吉田 晋之介|PERISCOPE

吉田晋之介 “植物のある部屋- 対岸の火事”   2020 年 油彩、キャンバス  162.0 x 162.0cm ©Shinnosuke Yoshida

吉田晋之介 “植物のある部屋- 対岸の火事”   2020 年 油彩、キャンバス  162.0 x 162.0cm ©Shinnosuke Yoshida

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    会 期
    20210814日 -  20210911
    開催時間
    12時00分 - 19時00分
    ※コロナウィルス拡散防止の影響等で会期が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
    休み
    日曜日,月曜日,祝日
    入場料
    無料
    作品の販売有無
    販売有
    この情報のお問合せ
    Gallery MoMo Projects
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    GALLERY MoMo Ryogoku
    住所
    〒130-0014 東京都
    墨田区亀沢1-7-15
    最寄り駅
    両国
    電話番号
    03-3621-6813

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

     GALLERY MoMo Ryogoku では吉田晋之介の4 年ぶりの個展「PERISCOPE」を8 月14 日( 土) から9 月11 日( 土) まで開催いたします。
     吉田晋之介は1983 年埼玉県生まれ、2012 年東京藝術大学大学院を修了し、2009 年のシェル美術賞展で準グランプリ、2012 年のアートアワードトーキョーでは長谷川裕子賞を受賞しました。2013 年にはVOCA 展にて佳作賞を受賞、また神戸ビエナーレ2013や大阪、東京、金沢と巡回した グループ展「北加賀屋クロッシング2013 MOBILIS IN MOBILI- 交錯する現在-」にも参加し、高い評価を得、2014 年には、岡本太郎賞に入選しました。
     初期の吉田作品に特徴的なのは、ダムや山間部の崖の崩落防護壁など人工的な造営物を、匿名性を持った具象的なイメージで描き、その背景に人間の営為に対する信頼性と敬意が内在した作品でした。
     しかし、東日本大震災を機に自然に対する抗いようのない破壊力にその思いは一変し、描かれる人工的な対象物は自然の中で崩壊と混乱を象徴的に示すことになりました。また、原発事故は、流布している情報に疑問を持たせ、五感で感じることのできる変化はないにも関わらず、目に見えない放射性物質への恐怖が吉田の日常の風景を変えました。
     震災後現地に赴くものの、抽出されるイメージの多くはテレビ映像やネットによる映像が圧倒的なものとなり、現実に眼にしたものとメディアを通した映像が複合的に重なるように描かれ、具象的なモチーフでありながら思考を重ねた抽象性も感じさせる画面へと変化して行きました。この一連の体験は、吉田の常識を覆し、制作への考え方を大きく変化させました。
     前回の個展では、アメリカの心理学者であるJ・J・ギブソンが唱えた物に変化を加えることであらわれてくる不変なもの、構造の本質を定義する「不変項(invariant)」に興味を持ち、一つのテーマやモチーフにこだわらず、自身の変化を受け入れ制作した作品を展示しました。
     しかし、新型コロナウイルスの影響で2020 年に予定されていた個展は延期され、「日常はマスクで顔を覆われ、ソーシャルディスタンスやオンラインコミュニケーションを強いられることとなり、風景はつくづくシルエット的で、ものごとの本質を捉えにくくなったように感じる」と語り、そうした刻一刻と変化する状況の中、「窓から覗いて見えたものを全身で感じ取り、この時この環境だからこそつくれるもののことを考えていきたい」と述べ、「不変項」へのあくなき探求を続けています。
     残暑厳しい折、ご高覧いただければさいわいです。

    アーティストコメント

    今回個展のタイトルに選んだ「PERISCOPE(ペリスコープ)」は、英語で「潜望鏡」という意味である。

    前回の個展「マルチウィンドウ」(2017 年10 月開催)から4 年が経ってしまった。
    展覧会を終えた後の2018 年当初、次回の個展は東京五輪2020 の開催期と重なることから着想し、「東京」をテーマとした展覧会を企図していた。

    世の中は平成から令和となる。
    2019 年10 月に最愛の祖母を亡くし、その後すぐに世界中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行り出す。翌2020 年には緊急事態宣言に伴う外出自粛、マスク常時着用、ソーシャルディスタンス、そして感染への恐怖を世界中の多くの人とともに経験する。
    祖母が逝ってちょうど1 年後の10 月、祖父も他界してしまった。
    2021 年5 月現在、東京五輪は延期を経てまだ開催可否についての議論がなされている。

    コロナ禍では、勤務先の仕事の性質上、結局年中オンライン授業対応に忙殺されることとなり、普段の制作環境を全く保てない状況が続いた。
    外出自粛ムードの中、生活のほとんどは自宅のある日暮里と、勤務先の上野との往復になる。感染を恐れ、勤務以外の外出は極力控え、毎日最小限のごく限られた人としか会わなかった。
    美術界隈の動きや他作家の活動や作品は、この1~2 年間はほぼインターネット上でしか把握できていない。
    かつてのアーティスト仲間との交流も、今はほとんどおこなっていない。
    外界の動きは毎日インターネットでチェックしているが、その情報も、なんだかより濾し取られた断片的なものになっているように感じる。

    人間の社会生活において、他者から知覚される他者の不変項【※注】は極めて重要である。人間同士のコミュニケーションとは、相手の変形の中から抽出される不変項を、持続的相互に探り合うことであると言える。
    マスクで顔を覆い、ソーシャルディスタンスやオンラインコミュニケーションを強いられることとなったこの状況では、ものごとの本質を捉えにくくなったように感じる。

    かつて私は、自身の博士論文の中で石膏デッサンの本質についてこう考察した。
    日暮里と上野とインターネットをマスクをつけながらひたすら巡回するだけの小さな動きから見えてくる世界は、つくづくシルエット的であると思う。
    新型コロナウイルス感染症蔓延による予想だにしなかった世界の変化の中で、当初描いていた「東京」は自分には大きすぎるように感じるようになった。

    それにしてもこのコロナ禍は長い。

    まだしばらく、他者との物理的距離を保つために潜らなければならないだろう。私はそこから日々、覗き窓をぐるぐる覗く。
    このいわばシルエット的にしか世界を見ることのできない窓から覗いて見えたものを全身で感じ取り、この時この環境だからこそつくれるもののことを考えていきたい。

    2021 年 吉田晋之介

    【※注】不変項(invariant)とはアメリカの心理学者である J・J・ギブソンが唱えた、物に変化を加えることであらわれてくる不変なもの、構造の本質のこと。動物は変化
    ( 動き) の中で、不変であり続ける物の性質を抽出する。不変項は直接目に見えるものではなく、その意味で抽象的なものだ。

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