ぜひ思いを巡らせてみてください。

関連イベント

オープニングレセプション:10月21日(土)18:00‒20:00 *作家が在廊いたします

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