開催時間 |
12時00分 - 18時00分
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休み |
月曜日,火曜日,祝日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
ギャラリーキドプレス/Gallery KIDO Press
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒101-0021 東京都
千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 204号 |
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最寄り駅 | 末広町 |
電話番号 | 03-5817-8988 |
今回の木戸涼子の個展『Time for a snack Vol.2』は、前回2018年のKido Pressでの個展『# おやつのじかん/# time for a snack』の第二弾というべき作品群である。徹底的に「甘党」であり、そして食べることの好きな木戸が、アイスクリームやかき氷やカップケーキを描いた前回に続き、プリン・アラモードやゼリーや、果ては大きな飯の山にその山頂に鎮座する梅干を描くことは、「身近な日常に目を向けた主題を再び踏襲」などと平たく説明してしまうのではおよそ十分ではない、深い読みが必要だ。
美大を出て以来たゆまず絵を描き続けてきた彼女の年月の多くは、ほんの近年まで、「母親業」とのバランスをとりながらの作家生活であった。その結果…といっては表層的にすぎるかもしれぬが、過去のふたつの個展『春へのまなざし』(2009)や『雨ときどきわらって』(2012)は、「母」という言葉と呼応するような「柔らかさ」「包容力」「暖かみ」といったものがキャンバスから滲み出る作品群であった。
それが、前回、2018年の『# おやつのじかん』では大いに変化した。「おやつ」という居心地の良い題名にもかかわらず、画面に描かれた「甘い食べ物」たちの放つのは、強い自己主張であった。テンペラという古典的な技法によって重厚さを纏った「甘いもの」たちは、見る者に「どうだ」と拳をつきつけるような強靭な存在感を訴えてきた。子供との付き合いの日々の中から温かく柔らかい世界を描いてきた木戸が、ようやく自分自身のエゴに100%向き合える立ち位置を築いた故の、拳であろうか。そうやって木戸の変遷を捉えた時に、今回ふたたびテンペラを用いて発表する同じ主題の個展は、彼女の自我のさらなる探究だとわかる。浮遊するアポロチョコ、空を切るカット・リンゴ、銀の包み紙から忍び出るキャラメル群。木戸が細部まで綿密に描く食べ物たちは、本気で見る者の隙をついて襲いかかってくる。飯の山は世界を凌駕するようだ。『Time for a Snack』というリラックスを誘う題名に騙されぬよう、腹をくくって木戸の自我と向き合うべき展示である。
塩谷 陽子(Japan Society Artistic Director)
【作家コメント】
あいかわらず甘いものが好きだ。机の上にも鞄の中にも入っている。
見慣れた愛すべき形や楽しみを描いている。
現実の写しだけではなく一枚の絵画にできればと思う。
ギャラリーキドプレスでは、4年ぶりとなる木戸 涼子さんの『Time for a snack Vol.2』展を開催いたします。
古典技法のテンペラを用い描き出す作品を是非ご高覧ください。
〈テンペラ画について〉
テンペラ画は卵の乳化作用を利用して描く、油彩画以前からある古典的な西洋絵画技法です。
描画の時点では水溶性の絵具のため細かい描写が可能で、乾燥も早く、色彩も鮮やかです。
また透明な油彩と合わせて描くことで表現の幅も広がります。
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