素粒子

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会 期
20210612日 -  20210620
開催時間
13時00分 - 19時00分
この情報のお問合せ
info@changting-gallery.com
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
長亭Gallery
住所
〒103-0005 東京都
中央区日本橋久松町4-12 コスギビル4F
最寄り駅
馬喰横山
電話番号
-

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

 まわりくどく大袈裟に話をした時、顛末を表す総体は「終わり」の中にあるだろう。今日の前にひとつの
現象としての昨日があり、「さっき」や「今」は1/75秒のうちに消えていることをよく実感する。地続きの
現象を消えるや現れると表現することは二元論なのだろうか。
 甘いものを摂取しよう。食パンに小さなタイル状のバターを敷いてその上にきび砂糖をふりかける。なる
べく多くふりかける。それをオーブントースターで五分焼く。バターはじんわりパンに染み込んでいる。き
び砂糖は茶色く焦げて固まるが、古くてどうしようもない壁面のようにヒビが入っている。かじるたび割れ
て落ちるのでなるべく水平に持つことに集中する。また、両手についたパンのカスや指に垂れたバターをす
ぐに拭いておかないと気が済まないので、皿から持ち上げたら食べきるまでは手から離したくない。
 生活が変わり、物音でよく目が覚めるのだが、カーテンを開けても天気がわからない。建物が布のような
もので覆われているせいだ。コツンコツンという音があらゆるところから反響している。カンカンという音
にも似ているだろうか。トントンと表現することもあるかもしれない。比定できないのは僕がその音を鳴ら
す道具を持っていないからだと考える。それは正しくもあり間違ってもいる。経験に基づいた考察を無責任
なまま放置し、どこかで回収しなくちゃならない時に、可能性という言葉が拠り所となる。四月まではこん
な音を毎朝聞かされると思うと賃貸物件の大掛かりなリフォームは定期メンテナンスの怠慢のしわ寄せでし
かないことを呪う。でもそれがあってもなくても毎日に影響が出ないのだから呪いはすぐに解けているし、
結局どうでも良いってことになる。
 別の話題。
たまに手を上にかざしている。自分の存在を認識しているのだと思ったこともあったがそうじゃない。ただ
ただ「ひとつになろうとしている」。目に映る像はきっと、位置関係の把握には興味などなく(というか認
知能力があまりない)、手と天井の空間が狭まって見えている。観点を忘れることができているように感じ
られた。それにより「天井」と「手」ないしは「自分」が混ざってひとつであることを僕やほかの人よりよ
く理解している。
 もう一度物音で目が覚めた。ウロウロ歩いて花畑の前で1分~2分ほどの体感で眺めて、その前後では必ず
トイレに入っている。週に2回、決まった曜日にそれをやっていた。が、決め事ではないのでもうしないと
思う。(しないで良いと思えばまた四月になったらきれいなチューリップを見に行くだろう。)だいたいの
場合は前日の深夜ラジオをタイムフリー機能で聴いているので誰にも邪魔はされたくないが人と会えば愛想
よく話すこともできる。愛想よく、というのは自分の尺度でしかないが、人格を分断できている気がして僕
は社交的な印象の僕にとても励まされる。
すべては僕の話。僕にまつわる話。
すべては素粒子の話。
たまたま僕は風景画を描いている。
田中良太

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