展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
オイルペインテイング
平面作品
展覧会
油彩
現代美術
アート
絵画
現代アート
開催内容
この度 MARGIN では、ジャン・アガ(1986年-)のソロエキシビジョン「Meanie Mode」を開催いたします。本展は、MARGINでの二度目の個展となり、ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022で発表した油彩作品を含む、平面作品18点を展示いたします。
ジャン・アガはパキスタン南部のカラチに生まれ、英ハートフォードシャー大学でファインアートの学士号、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得した後、現在はストーク・オン・トレントのスタジオを拠点に画家、陶芸家として活動しています。中央アジアや中東の多様な民族や難民が集まり、さまざまな習俗や宗教が混在する都市カラチで育ったアガにとって、文化的な障壁や摩擦に対処すること、あらゆる制約の中で自己の衝動との向き合い方を見定めることは、アイデンティティの形成に大きく関わってきました。政治的な混迷や国内全土に広がる過激主義の台頭から逃れるように、幼い頃から国境を超えて移動を続ける遊牧民的な生活も、作品に深く影響しています。
古代インドの宗教的聖典ヴェーダや南アジアの民間伝承、神話や文学といった古典的なものから、漫画、オカルト、都市伝説を含むサブカルチャーに至るまで、人々の無意識を形づくる物語に関心を抱いてきたアガは、単一の宗教や文化に捉われないオルタナティブな物語を探求してきました。
彼が一貫して描いている個性豊かなキャラクターは、世界各国に伝わる神話や伝説に登場する精霊や妖怪などを参照しており、彼の物語世界の語り部として機能しています。ペルシア芸術の幾何学文様や日本の家紋を換骨奪胎して手に入れた記号的なモチーフを、すばやく大胆な筆致で散りばめることで、多層的な物語を語ることを試みます。これらのキャラクターは、混沌とした幼少期を過ごしてきたアガが、幼い頃から続けてきた——彼がシャーマニズムの手法と呼ぶ——自動筆記的なドローイングから生まれたもので、自分を護るために生み出したイマジナリーフレンドであり、守護神としての役割も果たしています。
それらの多くは憤怒に満ちた表情を見せ、人間の持つ根源的な残虐性を表面化しています。怒り、そしてその周辺感情としての闘争心や畏怖は、守るべきものを守るための使命と表裏一体であり、ヒンドゥー教における女神カーリーが破壊と暴力を司る一方で、生命の誕生を司る母神として描かれるのと同様に、逆説的に愛と生命力そのものです。アガはあらゆる神話的な元型にも包括し得ない新たなキャラクターの創造主として、作品を通してこれまでに目にしてきた文化や宗教観の対立を含む、さまざまな二項対立の調停を試みます。
本展のタイトルでもある「Meanie Mode」は、一見悪意や憎悪にも取れる怒りの感情に対するアガならではの独特の距離の取り方を表しています。外から見える悪意も、内に向いた愛情であり、あくまでそれは「Meanie Mode(意地悪なモード)」でしかないというユーモラスな受け止め方は、遊牧民的な生活を続けたアガが獲得した授けた知恵であり、情報社会を生きる私たちにとっても有用な視点なものなのかもしれません。
ジャン・アガが生み出す世界の個性豊かなキャラクターの数々をどうぞお楽しみください。
◯プロフィール
ジャン・アガは1986年パキスタン生まれ。英ハートフォードシャー大学でファインアートの学士号、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得した後、ストーク・オン・トレントのスタジオを拠点に画家、陶芸家として活動している。幼い頃から国境を超えた移動を繰り返し、多文化の中で培ったアイデンティティと、その中で体験した文化的障壁を表象する肖像画としてのキャラクターを描く。主な個展にAnnex show , The Annex from Niru Ratnam (London, 2021 )、Jan Agha and Spirits in Tokyo (MARGIN, 2022)、主なグループ展にFight or Flight 2020, The Columbia (London, 2020)、New Contemporaries 2019, Leeds Art Gallery (Leeds, U.K., 2020)がある。