三沢 厚彦「アニマルズ 新作ドライポイント」展
会期: 2020-12-05 - 2021-01-31
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
版画
開催内容
錫の板をニードルで彫る。細かくキラキラとした削りくずがクルッとしたアールを描いて切りとられていく。よい感触だ。
削りとられた場所に絵具が入る、その深さや分量で濃淡が決まる。まだ見ぬ刷り上がりを想像しながらも感触の良さについつい手が走る。この感じが出ればいいと思った。
2020年、コロナウイルスの猛威によるパンデミックに全世界がさらされている。今までのスタンダードな日常が悉く崩壊していく中、唯一変わらない事はスタジオで一人時間を過ごす事ぐらいだろう。この全くと言ってよいほどの個人的な行為がどの様に他者や社会と繋がりを持てるのだろうか。アトリエで原版を彫る。全てはここから始まるのだろう。
-三沢 厚彦
ギャラリー キドプレスでは、6年ぶりの展示となる三沢 厚彦「アニマルズ ドライポイント」展を開催いたします。ドライポイントによる14点の新作版画を展示いたします。
今回の展示にあたり、三沢厚彦は、のみ(鑿)をニードルに持ち替え、おなじみの「トラ」「うさぎ」「カモシカ」「ライオン」などアニマル達を表情豊かに描き出しました。三沢厚彦の描画は立体とはまた違う、自由でリズミカルな線で描き出され、動物たちがより一層作家の思いのままに表現されています。
「ピンクのアマビエ」と「水色のアマビエ」や「キメラ」など、空想の世界の生き物達も、三沢の手によって生き生きと表現され鑑賞者を空想の世界に引き込みます。
今回の作品は全て三沢自身の手によって、ピューター板(錫板)に直接、ニードル(版画用の針)で刻み込まれた線をプレス機で刷りとった、ドライポイントと呼ばれる銅版画の技法で制作されています。
ピューター板は、銅板に比べて大変柔らかい素材です。通常のドライポイントは銅版に針で描く場合、ある程度の圧力が必要ですが、柔らかいピューターの特徴を生かして三沢は、力強く自由闊達な動物達を生き生きとした無数の線を描くことによって作り上げました。ドライポイントによる14点の新作版画を展示いたします。