開催時間 |
10時00分 - 18時00分
入館は17時30分まで |
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休み |
月曜日
ただし、7月18日(月・祝)は開館、7月19日(火)は休館 |
クリエイター在廊 |
無
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入場料 |
有料 一般 1,000 円、高校・大学生および 65~74 歳 800 円、中学生以下および 75 歳以上無料(その他各種割引制度あり) ※一般以外の方(無料・割引対象者)は、年齢等が確認できるものをお持ちください |
展覧会の撮影 |
不可 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
練馬区立美術館
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒176-0021 東京都
練馬区貫井1-36-16 |
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最寄り駅 | 中村橋 |
電話番号 | 03-3577-1821 |
画家・舞台美術家として活躍した朝倉摂(1922-2014)の全貌に迫るはじめての本格的な展覧会です。
彫刻家・朝倉文夫(1883-1964)の長女として東京・谷中に生まれた朝倉摂は、17 歳のときから伊東深水に学び、日本画家としてスタートを切りました。
戦後、創造美術を経て新制作協会日本画部に所属する中で、キュビスム的な作風へと展開を見せます。また日本画の在り方に対する問題意識にとどまらず社会問題にも視野は広がっていきました。しかし 60年安保闘争の挫折感は朝倉を絵画から遠ざける一因になったと思われ、その後、朝倉は舞台美術の世界に新しい可能性を見出していきます。
生前、作家の意向から、画家時代の作品が公開されることはほとんどありませんでした。
作家の没後、アトリエに残された作品の多くが各地の美術館に寄贈されることとなり、戦前・戦中・戦後をつなぐ朝倉の足跡が見えてきました。本展では、絵画作品に加え、代表的な舞台美術の下絵、挿絵、絵本の原画など約 200 点を通し、朝倉の創作活動を紹介します。
[展示構成]
第 1 章 画家としての出発——リアルの自覚
1922 年、東京市下谷区谷中町に生まれた朝倉摂は、父の教育方針により学校へは一切通わず、自邸に招かれたさまざまな分野の教師から教えを受けました。17歳のときに伊東深水に日本画を学び早くからその才能を認められます。《更紗の部屋》や《歓び》は、モダンな女性像を清新な表現で描き出した初期の代表作です。
戦後は新美術人協会から発展した創造美術や、一采社が主な発表の場となります。またピカソのキュビスムに触発された大胆な構図で女性裸体を描いた《群像》を発表し、それまでとは一線を画す新しい作風の確立につなげていきます。
第 2 章 日本画と前衛——リアルの探求
1950年代には朝倉の絵は社会派の色合いを強めていきます。この頃《働く人》など、戦後たくましく働く母親、貧しい子供たちの姿に焦点が当てられました。また同じく社会派の美術家たちとスケッチ旅行を繰り返し《ズリ山》などの作品が生まれました。
この頃の作風としては、ベン・シャーンやビュッフェに影響を受けた、不安や虚無感を感じさせる黒く厳しい描線が特徴的です。1959年には、ウイーン青年学生平和友好祭に参加しそのステージに触発された作品《黒人歌手ポール・ロブソン》を制作。また翌年の60年安保運動にも傾倒しました。しかしこうした連帯を経験することで、制作や評価が個人に帰される画家のあり方に限界を感じるようになり、その後は舞台美術の世界へ活動の中心を移していきます。
第 3 章 舞台美術の世界——イメージは発見
朝倉が本格的に舞台美術に取り組みはじめる 1950年代半ばから 60年代には、青俳、作品座、青年座、青芸といった小劇団と深い関わりがありました。日本画の枠組みに疑問を持ち、社会的なテーマで制作を行なってきた朝倉にとって、並行して演劇に参加することは、ジャンルにとらわれない創作姿勢を貫く必然的なものであったといえます。1970 年、所属していた新制作を退会することで画家としての区切りをつけると、舞台美術に専念していきます。代表作には、全体が階段で構成された蜷川幸雄演出の「ハムレット」「にごり江」などがあります。
第 4 章 挿絵の仕事——余白を造形すること
朝倉は多くの絵本や小説の挿絵を遺しています。連載小説の挿絵としては松本清張の小説「砂の器」があり、また 60年代の後半からは、絵本の仕事も増えてきます。絵本挿絵では題材に合わせ画材も様々となり、テクスチャを前面に打ち出した作品が目立ってきます。1972 年には大佛次郎『スイッチョねこ』で講談社出版文化賞絵本部門を受賞し、この分野でも一定の評価を得ることとなりました。
画材や手法が多様になっていく 1960年代後半は、日本画から舞台美術へと朝倉の活動の比重が移っていった時期でもあり、挿絵は文章に書かれない「余白」を造形する作業であり、戯曲と装置との関係に似ているとも語っています。
主催:練馬区立美術館(公益財団法人練馬区文化振興協会)、東京新聞
助成:公益財団法人 ポーラ美術振興財団