開催時間 |
11時00分 - 19時00分
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休み |
日曜日,月曜日,祝日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
Gallery MoMo Projects
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒130-0014 東京都
墨田区亀沢1-7-15 |
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最寄り駅 | 両国 |
電話番号 | 03-3621-6813 |
GALLERY MoMo 両国では、5月20日(土)から6月17日(土)まで、アレグラ・パチェコによる個展「DEAR SAKARYMAN」を開催いたします。
本展は、パチェコの初の長編ドキュメタリー映画『Salaryman』の公開後、初めて行われる個展です。美術、写真、パフォーマンスを通して、サラリーマンに焦点を当てながら、過労、オフィスライフ、過労死について探る展示となっています。
「この映画は、ほとんど偶然にできたもので、サラリーマンの生活を記録していくうちに、サラリーマンの世界を正直に描き、理解するためには、サラリーマン自身の言葉で表現することが唯一の適切な方法であると思うようになった。」とパチェコは語り、数年前に東京に滞在していたときに、インタビュー、リサーチしたことをドキュメンタリー映画やアート作品に昇華しました。パチェコは、現代アートというレンズを通して、サラリーマンというテーマを再び探求しようとしています。
パチェコにとって、労働者の搾取や過労死というテーマと正面から向き合うことは必然でした。過労死の犠牲者は、計り知れない悲しみとともに、差別や恥辱に直面しています。このテーマを提起することで、会社や労働者を抑圧する法律ではなく、被害者を責める古い考え方が崩れ、変化が起こるとパチェコは信じています。彼女は、過労死は日本だけの問題ではないと考え、実際、日本に過労死という言葉があることは、意識改革への正しい方向への一歩であると考えています。
「コスタリカでも、他の国でも、過労死はありますが、オフィスではなく、バナナやパイナップルの農園で起こっているため、過労死と意識されることはないのです。ホワイトカラーの中産階級ではなく、貧困層で起きていることなので、私たちは眉をひそめることはないのです。実は、労働者の搾取は、利益率や生産性が人間の命より高く評価される場所で起きているのです。 この展覧会では、たまたま私がこのテーマを探求し始めた場所であるため、日本に焦点を当てていますが、これは世界レベルで関連するテーマであり、これらの問題に光を当てることは、文化や物理的な国境を越えた私たちの連帯責任です。」とパチェコは述べています。
写真作品だけでなく、日本の伝統的なものを混ぜたインスタレーション作品は、パチェコが捉えたコロナ禍以前の社会に日本が戻るのか、コロナ禍以降に見直された働き方を維持するのか、という問いを示唆しています。
本展では、同タイトルの写真集も発売される予定です。また、パチェコ初のドキュメンタリー映画『Salaryman』は、5月13日(土)に東京都写真美術館にて上映、トークイベントを開催する予定です。本展と合わせてご高覧いただければ幸いです。オープニングに合わせアーティストも来日予定ですので、是非ご来廊ください。
アレグラ・パチェコは1986年コスタリカ生まれ。2012年スクール・オブ・ビジュアルアーツ(ニューヨーク)写真学科卒業後、2014年にウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン)を修了しました。写真、絵画、ドローイング、インスタレーションなど様々な手法で作品を展開しています。
2012年、コスタリカの移民地区であるラ カルピオで厳しい環境下で働く女性と共同で制作された胸の形をしたソフトスカルプチャーによるインスタレーション『Boobs』を開催、2013年には、バッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)の招聘により、東京でのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加し、山本現代で二人展を開催すると共に、GALLERY MoMo Projectsでは、コスタリカでのプロジェクトを東京で再構成し『Boobs in Japan』を開催しました。その後、LAMB LONDON(イギリス・2015)、Vienti4/siete Gallery(コスタリカ・2018)で個展を重ねてきました。彼女の作品は、日本のプライベートコレクションに収蔵されているほか、Fundacion Massaveu (マドリード)にも収蔵されています。
アーティストコメント
コスタリカで育った私は、アーティストとして成功するためには、住んでいた小さな町から脱出する必要があると常に感じていました。
写真家になるためにNYに渡りましたが、結局ファッションのポストプロダクション、レタッチ作業で生計を立てることになりました。オフィスでの仕事は、私が目指していたものとは、正反対でした。
数年後、ビザが下りず、ニューヨークを離れざるを得なくなりました。貯金を全部かき集めて、気まぐれに東京に旅に出ることにしました。
私はすぐにサラリーマンに惹かれました。街を行き交う彼らの姿は、まるでスーツ姿の軍隊のように見えました。 会社による殺人事件のように。
深夜にサラリーマンが歩道で寝ているのがよく見かけ光景と知り、唖然としました。スーツ姿の男性たちが路上に倒れているのを見たとき、一瞬、殺人現場に見えました。
地元の人に聞くと、「酔っ払って終電を逃すから」と言う理由で片付けられてしまいました。それは納得できる反面、もっと何かあると感じました。
それが当たり前だということに興味を抱きました。あまりにも当たり前で誰も興味を持たなかったのでしょう。
その中に、ニューヨークでの仕事をする自分の姿を思い出しました。
その時点で、私はすでにストリートフォトでサラリーマンを記録していたのですが、さらにリサーチを進めることにしました。彼らのことをもっと知りたいと思ったのです。そこで、インタビューでは、仕事の後だけでなく、彼らの家庭や生活に焦点を移すことにしました。
写真とアートを融合させ、映画制作という未知の領域に踏み込むことで、サラリーマンの生き方をより広く、より深く描きたいと思ったのです。
私は、明らかに部外者でしたが、私たちの共通するもの、特に仕事が私たちの人生をどのように形成してきたかに興味を持ちました。
初めてサラリーマンが倒れているのを見たときに、私はその人に色々な意味を投影しました。
ドキュメンタリー映画でよくあることですが、「真実」が確定的な結論になることは少なく、具体的な答えがあるわけでもなく、リサーチは最終的に自己発見の旅になります。サラリーマンを取材し、彼らの生活体験を理解することで、私は個人的なレベルで答えを見つけることができました。他者から学び、自分たちの違いや共通点を探ることは、対話のための豊かな領域です。私たちは人生の大半を仕事に費やしているため、仕事とは何か、それが私たちや家族にもたらすものは何かを理解することは、重要な出発点となります。もし、これらの答えに不満があるのなら、より良い変化を実現するためにどうすればいいかを自問自答すればいいのです。
私たちは皆、何らかの形でサラリーマンをしているのです。 この映画を作るにあたって、私が学んだ貴重な教訓は、物事が暗く感じられるとき、途中で自分を見失いそうになったとき、私たちの周りには出口があり、それを探せばいいのだということです。
2023年 アレグラ・パチェコ
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