開催時間 |
10時00分 - 18時00分
土曜日、特別開館日は17時00分まで |
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休み |
日曜日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
武蔵野美術大学 美術館・図書館
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒187-8505 東京都
小平市小川町1-736 |
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最寄り駅 | 鷹の台 |
電話番号 | 042-342-6003 |
武蔵野美術大学 美術館・図書館は展覧会「オムニスカルプチャーズ̶̶彫刻となる場所」を開催します。戸谷成雄、舟越桂、伊藤誠、青木野枝、三沢厚彦、西尾康之、棚田康司、須田悦弘、小谷元彦、金氏徹平、長谷川さちといった現代彫刻を牽引する多彩な彫刻家11名が参加し、新作を中心に展示します。さらに画家である杉戸洋の独自の空間意識が展示構成に関わることで、予定調和に収まらない彫刻空間を作り上げます。
「オムニスカルプチャー」は、様々な思考や表現法によって拡張可能な彫刻において、彫刻の全方位性(≒omni)を示す、三沢厚彦による造語です。本展では、「オムニ」という彫刻の一つの概念をめぐって、多様なアーティストの作品が共生、あるいは対峙することによって、彫刻の新たな可能性を浮上させます。
様々な思考を形象化する現代彫刻の姿は、一つの様式には収まらず多様な表現方法によって拡張し続けています。本展で紹介する、現代彫刻を牽引する11 名の作家たちは、世代もさることながら、彫刻への考え方や向き合い方も各人各様で、木、鉄、石、FRP など扱う素材や技法も多岐にわたります。それぞれの彫刻は固有のベクトルや解釈可能性を持ち合わせており、まさに現代彫刻の全方位性を体現するかのような彫刻家が集まったといえます。
一方で、彫刻は自律的であると同時に、実体として定立するためには場所性とも不可分であり、周囲の環境との関係性が重要な要素です。本展会場は、建築家の芦原義信が1967 年に設計した、ブルータリズムの影響を受けたモダニズム建築であり、その後さらに異なる建築思考による二度の改修を経て、特有の空間となっています。この空間のなかで、画家の杉戸洋が展示構成に介入し、一つの触媒となることで、11 名による彫刻のこれまでにない関係(あるいは共生性)を誘発します。そして、展示空間全体もまた一つの表現性を有することで、この場所をめぐって、彫刻の現在とこれから、その姿が立ち現れます。
なお出品作品に関連するドローイングなど、作家ら固有の思考の一端がみえてくる資料も公開する予定です。彫刻の全方位性を示す「オムニ彫刻」をひとつのキーワードに、多様な思考や解釈が入り組むなかで、新たな表現への展開を探ります。
[監修者コメント]
1989 年、それまで私自身が耳にしてきた様々な音楽を包括してくれるかのようなアルバム、細野晴臣の『omni Sight Seeing』がリリースされた。当時、大きな喜びを感じると同時に、畏敬の念すらも抱きながらこのアルバムを聴いたことを、今でも鮮明に覚えている。アルバムに冠された『omni Sight Seeing』という言葉は、omni:全方位性、Sight:目にうつる場所(そしてその意味性)、Seeing:見えてくる意識、と捉えることができるように思う。それぞれの単語は、全体性と個々のファクターからなり、不可分なものとして入り交じる一方で、ある時はパラレルに共存しながら重層化することで、全体の様相が立ち現れてくる。この言葉は、私が彫刻に向き合うときに対峙する、自己の存在や表現の原質への問い̶̶「私はだれで、どこに居て」、「何を見て、どう感じるのか」̶̶を探るうえでの手がかりとなっていたと思う。
何を彫刻として表現するのか、あるいは彫刻とは一体どういったものなのか̶̶作家にとって、彫刻の考え方や表現方法は多様であるため、その答えは複合的であり、千差万別なのだろう。
今ここに彫刻を思考し、それぞれの方位を持って作品を発信し続けている作家が集まった。彼らが集まることで派生する彫刻の全方位性は、芦原義信設計の空間のなかで展開することになる。彫刻と建築、さらに個々の作品同士が呼応する空間において、一つのパースペクティブから離れた全方位的な知覚をとおして、オムニ彫刻の姿が多元的に浮かび上がってくる。
三沢厚彦[彫刻家/本展監修]
主催:武蔵野美術大学 美術館・図書館
協力:ANOMALY、ケンジタキギャラリー、小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、西村画廊、ヒノギャラリー、ミヅマアートギャラリー、武蔵野美術大学 彫刻学科研究室
監修:三沢厚彦(彫刻家/武蔵野美術大学 造形学部彫刻学科教授)
[同時期開催展覧会]
「片山利弘––領域を越える造形の世界」 4 月5 日(月)–6 月20 日(日)
「膠を旅する––表現をつなぐ文化の源流」 5 月10 日(月)–6 月20 日(日)