大石奈穂『curve』展
会期: 2020-06-20 - 2020-07-19
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
オープニングレセプション
平面
開催内容
ギャラリーキドプレスは、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため臨時閉廊しておりましたが、緊急事態宣言の解除に伴い、開廊する運びとなりました。
この度、2020年6月20日(土)から7月19日(日)まで、絵画展『大石奈穂:curve』を開催いたします。大石奈穂は、2016年に武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コースを修了し、翌年、FACE 展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞社主催、2017年)において優秀賞を受賞。本展は、精微なタッチを用いて白昼夢のように美しく不可思議な世界を描いたデビュー展「溶けないことば/Insoluble Words」(ギャラリーキドプレス、2016年)から約4年ぶりとなる待望の展覧会となり、新作14点が出展されます。
引っ越しをした
窓からの光の入り方が変わり、ものの表情が新鮮に見えた
部屋の中の景色と同じように私からも影が落ちたことが妙に嬉しく
その光に、落ちる影に心をなぞらえたような感覚になった
−大石奈穂 (「curve」展コメントより)
大石奈穂の作品世界をつくる魅力のひとつに、油彩の筆跡を残さず擦り込むように描画し、絶妙な具合で輪郭をぼかし掴みどころのない 雰囲気を与える、絵画そのものの表面の質感に対する探究が挙げられます。これまでは、時間をかけて石膏地の目を埋めていくように薄い油絵具の層を重ねて平滑にしていく手法で描かれてきました。一方、今回出品される新作では、紙の上に蝋をほどこした上で、水彩を描くような感覚で油彩を描画する方法が用いられ、 人肌のような温かみのある透き通った質感が現れた新たな表現領域への試みが成されました。 ミルクピッチャー、帽子、バターナッツ、人物、霧の記憶…などの作家自分にとって実際に身近なモチーフが描かれながらも、私たちを大石奈穂の独自の世界観へと誘います。
「自分自身のことを忘れモチーフだけを見つめる時間が心地よかった。私の中で絵の存在は月や石や湖のように動くことのない安心できる場である。」と作家自身が制作を振り返り語るように、 作品制作は室内で黙々と続けられました。その柔らかい質感と淡く漂う色彩の作品群は、 新型コロナウィルスの影響による外出自粛期間を経て自宅で過ごす時間が長くなった私たちの心にそっと寄り添い落ち着きをもたらしてくれることでしょう。この機会にぜひご高覧ください。