開催時間 |
12時00分 - 19時00分
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休み |
月曜日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
TOTEM POLE PHOTO GALLERY
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒160-0004 東京都
新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F |
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最寄り駅 | 四谷三丁目 |
電話番号 | 03-3341-9341 |
4月、済州は春の花の香りが満ちた花の島になる。70年前の済州の風景も今とそれほど変わらなかっただろう。済州4・3、その年も変わらず春は戻ってきていたが、季節が与える温もりは冬の間凍りついた大地を溶かすだけで、その大地の上に立つ人々には届かなかった。
理念の炎にのみこまれた村は数え切れないほど多かった。なんの力も持たない民間人は苦しみながら倒れていた。済州全域にかけて起きた惨状は70年という時間が経た今も多くの人々の傷跡になって絶え間ない苦痛を想起させる。現在まで生存し事件のことを記憶し続け、それについて証言をしている方々の数ももう少なくなってしまった。精神的トラウマと外傷の苦痛は影のように付き纏い、依然として毎日を忍び苦しい日々を過ごしている。家族と夫、子供を失った遺族の方々の胸には4月になると変わらず椿の赤色のような深い偲びが咲き乱れる。
生存被害者の方々と遺族にとって事件現場は全て避けたい場所である。積み重なった歳月により古い痕跡を見つけることは容易なことではなく、記憶をたどって探して行った場所の中でも、昔の様子が残ってる場所はほとんどなかった。歴史的事件が起きた場所にまた訪れて行われる撮影は、昔日に経験した時間に向き合いながら辛い記憶を呼び出すことになる。夫を送った妻の皺立った目元に、お父さんを恋慕う息子の後ろ姿に切々たる思いが見えた。生まれたばかりに母を失った赤ん坊を抱きながら、その後を次ぐような旅立ちを見届けた兄の涙は今も涸れることなく流れた。
撮影期間中、過去の記憶と対面する過程が多くの方に安らかに傷を慰める時間になることを願った。その方々は何一つ忘れたことはないのだから。年々ほころぶ赤い傷を、今を生きるたくさんの人々が忘れないことを祈りながらその場に一緒にいた。個人の苦痛と傷が、歴史と立ち向かう現実が、写真を通してよりリアルに記録できたことを望んでる。
真冬の中でまた、春を待ちながら・・・