楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師

【後期展示】楊洲周延「浅草公園遊覧之図」明治24年(1881)、町田市立国際版画美術館蔵

【後期展示】楊洲周延「浅草公園遊覧之図」明治24年(1881)、町田市立国際版画美術館蔵

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会 期
20231007日 -  20231210
開催時間
10時00分 - 17時00分
土日祝 10時00分~17時30分まで
入場は閉場の30分前まで
休み
月曜日
※ただし10月9日(月・祝)は開館し、10月10日(火)は休館
※会期中、展示替えがあります。
前期 2023年10月7日(土)〜2023年11月5日(日)
後期 2023年11月8日(水)〜2023年12月10日(日)
入場料
有料
一般900(700)円、大・高生450(350)円、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金 ※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は半額 ※展覧会初日(10月7日)、文化の日(11月3日)は入場無料 ※シルバーデー(第4水曜日:10月25日、11月22日)は65歳以上の方は入場無料 ※各種割引を実施:リピーター割引、着物割引(200円引)、ウェブクーポン割引、タクシー割引、シェアサイクル割引、パスポート割引(以上100円引)
作品の販売有無
展示のみ
子連れ
この情報のお問合せ
町田市立国際版画美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
町田市立国際版画美術館
住所
〒194-0013 東京都
町田市原町田4-28-1
最寄り駅
町田
電話番号
042-726-2771

詳細

展覧会内容

天保9年(1838)、高田藩(現・新潟県上越市)江戸詰の藩士・橋本直恕の嫡男として誕生した楊洲周延は、若き日より歌川国芳や三代歌川豊国、豊原国周(とよはらくにちか)ら歌川派の絵師に師事し、画技を身につけました。しかし幕末の戊辰戦争では、江戸の高田藩士で結成された神木隊(しんぼくたい)として上野戦争に参戦。榎本武揚ら率いる旧幕府軍に加わり箱館戦争を戦うといった激動のときを過ごします。本格的に絵師としての活動を開始したのは40歳となる明治10年頃でした。刀を絵筆に持ち替えた周延は、優美な美人画から躍動感ある役者絵、戦争絵、歴史画、時事画題まで、まさに「明治」という時代を描き尽くします。

明治に入り写真や石版画など新たな印刷技術が台頭するなか、周延は浮世絵師として何を描き続けたのか――本展では約300点の錦絵、版本、肉筆画を通し、その全体像に迫ります。文明開化と江戸懐古のはざまで変化する時代の空気や、人びとの息づかいを感じていただく機会となれば幸いです。
 

前期 2023年10月7日(土)〜2023年11月5日(日)
後期 2023年11月8日(水)〜2023年12月10日(日)
※会期中、展示替えがあります。
 
 
 
 
 
展示構成
1章 高田藩士・橋本直義の時代―幕末~明治初年―
江戸に生まれた周延は、12歳頃から歌川国芳の門人となり画技を学んだようです。文久元年(1861)に国芳が没すると三代豊国のもとへ移り、さらに三代豊国の没後に豊原国周の門下となります。
慶応4年(1868)に起きた戊辰戦争で、周延は江戸藩邸の高田藩士らとともに神木隊を結成し、戦場へ出ました。しかし宮古湾海戦(みやこわんかいせん)で負傷し、江戸へ送られると、故郷の高田で50日間の謹慎を命じられます。周延が浮世絵界に戻ってくるのは、明治8年(1875)頃のことでした。

2章 浮世絵師・楊洲周延として立つ―明治8~10年頃―
明治10年(1877)、鹿児島で西南戦争が起こると、その戦況を伝える、いわゆる戦争錦絵の需要が急増します。周延は、月岡芳年や小林清親ら人気の絵師たちと並び、激しい戦場の様子を臨場感あふれる描写で描き出しました。この明治10年は、彼が浮世絵師としてさらなる飛躍を遂げる地盤を固めた年となったのです。

3章 画風の模索―明治11~16年―
西南戦争錦絵の制作を経た周延は、自らの可能性を広げるように東京名所や美人、役者、時事など多様なテーマに取り組んでいきました。なかでも天皇皇后と女官を描いた御所絵(ごしょえ)は、明治期特有の鮮やかな赤色を用いた華やかな画面が特徴で、周延の代名詞の一つとなります。このほか版本挿絵にも励み、多ジャンルにわたる活躍をみせました。

4章 美人画の躍進―明治17~19年―
明治16年(1883)から19年(1886)にかけて、周延は『名誉色咲分(めいよいろのさきわけ)』、『雪月花』、『東錦昼夜競(あずまにしきちゅうやくらべ)』を制作します。これらはいずれも大規模な揃物(そろいもの)で、とりわけ女性の主題が多く選ばれています。“美人画の絵師”としての周延は、この時期から顕著になってゆきます。

5章 テーマの確立:開化と懐古―明治20~23年―
明治維新から約20年、女性たちの洋服や西洋風の髪型の導入が奨励されるようになり、生活様式に西洋化の波が訪れます。とくに明治19年(1886)から皇后が公に洋服を着用しはじめたことに伴い、周延の主要画題の一つとなったのが洋装の女性像でした。

6章 広がる活動―明治24~26年―
明治20年代中頃の浮世絵界は、刊行数が減少する衰退期と一般的にみなされています。周延も例外ではなく、制作点数はあまり多くはありません。一方で、四季折々の風俗を描いた美人画、歴史画や子ども絵など鑑賞性の高い作例への関心がみられるほか、英字が記された輸出向けと思われる錦絵も登場します。明治初期のビビッドな色彩から、淡い中間色を中心とした色づかいへと徐々に移行していることも、表現上の展開として見逃せません。

7章 浮世絵をこえて―明治27~31年―
明治20年代後半以降、江戸城大奥の女性像は周延を象徴する画題となり、代表作『千代田の大奥(ちよだのおおおく)』や『徳川時代貴婦人の図』が生み出されます。また、江戸時代の女性の髪型や服装を時系列に描き分けた『時代かがみ』も刊行され、「過去を描く」という姿勢がこの時期を貫く特徴となります。
一方で「今を描く」という視点も失っていません。『真美人(しんびじん)』は、手習いをする少女から新聞を読む大人の女性まで、現代に生きるさまざまな女性を描いた揃物です。浮世絵の伝統に近代的な視点を加えたこの時期の作例は、周延の画業における一つの到達点といえるでしょう。

8章 浮世絵最後のきらめき―明治30年代―
明治37-38年(1904-05)の日露戦争で戦争錦絵に関する仕事を手がけた時期を最後に、周延はほぼ錦絵の制作を終えることとなります。
晩年には肉筆画の依頼にも多数応じ、かつて錦絵として描いたモチーフを応用した作例も残されています。70歳を超えてもなお衰えをみせない丁寧な筆運びからは、周延の画力と人柄が浮かび上がってくるようです。

関連イベント

1.講演会
講演会(1)「楊洲周延—江戸と明治の架け橋—」(ゆうゆう版画美術館まつり関連イベント)
10月22日(日) 講師:村瀬可奈(東京国立博物館研究員・元町田市立国際版画美術館学芸員)

講演会(2)「周延と明治の浮世絵」※手話通訳付き
12月3日(日) 講師:大久保純一(当館館長)
各日午後2時~3時30分 講堂にて 先着100名 要本展観覧券(半券可)

2.赤ちゃんのための鑑賞会
11月15日(水)午前10時30分~11時30分
講師:冨田めぐみ氏(NPO法人赤ちゃんのためのアートフレンドシップ協会代表理事)
未就学児対象(保護者同伴) 事前申込制(先着10組) 
※保護者の方は当日有効観覧券が必要です。

3.担当学芸員によるギャラリートーク
10月28日(土)、11月25日(土) 各日午後2時(45分程度)
企画展示室にて 要当日有効観覧券
担当:宮﨑黎(当館学芸員)

4.プロムナード・コンサート「フルートとピアノで巡る明治の風景」
11月4日(土)午後1時、午後3時(各回30分程度)
演者:河野彬(フルート)、髙橋ドレミ(ピアノ)

10月21日(土)、22日(日)は、第25回ゆうゆう版画美術館まつりを開催!

主催・協賛・後援

主催:町田市立国際版画美術館
助成:芸術文化振興基金

関連情報

同時開催
特集展示「腐蝕の刻(とき)―エッチングの世界」
9月27日(水)~12月17日(日) 常設展示室 入場無料

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