開催時間 |
12時00分 - 19時00分
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休み |
月曜日,火曜日,水曜日,木曜日
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入場料 |
無料 |
展覧会の撮影 |
可 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
harmas@fabre-design.com
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒135-0024 東京都
江東区清澄2-4-7 |
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最寄り駅 | 清澄白河 |
電話番号 | 03-3642-5660 |
アルマスギャラリーでは、5月14日から横山麻衣による個展を開催します。
横山麻衣の絵画上では、ぎこちない拙さが残る図像と考え抜かれた色彩が拮抗するように同居しています。
画面上ではデジタル画像としか見えないそれらの作品はその実、iPad上で描かれたデジタルデータの元絵を忠実に油絵の具でキャンバス上に写し描いたものです。
元の図像はiPadのお絵かきアプリ上で作られたものであり、モチーフを極端にデフォルメして透過するデジタルブラシによって描かれたものです。ある部分の形態は、別の元絵にコピー&ペーストで持ち込まれ、色調を変更され合成されています。
反面、多彩な機能ゆえの予期せぬアクシデントも起こりますが、そういった事態が作家の想定を超えて画面に変化をもたらしてくれるのです。
質量のないデジタル空間から引き出された元絵を、あらゆる制限のある現実世界で油絵の具という物質でキャンバスに描き直していくことにおける摩擦感が、なによりも重要だと作家は捉えているようです。
一月、西伊豆を訪れた。山間を抜けて海沿いの崖道に出た時、不意に視界に富士山が立ち上がった。
冬ざれの湾に浮いているかのような淡色の山体をじっくりと眺めたくなり、路肩に車を止めて扉を開けたその瞬間、
潮風が塊となってぶつかってきた。背後の崖に逃げ場を阻まれ、狭い道でぐるぐる渦巻く大風は立っていられないほどで、
髪はほどけ前が見えず、体ごと巻き上げられて崖下に投げ出されてしまうのではないかと───恐怖に足が竦んだ。
遠雷のような海鳴り。車の向かいから母が何か叫んでいる。風の中、かすかに声が聞こえた。
冬の西伊豆は風が強い。海沿いに生まれ育ったわたしは夕暮れ時の海風を知っていたが、
これほど強く荒んだ海風を経験したことはない。荒れる海に白波がループする風景が、目の深いところに焼き付いて離れなかった。
風が吹き、海が揺れ、波が立つ。変換と再構築の過程で生じる摩擦は、いびつさや揺らぎといった手触りをもたらす。
反復、複製、変容。西伊豆で見た白波のループのように、蓄積や反復の中から都度異なる解を取り出し、
組み合わせを試すことで、予期しえなかった光景と出会うことができる。
2022.5.8 横山麻衣
ご来場の際はマスクの着用および入り口での消毒液のご使用をお願いします。