佐方晴登写真展「Dead. But not dead.」

  • 印刷する
  • add calendar
会 期
20220121日 -  20220126
開催時間
12時00分 - 20時00分
最終日17:00まで
休み
会期中休廊日無し
クリエイター在廊

会期中終日在廊予定
入場料
無料
展覧会の撮影
作品の販売有無
展示のみ
子連れ
この情報のお問合せ
佐方晴登 / 090-6397-5487 h.sakata0116@gmail.com
Alt_Medium / 03-5996-8350 inquiry@altmedium.jp
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
Alt_Medium
住所
〒161-0033 東京都
新宿区下落合2-6-3 堀内会館102
最寄り駅
高田馬場
電話番号
03-5996-8350

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

近年「事故物件ブーム」がにわかに巻き起こり、それにまつわる商業映画や、小説、ネット記事が数多く制作される様になりました。事故物件なる言葉はブーム以前から存在していましたが、日本人に古くからある意識、不浄の概念の現代版のようであり、現代日本の消費文化と結びついてホラー映画的な一つのカルチャーになりました。

しかし本来、生と死という概念は古くから人類が直面してきた現実的、哲学的な問題であり、資本主義的消費文化が根付く以前は軽々しく扱ってしまう様なテーマではなかったように思います。

私は生と死が一種の商品として市場に流通している事に対し、非常に違和感を感じてきました。思えば、子供の頃から慣れ親しんできた正義と悪の戦いの物語、感動的な死… 日本から遠く離れた紛争、それに巻き込まれて死んでいった子供達… そういった類のエンターテイメントやニュース番組を日々消費する事で本来の死の匂いから遠ざかっていく感覚がありました。虚構の死に感動し、遠い世界の紛争に心を痛めては、直後に流れるCMやグルメ番組に気を取られて忘れてしまう。身近に存在するはずの生と死を感じる事なく、不自由ない生活をおくる。この「事故物件ブーム」も似たような現象であり、その場所で生きて死んでいった方々を不可視化する事により、商品として流通する。そうなると、孤独死や、自殺といった社会問題が一層軽視されてしまいます。

今回、この作品の為に計80箇所の事故物件を撮影しました。日本経済の中心地、東京の山手線沿線に絞り撮影を敢行。古い木造アパートメントや、タワーマンション、高級住宅地の一戸建て、ラブホテルにオフィスビル。古くからの長屋や一軒家、バラックなどを撮影しました。歌舞伎町や、丸の内のオフィス街など、著名な街は写真に土地の象徴性が帯びてしまうのでなるべく撮影していません。出来るだけ一枚一枚が同質、均一の写り方になるよう、正方形フォーマットのフィルムカメラを使用し、覗き見をしているようにみせる為、建築写真でなくスナップ写真の手法で撮影しています。更に暗室でのプリントの際、色眼鏡、不可視化、死のイメージの意味も込めて青色を大量に加色しています。

この撮影方法により、現代人がその場所で生きて死んでいった人々を軽視し、不可視化、消費する為の商品に作り替えている現状を写真で表現しました。この事故物件を撮影するという行為は多数のレイヤーを重ねて生と死を見る事になります。人が亡くなった部屋(亡くなってから経過した時間)/ 建物の壁/ カメラと撮影者/ 撮影されてプリントされた写真を見る鑑賞者という様にです。それに、写真は表面上の物質のみ描写する為、死を間接的にしか感じる事が出来ません。事故物件である、という言葉を付け足す事により、写真に意味付けがなされますが、写真はあくまでカメラを通して複製された劣化コピーであり、作り物です。作り物では安直な解釈・消費を招いてしまいます。映像メディアをメディウムにすると、真摯に死に向き合っている様で向き合えないというジレンマが生じるのです。加えて、このアイロニカルな方法論は、事故物件を撮影する事により、これらを我が物にしている私自身に対しての自己批評をも含んでいます。

私はこの個展によって、資本主義社会の消費文化に対する問題提起、映像メディアのジレンマ、自殺や孤独死といった社会問題、生と死という哲学的な概念に対する思考を促せたらと考えています。

新型コロナウイルス感染症予防対策

新型コロナウィルス対策として入場制限などを設ける場合がございます。

平均:0.0 
レビューした人:0 人

近くの展覧会

人気の展覧会

<<        >>

クリップした展覧会はありません。