宮川 遥弥 「すずめの距離感」
会期: 2022-10-29 - 2022-11-13
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
開催内容
この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは、2022年10月29日(土)から11月13日(日)まで、
弊廊では初となる宮川遥弥による個展「すずめの距離感」を開催致します。
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」
宮川の作品を観ていると、鴨長明の「方丈記」を読んでいるような心持ちに包まれます。
ものごとが関わり合う中で生まれる「あそび」の部分に魅せられてきた宮川は、混ざり合い、変わりゆく万物を肯定し、そこから生まれる曖昧さを一貫したテーマとして、平面作品だけではなく、立体作品や、時にはインスタレーションとして表現してきました。
それ故に宮川の作品からは、すべてのものは移ろい変わりゆくもの、つまり常ならずものだとする仏教用語で言うところの「無常感」を感じるのかもしれません。
宮川自身が森羅万象から感じた流動的なイメージは、明確なモチーフを持たず、流れるような線と色彩の組み合わせで、キャンバス上に非現実的な形状として現れます。そして宮川が常日頃作品同様に書き溜めている言葉をタイトルとして添わせる事で、現実では捉えることができない、変化する可能性そのものの輪郭を作品として留めます。
白か黒ではなくグレーな状態を
曖昧なものをそのままに
目まぐるしく移ろい、そして明確な答えを求めがちな現代社会で、宮川遥弥はどんな曖昧さを作品に留め置いたのでしょうか。
作品と言葉、作家自身と社会との関係性を深化させた宮川遥弥の新作の数々。
この機会に是非ご高覧下さい。
【Statement】
常にそうあるものではなく、関係性の在り方によって流動的に形が変化し続けているような、ものごとの曖昧な輪郭を辿ることを、自分は日頃大切にしているように思う。
例えば、風に吹かれて消えてはまた生まれる雲
その環境とそこに住む生き物たちの営みによって変わる木々のかたち
時間と共に移り変わっていく光や影
といったもの。
話す人や状況によって変わる声色や表情、言葉の選択
その日の天気で揺れ動いてしまう体調や気分
言葉一つで変化する目の前で起こっている事実の捉え方
といったこと。
どんなに些細で個人的な振る舞いであっても、言葉や身体によって引いた境界線の内側でものごとは完結せず、常に少しずつ、自分の意図していた範囲の外にそこで起こった何かが滲み出していて、世界と混ざりあっているような感覚がある。
それは自分からの一方通行ではなく、世界の側からも同じように。
明確に区別できないグレーの範囲をどれだけ許容し保留にしておけるのか。
仮留めした状態の決断を、確定するのではなく
そこにある、あそびそのもので曖昧を形作っていくための方法を探したい。
宮川遥弥
【宮川 遥弥 / Nobuya MIYAGAWA】
1991
高知県生まれ
2015
多摩美術大学 絵画学科 油画専攻 卒業
2017
多摩美術大学大学院 絵画専攻 油画研究領域 修了
【個展】
2022
「彩るということについて」 Penguin’s House Green
2018
「電球をとりかえるように」 634展示室
【主なグループ展】
2022
「多摩美術大学助手展2022」多摩美術大学アートテーク
2021
「犬も歩けば棒にあたる 寺本明志×宮川遥弥」Art space Kaikas’
「多摩美術大学助手展2021」多摩美術大学アートテーク
2020
「PERMINUTE s/s コレクション× 宮川遥弥 Sarcophagus」 渋谷東口ビル
「スーパーソルト クラブリゾート」 逗子海岸
「TAMABI Trial Exhibition ANYHOW, 」多摩美術大学アートテーク
2017
「アタミアートウィーク2017 ~天つ風むすぶ熱~」熱海市内
2016
「アタミアートウィーク2016 ~流れ澱み沸き漂う~」熱海市内
「O’YA展Ⅴ」MONDAY ART SPACE
【成果展】
2019
「BankART AIR OPEN STUDIO」BankART Station
2018
「第9回 はるひ絵画トリエンナーレ」 清須市はるひ美術館