うつゆみこ写真展 『母が脳出血で倒れた同時刻に私は初めてのメスでピンクマウスの頭蓋骨を貫通させた』 『ビタースイートマタニティデイズ』

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会 期
20200202日 -  20200224
開催時間
11時00分 - 19時00分
(月・火) 11:00〜16:00 (土) 13:00〜19:00(日・祝) 11:00〜19:00
休み
水・木・金
クリエイター在廊

2/15、2/22以外は終日在廊。
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
03-6380-1666
情報提供者/投稿者
開催場所
Gallery Yocto
住所
〒160-0004 東京都
新宿区四谷4-10 ユニヴェールビル102
最寄り駅
四谷三丁目
電話番号
03-6380-1666

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

『母が脳出血で倒れた同時刻に私は初めてのメスでピンクマウスの頭蓋骨を貫通させた』
 昨年11月18日、私は10月から始めたオープンスタジオで、滅多に来ないお客さんを待つでもなく、いつも通りアトリエを散らかしながら、ピンクマウスの撮影をしていた。そのピンクマウスは冷凍で、2年前に通販で購入してから、ずっと冷凍庫で眠り続けていた子たちだった。重過ぎる腰をやっと上げて、解凍したのが2週間前、散々撮影し尽し、もう見限ろうとしていたが、その前に新しく手に入れた人生初のメスで、皮を剥いでみようと考えた。
 私は普段動物や虫を撮るときは、心臓が止まっていても、なるべく生きているように見せて撮影をしていた。意外に思われるかも知れないが、死んでいるから撮っているのではなく、生きている状態で手に入れるのが難しいのと、撮影後にいちいち飼うほど命に責任が持てないので死んだものを使っているだけだ。生きて動いている方が美しい。
 グロテスクは趣味ではないし、出来る事なら何も殺したくはない。弱虫だし卑怯だ。血や内臓は、人様に手を下して頂いたもののみ撮っていた。しかし最近私の撮る写真は似通ってきて、膠着を否めない。それは私が卑怯に死から逃げているからではないか、自分が食べる生き物の命を奪うことと向き合うのを避けているからではないだろうか。
 生と同様に死ともきちんと向き合ってみようと、手始めに3cmに満たないピンクマウスの頭に、恐る恐る真っ直ぐにメスを入れ、皮をピンセットでめくってみた。メスの力加減が分からずに、頭蓋骨をも貫通させてしまっていた。
皮を剥いでしまったそれには、もう微塵の可愛さも無く、私の興味の対象外となった。蝿の力を借りて骨にしようと、10匹をお皿に並べて水を貼り、ベランダの室外機の上に乗せた。
 一通りの作業を終え携帯を見ると、珍しく兄からのメッセージ。
 「お母さんが脳卒中で倒れて入院しました」
 母の脳とピンクマウスの脳が重なる。私には、命を操る資格が無いと言われた様な気がした。
 母はいま、持ち前の頑張り屋の性格のお陰で、全くの半身麻痺から少しずつだが回復しつつある。
 私は今日も、死からは逃れ続け、その代わりに生と向き合う。作品制作は残念な事に膠着から逃れられない。

『ビタースイートマタニティデイズ』
 私は今育てている二人の子を産む前に、6ヶ月の胎児を死産している。彼女が心臓を止めたのに暫く気付かず、産んだ時には柔らかくなっていた。気付くのが早ければもう少し綺麗だっただろうに、悪いことをした。
 今の長女の妊娠は死産後間も無かったため、この子はいつ死んでしまうのだろう、と胎動を過剰に心配する、不安で冷めた妊娠期だった。最悪な結果を常に頭に描いて、万が一の事態に対する自己防衛をしていた。
 逆子で帝王切開だったが、無事に産むことが出来た。しかし産んでから暫くの間は、息をしているかな、死んでな
いかな、と普通の母と違う見方をしていたと思う。ようやく不安に苛まれなくなるまで、半年を要した。今では死産した子の事を思い出す暇も殆どなく、二人の育児に追われ、普通の親になれたように感じる。
 世の中のマタニティフォトは幸せに溢れているものばかりだろうが、果たして私の写真はどう見えるだろうか。私がこのご時世に二人産んだのは、もし一人に何かがあっても、一人は残せるかもしれない、という理由からだ。保険のために(と可愛いので)更にもう一人欲しいと思っていたが、叶わずに既に41才になってしまった。
 日本では様々な理由で産まない・産めない人が増え、産みたい人も年齢が上がり、不妊や流産などで苦しむ人も増えた。無事生まれても、高齢出産だと体力的に辛かったり、ハンディキャップを持つ子も増えている。その子の後にまた産みたくても高齢だと叶わない。(勿論どんな子でも猛烈に可愛い、でも更に手が掛かる事は否めない。)
 私は自分が望んだ子供を産めて、大病も無く育てられて、運が良いと思っている。ただ、運が良かっただけのこと。
私の写真を見て、妊娠・出産が当たり前ではないことを改めて考えてもらえたら、そして女性だけではなく男性にも、子供を持つことを、話し合って考え続けて欲しいと思う。
 子供は明るい、楽しい、未来だ。(未来を育てるにはとても手が掛かる…。)

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