榎忠 個展

RPM-1200 2006-09年 兵庫県立美術館 撮影:金子治夫
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    会 期
    20201205日 -  20210116
    開催時間
    12時00分 - 18時00分
    12月11日は12時00分~20時00分まで
    12月18日は12時00分~20時00分まで
    12月25日は12時00分~20時00分まで
    2021年1月8日は12時00分~20時00分まで
    2021年1月15日は12時00分~20時00分まで
    休み
    日曜日,月曜日,祝日

    12月29日は休み

    12月30日は休み

    12月31日は休み

    2021年1月1日は営業

    2021年1月2日は休み

    2021年1月5日は休み

    ※12/27~1/5まで冬季休廊
    この情報のお問合せ
    ANOMALY
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    ANOMALY
    住所
    〒140-0002 東京都
    品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F
    最寄り駅
    天王洲アイル
    電話番号
    03-6433-2988

    詳細

    展覧会内容

    ANOMALYでは、2020年12月5日(土)より、明けて2021年1月16日(土)まで、
    榎忠(えのき・ちゅう)個展「RPM-1200」を開催いたします。
    本展タイトル「RPM-1200」は、榎忠の代表作のタイトルでもあり、旋盤の回転数(1200 Revolutions Per Minute)を表しています。生活者(*1)として定年まで金型職人として勤めあげた榎忠が、アフターファイブに旋盤を回し磨き上げた工業部品を、ひとつひとつ辛抱強く積み上げることで形づくられる《RPM-1200》。1mmの100分の1の精度で仕上げられた、かつて繊細な機能を有していたボルトなどの部品が、榎の手作業により無数の集合体として凝縮された本作品は「造形の洗練において榎の一つの到達点を示した」と評されたインスタレーションです(*2)。
    本展は、この榎忠の代表作《RPM-1200》を中心に、《AK-47》や《COLT-AR-15》などの銃のシリーズや、《パトローネ》(*3)シリーズ、《半刈りでハンガリーに行く》、更に榎が絵筆を折って開始した70年代以降の活動の資料や記録を含めて構成する、レトロスペクティヴです。

    榎忠(b.1944-)は、美術界のシステムには端から目もくれず、常軌を逸したスケールの作品を独自に展開している、現代美術界の巨人です。
    遡ること1970年、日本初の歩行者天国を、腹に大阪万博マークを「日焼け」させた榎がふんどしで闊歩、騒乱罪で連行され話題となりました。それまでは二紀会で絵を描いていた榎が、突然現代美術に覚醒しこのハプニングを敢行。同年、JAPAN KOBE ZEROを結成し、一気に反芸術の活動に転じます。

    その後1972年、揃いの赤いシャツに身を包んだJAPAN KOBE ZEROのメンバー33人で400㎡に及ぶ巨大な白い布を運び、風をはらんで様々な表情へと変化する、人と風によるハプニングを敢行。神戸まつり当日だったためイベント関係者と見られたのか、誰にも咎められることなくハプナーたちは大胆な行動を繰り広げ、最後はクリストさながらに、その白い布で大きな噴水を押さえ込みました。
    この頃より鉄製の大砲を制作し始め、79年になると武器をモチーフにした《Life Self Defense Force (LSDF)》を発表。耳を劈く爆音で割れんばかりにガラス窓を震わす空砲は観客を感嘆させ、砲弾の代わりに仕込んだ薔薇の花びらを散らしてみせる男前ぶりのハプニングは、今も健在です。

    77年には当時社会主義国であったハンガリーに全身半刈りで訪問(榎忠はそののち4年という歳月をかけて反対側も半刈りにした完璧主義のツワモノです)。この頃、ローズチュウと名乗る榎の化身・髭の美女も出現、バランスが肝のシーソー式長椅子により客は席を立つことができないバー「Bar Rose Chu」をゲリラ開店し、伝説となりました。

    フェミニンで繊細な仕上げをたたえつつ、その作品規模は比類なくマスキュリンで、81年に全長13m、総重量25tの廃材を使った《スペースロブスター P-81》を制作、90年代には《地球の皮膚を剥ぐ》アースワーク級のプロジェクトや、100万発の使用済み《薬莢》を展示するなど、示唆に富んだ、度肝を抜く作品を次々に発表してきました。

    2000年代になると、一般市民200人あまりが70丁の「銃」(もちろん榎の作品)を持って神戸の街を行進する「事件」を起こしましたが、それは個展会場から別のギャラリーまで作品を輸送する一時間半の過程だった、というウィットに富んだ実態でした。「このために『文化の日』が選ばれたのは彼一流の皮肉であった」(* 4)。ただし神戸は、かつて山口組の本拠地であり、作品が本物の銃だと思われ本物の銃で対抗される危険性、または驚いて通報される可能性が極めて高い、緊張感に満ちたハプニングでした。

    この「行進」をパフォーマンスと呼ぶのはなぜかためらわれる。なぜならそれは「美術」であって同時に「現実」でもあるからである。「美術」は榎の、そして参加者の身体を通して現実化される。榎にとって「美術」とはそして参加者の身体を通して現実化される。榎にとって「美術」とは、観念によって私たちから遠ざけられている生の現実に触れる体験に他ならないのである。             
    ―山脇一夫「榎忠展MADE IN KOBE」展覧会案内状より抜粋

    その後の兵庫県立美術館の個展では、東京スカイツリーの廃材、合計およそ40tから成る作品を展示し、その上オープニングでは祝砲をぶっ放す暴れん坊ぶりで、美術館を「野生化」し、その制度の外周を押し広げてきた榎忠。

    もしも榎がアメリカに生きていたら、クリス・バーデンやポール・マッカーシーと同格に破天荒なビッグスターと評されたはず、と某人に言わしめた榎忠の背中には老若男女大勢のフォロワーが後を絶たず、今でも美術界の異端児であり、カリスマであり続けています。

    半世紀におよぶ活動を網羅したオール・アバウト・榎忠である本展は、美術内美術の観念から大きく離脱しながら、結果的に正史として記述されるであろう日本が生んだ榎忠という奇才の、軌跡と真髄をみる好機となれば幸いです。

    参考:
    榎忠、EVERYDAY LIFE/ART: ENOKI CHU榎忠、青幻社、2006年
    榎忠、榎忠展 美術館を野生化する、兵庫県立美術館、2011年
    (*1)生活の基本が「自己生産であることを自覚しているもの」であり、「時間と金銭における必要と自由を設定し、常に識別し、あくまで必要を守りながら」、大衆消費社会の「営利主義的戦略の対象としての、消費者であることをみずから最低限にとどめよう」とする人々。
    天野正子『「生活者」とはだれか』、中公新書、1996年、p.129
    (*2)中島徳博、「榎忠とその時代」、EVERYDAY LIFE/ART: ENOKI CHU榎忠、青幻社、2006年、p.48
    (*3)パトローネ(ドイツ語:Filmpatrone)は、写真機にフィルムをそのまま装填できる円筒形の容器のことで、写真用35mmフィルム(135フィルム)用のものを指す。ドイツ語で単に「Patrone」とだけ言った場合、現代では専ら「弾薬」を示す。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8D
    (*4)山脇一夫(中京大学アートギャラリーC・スクエア)中島徳博「榎忠とその時代」『EVERYDAY LIFE/ART: ENOKI CHU榎忠』p.179

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