開催時間 |
13時00分 - 19時00分
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休み |
日曜日,月曜日,祝日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
タグチファインアート
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒103-0023 東京都
中央区日本橋本町2-6-13山三ビルB1F |
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最寄り駅 | 三越前 |
電話番号 | 03-5652-3660 |
タグチファインアートでは上記の期間約6週間にわたり、流 麻二果、ミヒャエル・テンゲス、ペーター・トレンスによる3人展を開催致します。ドイツと日本、活動の中心とする場所は異なりますが、いずれも充分なキャリアを持ち、絵画を成立させる基本的な要素である色彩を主題として制作活動を行なっている作家たちです。
ミヒャエル・テンゲス
ミヒャエル・テンゲス作品については、2012年の初個展からこれまで5回の個展を通してご紹介してまいりました。テンゲスは1952年、ミュンヘン近郊のプファッフェンホーフェン・アン・デア・イルムで生まれ、クレーフェルト造形大学を卒業後、1980年から1981年までデュッセルドルフ美術大学でフリッツ・シュベーグラーのもとで学びました。現在はレバークーゼンとケルンを拠点に制作活動をおこなっています。ドイツ、スイス、ベルギー、オランダ、アメリカ、日本で発表を重ね、その作品はケルンのコロンバ大司教区美術館や、スイスのアアラウ美術館等に収蔵されています。
テンゲスの作品で際立っているのは、彫刻的ともいえる厚みまで塗り重ねられた圧倒的な絵の具の量、そして使われている色彩の多様さです。彼は様々な色彩の筆致を様々な大きさで幾重にも積み重ね、とても豊かな画面を生み出します。新たに加えられる色彩はそれぞれ独立した個々の筆致として重ねられるため、先に塗られた色彩が完全に覆われてしまうことなく、ところどころ見え隠れします。色彩の配置が、平面的な広がりにおいてだけではなく奥行きにおいても考慮され、三次元的に構築されているのです。彼の作品が沢山の色彩を使用しながらも、その画面が少しも破綻せず美しい調和を見せているのは、色彩と格闘し続けて来たこれまでの長いキャリアの成果に他なりません。彼はジョットーやフラ・アンジェリコ、ルーベンス、ベラスケスを初めとしたかつての巨匠たちの作品の模写を通じて、つねに彼らの配色について研究をしています。中世からルネサンス絵画、そして身近に見て育ったドイツ表現主義の画家たちへと脈々と連なるヨーロッパ絵画の色彩が、テンゲスの絵画のなかに息づいています。
ぺーター・トレンス
今回が日本で初の展示機会となるぺーター・トレンスは、1954年デュッセルドルフ近郊オランダ国境に接するクレーヴェ生まれ。リトグラフ職人としての修行の後、1981年までケルン工科大学でシュテファン・ヴェヴェルカに学び、現在はケルンを拠点に活動しています。その作品はアルブライト・ノックス美術館、コロンバ大司教区美術館、ボン美術館、デュッセルドルフ美術館、ヴィースバーデン美術館、シュトゥットガルト州立美術館など多くの美術館、企業に収蔵されています。
1984年にオーバーハウゼン現代美術協会で「色彩の存在:ラディカル・ペインティング(急進的絵画)」という展覧会が開催されましたが、それは抽象表現主義後の二世代に渡る画家を扱った歴史的な展覧会であり、トレンスは当時30歳にしてその出展作家でした。「ラディカル・ペインティング」は伝統的絵画の流れを汲みつつも、絵画を外部の事物を再現するためのものではなく自律的・物質的な対象として捉える、80年代に盛んに主張された考え方で、ジョセフ・マリオーニが最も代表的な作家とされています。2018年にヴィースバーデン美術館で開催されたジョセフ・マリオーニの個展では、ペーター・トレンスとミヒャエル・テンゲスの作品が同時に展示されるなど、二人はドイツのラディル・ペインティングの現在を代表する作家として位置付けられ高く評価されています。
トレンス作品の特徴は、筆致による構造によって色彩が実現されているという点にあります。一見ロバート・ライマンの作品同様のモノクローム絵画に見えますが、彼の作品においては最終的な表層に至るまで無数の層に様々な色彩を含んだ筆致が周到に積み重ねられ、それによって画面全体が構成されています。それを観る私たちは、下に何があるのか作品の起源を遡ろうとする欲求に駆られます。筆致の大きさや形状、密度、重ねかたに違いがありますが、その重層的な構造は、ミヒャエル・テンゲス作品と共通性があります。
流 麻二果
流 麻二果(ながれまにか)は1975年大阪市に生まれ香川県で育ちました。
1997年に女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業。2002年に文化庁新進芸術家在外研修員としての渡米を機に2008年までニューヨークに滞在、2004年には公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてトルコにも滞在。これまで東京を中心に各地のギャラリーや美術館で発表し、作品は高松市美術館や練馬区立美術館等に収蔵されています。現在は東京を拠点に作品制作を行いながら、港区立麻布図書館や裏磐梯高原ホテルを初めとした多くのパブリックアートにも取り組み、またファッションブランドとコラボレーションするなど多方面で精力的に活動しています。淡いヴェールを重ねたような流の作品は、パレット上で絵の具を混ぜるのではなく、各色をキャンバス上に一層ずつ薄い層として伸ばし、乾いてから別の色の薄い層を重ねることで全体の色彩を実現させる、という独自の手法によって描かれています。これは印象派の画家たちが原色の点の並置によって試みたことを、透過する色面の重なりによって実現しようとするもので、油彩を用いながら敢えてこうした水彩画的技法を採用したところに彼女の確信があるように思えます。また流は日本固有の伝統色・顔料や染料についての研究を行ない、テンゲス同様かつての画家たちの色使いを探求することで、自らの制作に役立てています。「女性作家の色の跡」と名付けられたそのプロジェクトは、過去の日本の女性作家の絵画作品を観察して得られた色彩を再解釈し、独自の色彩として構成する試みです。
今回の展示では、彼女の最新シリーズ「In Between」から数点を展示します。時間的な意味での間、空間的な意味での間、生と死の境界。「死を意識したときに感じる強烈な生命感や、その瞬間に現れる鮮やかな光、あるいは輝く光や色彩の感覚 (流)」を表現しようとした作品です。
同様に色彩について強い関心を持ち、独自の絵画表現を探求する3人の作家たち。その共通点や相違点を楽しみながら、絵画の豊かさを感じて頂ければ幸いです。
なお、今回マイケル・テンゲス、ペーター・トレンスの来日はございませんが、6月10日(土)17:00より19:30まで、流 麻二果氏を囲み、ささやかなレセプションを行います。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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