開催時間 |
10時00分 - 18時00分
毎週金・土曜日は20時00分まで、5月30日[土]は「六本木アートナイト2020」開催にともない22時00分まで ※入場は閉館の30分前まで |
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休み |
国立新美術館は臨時休館中です。開幕日は国立新美術館および展覧会 HP でご確認下さい。https://www.nact.jp/
火 (ただし、5月5日[火・祝]は開館、5月7日[木]は休館) |
クリエイター在廊 |
無
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入場料 |
有料 一般1700円(1500円)、大学生1100円(900円)、高校生700円(500円)、中学生以下無料 ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料 ※3月20日(金・祝)ー 3月22日(日)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要) ※カッコ内は前売りまたは団体料金 ※団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上) ※前売券は1月10日(金)ー 3月10日(火)まで販売。ただし、国立新美術館では3月9日(月)まで |
展覧会の撮影 |
不可 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
03-5777-8600(ハローダイヤル)
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イベントURL | |
情報提供者/投稿者 |
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住所 |
〒106-8558 東京都
港区六本木7-22-2 |
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最寄り駅 | 乃木坂 |
電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
国際的な注目が東京に集まる2020年に、古い時代の美術と現代美術の対比を通して日本美術の豊かな土壌を探り。その魅力を新しい視点から発信する展覧会を開催します。
展覧会は、江戸時代以前の絵画や仏像、陶芸や刀剣の名品を、現代を生きる8人の作家の作品と対になるように組み合わせ、一組ずつ8つの展示室で校正します。古典側は曾我蕭白。尾形乾山、円空、仙厓義梵、葛飾北斎ら誰もが知る巨匠の作品や、鎌倉時代の仏像、江戸時代の花鳥画、刀剣の名品を選出。現代側は川内倫子、鴻池朋子、しりあがり寿、菅木志雄、棚田康司、田根剛、皆川明、横尾忠則ら、今の日本を代表するクリエイターたちの造形を選びました。
現代作家たちの仕事と過去の名品との関係はさまざまです。展覧会では、世界観や主題、造形、制作方法の類似を示すだけでなく、先達から得たインスピレーションや、誰もが知るイメージに基づくパロディ、古い作品を取り込んだインスタレーションなど、過去の偉業に積極的に関与していく現代の作家たちの姿にも焦点を当てます。今日の優れた表現と、今なお私たちを惹きつけてやまない古の名品の比較を通じて、単独では見えてこない新たな魅力を発見する機会になれば幸いです。
花鳥画×川内倫子
花や鳥、虫などを題材にする花鳥画は、中国からもたらされた画題の一つ。写生や俳諧ブームとあいまって、江戸時代は特に盛んに描かれ、伊藤若冲や新しい写生画を追求する絵師たちが、はかない命、うつろいゆくものへの深い愛着と情感を花鳥画に込めた。同様の感覚は、さまざまな命の営みを、透明感にあふれた写真にとらえる川内倫子にも通じる。独特の光の効果をともなってカメラのフレームに切り取られたとき、花や木、動物、昆虫たちは、日常に裂け目のように現れた無常の感覚を突き付ける。若冲や市川其融、南蘋派の絵師らによる花鳥画と、川内のシリーズ〈AILA〉と〈Halo〉をあわせて展示する。
刀剣×鴻池朋子
戦場における武器であった刀剣は、次第に権威の象徴、信仰、そして鑑賞の対象となり、神聖な美しさが求められるようになった。一方、文化人類学的な視座から自然との共生を思索してきた鴻池朋子は、人間の思惑のみに閉じるアートに違和感を持ち、近代社会が失った生命力を取り戻すような壮大なインスタレーションを展開し、生きること、創作することの根源的な意味を問うてきた。本展覧会では、動物の皮を縫い合わせた幅24mの鴻池の《皮緞帳》に、鎌倉から江戸期にかけての太刀や短刀を組み合わせる。神話的イメージが描かれた巨大緞帳と、聖俗両面の顔を持ち、時代を超えた煌めきで現代人をも魅了する刀剣の出会いが新たな物語を紡ぐ。
北斎×しりあがり寿
自らを「画狂人」と号するほど画に没頭した、葛飾北斎。世界的に知られる〈冨嶽三十六景〉は46枚組の人気作品で、富士山を臨むさまざまな風景に、江戸の庶民の姿を描いた。北斎を敬愛するしりあがり寿が本展覧会に出品するのは、〈冨嶽三十六景〉全作品を現代風に解釈し、社会批評の視点やユーモアを加えたパロディ〈ちょっと可笑しなほぼ三十六景〉。例えば、《神奈川沖浪裏》では、波を太陽フレア、富士を地球に換骨奪胎。嵐の海の波間から富士を臨む北斎の視点を踏まえながら、宇宙旅行が可能になったときに地球がどう見えるか、という近未来的想像力を加えた。本展覧会では、北斎の版画とそのパロディのほか、新作映像「ゆるめ~しょん」もお目見えする。
仙厓×菅木志雄
仙厓は、「厓画無法」(仙厓の絵に法は無い)を宣言し、禅の教えをわかりやすく、ユーモアを交え民衆に伝えた。仙厓が禅の悟りの境地をひとつの簡素な円に託したように、「もの派」の方法論を確立した菅木志雄も、その膨大な思考の軌跡を、今ここにあるもの、あるいは、そのもののあり様にシンプルに集約させている。インド哲学の〈空〉の思想に共鳴する菅は、石や木、アルミ、ワイヤーなど、身近な素材を、ほとんど手を加えることなく空間に置くことで、ものと人との在りように新たな存在の場を与えてきた。本展覧会で菅は、仙厓の《円相図》に応答し、《支空》(1985年)を再制作するほか、新作も準備している。
円空×棚田康司
円空は江戸時代、諸国を巡り約12万体の仏像を彫ったと伝わる。作風に変遷はあるが、丸太を断ち割り簡素な彫りで仕上げる特徴がある。微かな笑みを浮かべた仏像は庶民の心に寄り添い、人々を魅了してきた。素朴な表現のなかに木の生命力を感じさせる円空仏に関心を寄せてきた棚田康司は、円空同様、一本の木から像を彫り出し、継ぎ目のない木彫を制作。大人になる一歩手前の多感な少年少女の姿を、木に内在する命のゆらぎや振動に重ねて表現してきた。本展覧会では、棚田の旧作から新作までと、円空が木のエネルギーの発露として彫り上げた初期から晩年までの多彩な仏像や神像を展示する。
仏像×田根剛
承和元(834)年開基の天台宗の古刹・西明寺(滋賀県甲良町)は、光差す池の中から薬師如来、日光菩薩、月光菩薩が現れたと伝わる。本展覧会では、美しく輝く日光菩薩と月光菩薩を展示する空間を、田根剛が創造する。田根は、軍用滑走路を生かしたエストニア国立博物館や、日本の新国立競技場のコンペで出した古墳スタジアム案などで知られ、国際的に注目を集める建築家。展覧会にあたって西明寺を訪れ、2体の像に「時間と光」「記憶」など長く取り組んできたテーマを見いだし、祈りと対話にふさわしい場を美術館に出現させることを目指す。
乾山×皆川明
尾形乾山は、高級什器の世界で卓越した造形を展開し、花を切り取ったかたちなどを琳派の意匠で彩った。文人的な美意識も、うつわの中に表現した。皆川明は、主宰する「ミナ ペルホネン」による服や家具、器などを通じて、良質なデザインを身近なものとするライフスタイルを提案しつづけてきた。シンプルで華やか、温かみのあるデザインや、丸みを帯びた有機的な造形は、陶器を芸術にまで高めた乾山焼の世界を彷彿とさせる。自然に着想を得た模様、うつわやテキスタイルなどの内と外とで異なる意匠、平面と立体の感覚の交差など、両者の類似性を浮上させ、優れた想像力が生み出す魅力を提示する。
蕭白×横尾忠則
曾我蕭白は、奇妙で時に醜悪なモティーフを水墨や濃彩で破天荒に描いたが、その大胆な描法、空間把握の基盤には高い画技があった。横尾忠則は、蕭白に魅了され、オマージュを捧げてきた。奇想の絵描きとして強烈な個性を放つ二人は、先達の作品から引用や借用をし、新たな表現に昇華させたことでも共通する。横尾は、古今東西の美術や自らの記憶などに由来する、あらゆるイメージが一体となった絵画で知られ、蕭白もまた、狩野派や曾我派、中国絵画などを吸収し自らの画風を打ち立てた。本展覧会では、蕭白には珍しい真景図(実在の景色)を含め、中国故事を描いた屛風など幅広く紹介する。蕭白に着想を得た横尾の新作も出品される。
主催:国立新美術館、國華社、朝日新聞社、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
協賛:大日本印刷、UACJ