石田恵嗣 個展

石田恵嗣《Scene#003》955x850x40mm、2021、キャンバスに油彩

石田恵嗣《Scene#003》955x850x40mm、2021、キャンバスに油彩

    タグ
    • 印刷する
    • add calendar
    会 期
    20211008日 -  20211024
    開催時間
    12時00分 - 19時00分
    土日祝 11時00分~17時00分
    休み
    月曜日,火曜日
    入場料
    無料
    作品の販売有無
    販売有
    この情報のお問合せ
    ARTFRONT GALLERY
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    ART FRONT GALLERY
    住所
    〒150-0033 東京都
    渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラス A 棟
    最寄り駅
    代官山
    電話番号
    03-3476-4869

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

    この度アートフロントギャラリーでは、日本で初めてとなる石田恵嗣個展を開催致します。
    よろしくご高覧賜りますよう、あわせてご取材・ご掲載等よろしくお願い申し上げます。

    石田恵嗣は1975年千葉県生まれ。日本で大学を卒業後、一般企業に勤めたが、予てより渇望を抱いていたモノづくりの道をもとめて2006年からイギリスに留学し、チェルシーカレッジでBAを卒業。2011年にRCAへ進学し、2013年に同校を修了した。その後も2年間ドイツに滞在しながらロンドンのギャラリーからアートフェアに出るなどヨーロッパを中心に作家活動を続けてきた。これまで、日本での発表の機会は少なく、今回が日本での初個展となる。

    石田の描くイメージは、部分的に50年代のイギリスコミックを思い起こさせる。一見、子供用絵本の挿絵のような絵画はどこか懐かしく素朴な印象を持つが、よく見ると現実には起こりえない不思議な物語性が見てとれる。また同時に、画面上には絵画としての色や形、描き方の探求が見てとれ単なる絵本には無い、荒々しい筆跡やドローイングのような線も魅力的である。

    石田の絵画の最も顕著な特徴はイメージの並置にある。一見、ノスタルジックな感じを漂わせる独特なイメージは、50年代-70年代に書かれたイギリスなどの海外の絵本にそのルーツがある。子供用の絵本(おそらく小学生用)のイメージは、もともと教育的な意味や教訓を教えるために作られたストーリーに準じて描かれたものだっただろう。しかし石田は、その動きや表情などストーリーにおける状況をそのままに、キャンバスの上に移し替え、そこに、また別のリファレンスからもたらされたイメージ(オリジナルとは違うシチュエーション)を用いこれに並置させる。この脈絡のない並置が、そのキャラクターと状況に全く異なる物語を生み出すこととなる。脈絡のないもの同士の組み合わせは、主にシュルレアリストが、精神分析や無意識を引き出すために、好んで用いた手法だが、石田のそれはこれらとは違っている。石田の絵画の中に時折、ファンタジー的な要素や妖怪などが登場することもあるため、魔術的リアリズムの様にとらえられることもあるが、これも違っているといっていいだろう。というのも、上記のどちらもあくまで素朴に現実をベースにして、シチュエーションの一致しない異なるイメージ同士の並列を用いてわかりやすい非現実的なイメージを作り出しているからだ。

    石田のイメージの元はあくまで、絵本であり現実ではない。誰かの作り出した何かしらのストーリーや状況をほかのもう一つの切り離された世界感と並列に置き、知っているようで知らない世界を作る。これは、従来の東西の美術や小説よりもむしろアニメや漫画、またはSFに近い、一種のIF(もしもの)ストーリーの様であり、ここにかつてのシュルレアリストとは違う現代性が見てとれる。もともとのストーリーにおける意味や役割を失ったキャラクターと状況を示唆するイメージは、観る者の経験をもとに全く違うストーリーとしてみるものにその状況判断を委ねられる。ある意味オープンエンドな絵画であるといえるかもしれない。そこには、シュルレアリストが求めた不自由な自由(予期された意外性)はなく、作者も意図しないような新たな組み合わせと読まれ方が存在するだろう。

    今回の個展では、2枚一組の作品を6組程度と大判の新作絵画2点を発表する。石田の新しい試みは、2枚の絵画を並列に置くことで、2コマのイメージを作り、絵画1枚で見てとれるシチュエーションに時間を加え、さらに複雑な物語性を呼び込むことである。あくまで静止画である絵画はこれにより映像的な時間の流れの側面もはらむようになり、そのストーリー展開は観る者の持つ経験によって異なる変化を作り出すことになるだろう。
    これまで、日本で見ることのできなかった稀有な才能が生み出す新しい物語をこの機会に是非ご覧いただきたい。

    平均:0.0 
    レビューした人:0 人

    近くの展覧会

    人気の展覧会

    <<        >>

    クリップした展覧会はありません。