開催時間 |
10時00分 - 22時00分
火曜は17時00分まで ※入館は閉館時間の30分前まで ※会期中無休 ※ただし、5/4(火)は22:00まで |
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休み |
政府による緊急事態宣言発令を受け、新型コロナウイルスの感染予防および拡散防止のため、下記の期間、臨時休館いたします。
2021年4月25日(日)~5月11日(火) ※状況により、休館・休業期間を延長する場合があります。あらかじめご了承ください。 |
入場料 |
有料 一般[平日]2,000円(1,800円)、[土・日・休日]2,200円(2,000円)ほか ※本展は、事前予約制(日時指定券)を導入しています。専用オンラインサイトから 日時指定券」をご購入ください。 ※専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )の料金が適用されます。 ※当日日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでご入館いただけます。 ※表示料金は消費税込 ※4/30(金)、5/6(木)、5/7(金)は、[土・日・休日]料金となります。 ※チケットのご購入に関する最新情報はウェブサイトにてご確認ください。 ※本展のチケットで、同時開催の MAMコレクション013:さまざまな線、宇宙のぜんぶ—草間彌生、プラバヴァティ・メッパイル、ツァイ・チャウエイ (蔡佳葳)」、 MAMスクリーン014:シプリアン・ガイヤール」、 MAMプロジェクト029:オスカー・ムリーリョ」をご鑑賞いただけます。 |
展覧会の撮影 |
可 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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子連れ |
可 |
この情報のお問合せ |
050-5541-8600(ハローダイヤル)
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒106-6150 東京都
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F |
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最寄り駅 | 六本木 |
電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
71歳から105歳まで、全員現役!
森美術館は、2021年4月22日(木)から9月26日(日)まで、「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力一世界の女性アーティスト16人」を開催します。
近年、ジェンダー、人種、民族、信条など多様なアイデンティティの不均衡を正し、ダイバーシティ(多様性)を重視する動きが世界各地に広がっています。現代アートにおいてもこの10年ほどの間、1950年代から70年代に活動を始め今日まで継続してきた女性アーティストたちに注目が集まっています。
「アナザーエナジー展」では、世界各地で挑戦を続ける70代以上の女性アーティスト16名に注目し、彼女たちの活動に光を当てます。16名の年齢は71歳から105歳まで、全員が50年以上のキャリアを積んでいます。また、その出身地は世界14カ国におよび、現在の活動拠点も多岐にわたります。それぞれが置かれた環境や時代の変化のなか自らの信念を貫き、美術館やアートマーケットの評価にとらわれることなく、独自の創作活動を続けてきました。
本展では、絵画、映像、彫刻、大規模インスタレーションにパフォーマンスなどの多彩で力強い作品をとおして、長いキャリアのなか、ひたむきに挑戦し続けてきた彼女たちの特別な力、「アナザーエナジー」とは何かを考えます。世界が未曾有の事態から復興しようとする今、彼女たちが変わらぬ信念を貫き生涯をかけて歩みを続けている姿は、私たちに挑戦する新しい力を与えてくれることでしょう。
[本展の特徴]
参加アーティスト16人全員が70代以上、アーティストとしてのキャリアは50年以上!
戦後動乱期の1950年代から1970年代にかけて活動を始め、2020年の現在に至るまで世界各地で制作活動を続ける女性アーティスト16人に光を当てます。年齢は71歳から105歳まで、彼女たちの50年以上におよぶキャリアを、それぞれ初期作品から代表作、本展のための新作などを多角的に紹介します。
世界14か国出身のアーティストたちは、世界をどう見てきたのか
アーティスト16人の出身地、現在の活動拠点、表現方法、さらに生き方は実に多様です。本展では、各アーティストの実践や人生から、フェミニズム、移民の歴史など世界の問題や事象、さらには美術史のさまざまな解釈などが見えてきます。
アーティストの活動の軌跡や作家同士のつながりが見えてくる多彩な展示とラーニング・プログラム
展示室内では、単に作品を展示・紹介するだけでなく、それぞれのアーティストの活動やこれまで歩んできた人生の軌跡、さらには異なる背景をもつアーティストたちの作品に見られる共通点などにも触れます。また、展覧会会期中には、展覧会のコンセプトや彼女たちの「アート十ライフ」をより良く理解するためのレクチャー、アーティスト・トークなどのプログラムも企画しています。
展示とアーティストにさらに迫る展覧会カタログ
展覧会の展示風景図版と二人のキュレーターによる主論考2本に、各アーティストの個人史や作品の変容に焦点を当てた世界各地の専門家による論考16本を加えた展覧会カタログの刊行を予定しています。
美術館における展覧会での実体験とあわせ、本カタログを通してさらにアーティストたちの「アナザーエナジー」を知ることができます。
[出展アーティスト] (姓のアルファベット順)
エテル・アドナン 1925年ベイルート生まれ、パリ在住
フィリダ・バーロウ 1944年英国、ニューカッスル・アポン・タイン生まれ、ロンドン在住
アンナ・ボギギアン 1946年カイロ生まれ、同地在住
ミリアム・カーン 1949年スイス、バーゼル生まれ、ブレガリア在住
リリ・デュジュリー 1941年ベルギー、ルーセラーレ生まれ、ローフェンデゲム在住
アンナ・ベラ・ガイゲル 1933年リオデジャネイロ生まれ、同地在住
ベアトリス・ゴンザレス 1938年コロンビア、ブカラマンガ生まれ、ボゴタ在住
カルメン・ヘレラ 1915年ハバナ生まれ、ニューヨーク在住
キム・スンギ 1946年韓国、扶餘(プヨ)生まれ、パリ在住
スザンヌ・レイシー 1945年カリフォルニア州ワスコ生まれ、ロサンゼルス在住
三島喜美代 1932年大阪府生まれ、同地および岐阜県在住
宮本和子 1942年東京都生まれ、ニューヨーク在住
センガ・ネングディ 1943年シカゴ生まれ、デンバー在住
ヌヌンWS 1948年インドネシア、ラワン生まれ、ジョグジャカルタ在住
アルピタ・シン 1937年インド、バラナガル生まれ、ニューデリー在住
ロビン・ホワイト 1946年ニュージーランド、テ・プケ生まれ、マスタートン在住
[出展アーティスト(16人)のプロフィール]
エテル・アドナン
1925年、ベイルート生まれ。詩人、著述家、画家。1960年代からイメージと文章、東洋と西洋、近代と現代をかけ合わせ、大陸間、文化間を行き来する自身の人生か反映された作品を制作。日本文化や、他文化に大さく影響を受けた多様な作品群には、風景、抽象、色彩、文章、記憶や歴史に対する複層的な探求がうかがえる。また、世界的な反戦運動への連帯感を表明するアドナンの、繊細でありながらもはっきりとした政治性か見てとれる。
フィリダ・バーロウ
1944年、英国、ニューカッスル・アポン・タイン生まれ。第二次世界大戦から復興を遂げるロンドンで育ち、美術を学ぶ。絵画と彫刻を制作してきたバーロウは、物質の表面や形の美しさではなく、時間や質量、バランスやリズムなど、物質の状態へ関心を寄せ、崩れ落ちそうな構造体や、立ち上がりそうな形状など、変容しつつある状態の立体作品を制作。コンクリートや集合材、段ポールなど安価な工業用材料を使い、その剥き出しの素材同士が生み出す絶妙なバランス感が、作品に通底している。2017年、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ英国館代表。
アンナ・ボギギアン
1946年、カイロ生まれ。1960年代に政治学を、1970年代にモントリオールで美術と音楽を学ぶ。現在は遊牧民のように世界各地に滞在し、それぞれの地域の歴史、政治、社会状況のリサーチの結果をトランスナショナルなテーマと結びつけ、相互の関連性を探ってきた。ドローイングを切り抜いた紙人形劇のようなインスタレーションは、世界を俯瞰すると見えてくる近代社会の光と影を雄弁に物語る。2012年のドクメンタ13以降、大規模個展や国際展への参加が続く。
ミリアム・カーン
1949年、スイス、バーゼル生まれ。1970年代に反核運動などの社会的動向に影響を受け、アーティストとしての活動を始める。力強い線描を特徴とする木炭のドローイングや色彩豊かな油彩は、差別や暴力などの社会問題、戦争、ユダヤ人女性である自身のアイデンティティと深く関わっている。2017年にはドクメンタ14に参加。2019年にはベルン美術館、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)、ワルシャワ近代美術館の3館を巡回する大規模個展を開催。
リリ・デュジュリー
1941年、ベルギー、ルーセラーレ生まれ。初期作品には、1960年代のミニマリズムにみられた非人間的な冷ややかさに対するフェミニストとしての反感が表れている。身体、物質、文化の関係性を起点に、絵画から彫刻、映画、パフォーマンス、写真などを融合させ、独自の表現領域を広げる。沈黙、無音、不在の詩的表現が作品の主要素であり、なかでもアクション(行為)の必要条件である「静止」が重要視されている。本展では、1967年から2009年までの彫刻、素描、ビデオ作品を展示予定。
アンナ・ベラ・ガイゲル
1933年、リオデジャネイロ生まれ。ブラジルを代表するアーティストのひとり。1950年代から制作を始めたガイゲルの作品群の中心には、エンゲージメントと実験性が据えられている。初期の抽象作品は自身の身体と結びついたもので、同様に、写真、映像、彫刻などメディアを横断する作品も、社会的状況と何らかの関係性があった。ブラジルの政治的混乱のなか、ポーランド系移民として西洋近代を経験したガイゲルは、制作活動を通して、地政学的な国境やアイデンティティを再考し続けている。
ベアトリス・ゴンザレス
1938年、コロンビア、ブカラマンガ生まれ。建築、絵画、美術史を学び、1960年代に活動を始める。西洋美術史と地元の新聞から図像(イメージ)を引用し、それらを形状や平面性、カラーパレットに基づく視覚言語を用いて変換する作品を制作。タブローという形式にとらわれることなく、カーテンや家具、壁紙などの日用品を支持体として用いており、そこにはポップ・アートとの関連性か見てとれる。本展では、多様なメディアを用い、母国コロンビアの政治・社会的混乱に言及した近作を展示予定。
カルメン・ヘレラ
1915年、ハバナ生まれ。米国における幾何学抽象表現の先駆者のひとり。ハバナで建築を学んだあと、ニューヨークのアート・ステューデント・リーグで絵画を学び、当時ニューヨークで始まった抽象表現主義のアーティストたちと交流するようになる。戦後、芸術と文学が興隆を迎えたパリに移住し、1960年代からは絵画の他、抽象に向かう建築の彫刻シリーズ「Estructuras(スペイン諾で構造)」を制作。ヘレラの作品には共通して、動向として受容されるイズム(主義)をはるかに超えた人間性への探究がうかがえる。
キム・スンギ
1946年、韓国、扶餘(プヨ)生まれ。ソウル大学校美術大学で絵画を学び、1971年からフランスに移住。映像やパフォーマンス、インスタレーション、音響、彫刻、写真など多様な表現手法の作品で国際的に活躍し、記号論と美学の研究も行う。仏教や道教などの東洋思想と、ヴィトゲンシュタインの言語論に影響を受けたスンギの作品には、時間、言語、生と芸術への本質的な間いか通底している。近年は、科学技術にも関心を寄せ、ロボットやAIを用いたインスタレーションを手掛けるなど、幅広い創作活動を行っている。2019年には韓国国立現代美術館・博物館(ソウル)で回顧展「怠惰な雲」を開催。
スザンヌ・レイシー
1945年、カリフォルニア州ワスコ生まれ。ソーシャリー・エンゲージド・アートの先駆者であり、教育者、著述家としても活躍。1970年代からロサンゼルスを中心に活動し、コミュニティとの対話を通じて、女性解放運動や人種差別、高齢化、暴力などの社会的課題や都市の問題に取り組んできた。パフォーマンス、映像、写真、社会活動などのメディアを用い、自身の身体を主題にした個人的な作品から、数百人のパフォーマーが参加する大規模なプロジェクトまで、その表現手法もスケールも多様な作品を精力的に発表している。
三島喜美代
1932年、大阪生まれ。1950年代後半から、印刷物や廃品を用いたコラージュ、油彩など、実験的な平面作品を発表し注目される。1973年以降、セラミック(陶)にシルクスクリーンで印刷を施す立体作品を制作。使い捨てることができない陶に写された新聞紙や空き缶という、表面と素材の違和感には、当時注目された大量消費社会や情報化社会への批判が込められている。また、大型のインスタレーションや立体作品を発表するなど現在も精力的な活動を続け、近年、国内外での評価が高まっている。
宮本和子
1942年、東京生まれ。1964年に現代美術研究所を卒業後、渡米。アート・ステューデント・リーグで学び、ニューヨークを拠点に活動を始める。ミニマリズムに関する研究を続け、ソル・ルウィットのアシスタントも務める傍ら、多民族都市のニューヨークで自らのアイデンティティを問い、女性アーティストによって1972年に設立されたAIR(Artists In Residence)ギャラリーの活動にも積極的に参加。綿密な設計図に基づくストリング(糸)を使ったインスタレーションの他、彫刻やパフォーマンスなど多岐にわたるメディアで活
動を続けている。
センガ・ネングディ
1943年、シカゴ生まれ。彫刻、パフォーマンス、ダンスを融合した作品を制作。1960年代、日本文化を経験し、具体美術協会について学ぶため、早稲田大学に1年間留学。以降、日本の歌舞伎や舞踏、また、西アフリカの儀式の視覚表現が、作品において重要な役割を果たす。とりわけ、1960~70年代の彫刻作品の多くは、展示することだけを目的に制作されたため、展示終了後にはその存在を失う。「多くの人にとっては残念かもしれないが、私にとって(作品の)永続性が大切なわけではない」というネングディにとって、アートの目的は作品の保存や神聖化ではなく、常に開かれ、継続することにある。
ヌヌンWS
1948年、インドネシア、ラワン生まれ。幼少期から画家を志し、スラバヤ・ファイン・アーツ・アカデミーで美術を学ぶ。偶像崇拝を禁じるイスラム教の伝統を反映し、幾何学的抽象画に初期から取り組んできた。形を排除し、色彩を重ね合わせることで、その無限の可能性を探究。そのインスピレーションは、山の風景や太陽の光など、ヌヌンWSの毎日を取り巻くジャワ島の自然環境やその精神性に負うところか大きい。また、縦糸と横糸が交差することで新たな色彩を創出する伝統的な織物に宿るエネルギーとも共鳴している。
アルピタ・シン
1937年、インド、バラナガル生まれ。イギリスからの独立間もない1950年代、デリーで美術を学び、作品発表を始める。1970~80年代には抽象的なドローインクを通して新しい素材や技法を探究。その後、インド現代美術への国際的な注目が高まるなか、欧州を始め国際展等への出品が続く。1990年代には、シンの絵画に文字や数字が登場し、以降、抽象と具象、絵画的イメージと数字や文字が渾然一体となった画面へと発展していくが、そこには広告看板やテレビ、新聞などから日常的に吸収される世界の断片が描かれている。
ロビン・ホワイト
1946年、ニュージーランド、テ・プケ生まれ。学生時代はニュージーランドを代表するモダニスト、コリン・マカーンに師事。オタゴ半島に拠点を移し、1972年頃までには輪郭線を強調する絵画でニュージーランドの地域主義者のひとりとして知られるようになる。1982年から17年間、家族で太平洋上のキリバス共和国に滞在。島での伝統的な共同制作を通してアートの概念を拡張し、近年ではキリバス、フィジー共和国、トンガ王国などの女性たちと積極的に作品を制作している。
主催:森美術館
企画:片岡真実(森美術館館長)、マーティン・ゲルマン(インディペンデント・キュレーター)
新型コロナウイルスの感染症対策への取り組みについては森美術館ウェブサイトでご確認ください。
https://www.mori.art.museum/jp/news/2020/06/4102/