Lee Mingwei The Tourist

Lee Mingwei, The Tourist, 2003, The Museum of Modern Art, New York. Photo: Anita Kan. © Courtesy of the artist & Perrotin

Lee Mingwei, The Tourist, 2003, The Museum of Modern Art, New York. Photo: Anita Kan. © Courtesy of the artist & Perrotin

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会 期
20190515日 -  20190626
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月・祝
入場料
無料
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
ペロタン東京
情報提供者/投稿者
開催場所
ペロタン東京
住所
〒106-0032 東京都
港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階
最寄り駅
六本木
電話番号
03-6721-0687

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

リー・ミンウェイは、人と人の交流における親密性を深く考察したプラクティスで知られるアーティストです。彼は合意されたプロトコルを通してシナリオを造形し、その異質性と親密性の融合を賛美します。このプラクティスは、共生と交互作用から成る空間を生み出すとともに、日常という骨組みのなかで繰り広げられる人間の交流を強調しています。例えば、衣類を繕いながら会話をすること(「The Mending Project」)や、共用の空間で夢を見ること(「The Sleeping Project」)または誰かのために歌うこと (「Sonic Blossom」) などです。リー・ミンウェイはさらに、こうした交流を熟慮された環境へと抽出することで、他の人々にも体験可能にします。交流における一定の形式は、予測不能性と、新しく力強い見識を得るのに充分な余地を導き出します。

リー・ミンウェイは少年時代の夏、六年にわたり、禅宗の僧侶見習いとして台湾の山中で過ごしました。そのなかで、抽象的概念、宋王朝の詩、寛容であること、そして静寂の力について学んだといいます。また、ある一定の瞬間に起きていることに対する意識を高め、これがどのように当事者の次の一歩を決定づけるかという、禅宗思想の本質に慣れ親しみました。これらの経験はリー・ミンウェイの人格形成の一端を担いましたが、彼のプラクティスの本質とその意図は、これとは異なる手段による探求を通して慎重に発展しました。彼はこう説明します:
「私の芸術的なプロセスには、いくつかのとても際立った要素があります。一つは心理的な要素で、これは私が生物学を学んでいたことに遡ります。ワシントン大学に通っていたとき、私は生物学専攻でしたが、加えて心理学と人類学の授業も履修していました。私は当時からすでに、人々がどのように考え、感じ、互いに関わっているのかに関心を抱いていたのです。四年後、私にとって科学は少し正確すぎると確信しました。私がより好んだのは、流動性でした。両親には、芸術への関心を宣言する代わりに、建築を学びたいと言いました。これはむしろ、嬉しい偶然でした。なぜなら、建築の分野では絵的な事柄よりもむしろ空間的なものを扱い、さらに空間内での人々の交流というのは、私にとって非常に重要なことだったからです。私のインスタレーションはいずれも建築的要素を含んでいます。カルフォルニア美術工芸大学で建築を学んでいたとき、テキスタイルも同時に専攻していました。やはり、建築も正確すぎると感じたからです。また、建築におけるある種のマチスモ(男性優位性)やエゴもあまり好きではありませんでした。テキスタイル、特に織り物は、全く異なる二次元の構造感覚を与えてくれました。私見ですが、私の作品は概念的に人々を織り合わせることに関与しているのです。横糸と縦糸の代わりに、人間の記憶、歴史、夢が私の生地を織り成しています。その後、テキスタイルという形式がもたらす確実性を超越したものを求めて、パブリックアートという新しいジャンルを学びました。その際、芸術と人生を曖昧にぼかすことや、人間関係の探求、そして日常の慣習的行為にまつわる考えを取り入れていました。(1)

ルイス・ハイドの1983年の著書『The Gift: How the creative spirit transforms the world』は、新しいジャンルであるパブリックアートや、 1990年代初頭に出現した“関係性の美学”と評されるプラクティスの軌道に対するより広範な関心を引いたと同時に、リー・ミンウェイにも影響を与えました。さらに、彼のアートは日常の習慣的行為から大いに情報を得ており、そのことについてこう述べています:

「私は、贈り物をすることをとても大切にしている家庭で育ちました。贈り物を包む行為は、熟考されたプロセスです。私のプロジェクトはすべて参加型であり、私はある意味で参加者達の寛大さに頼っていることに気付きました。贈り物をすることは、双方向において、プロセスの一部なのです。」

リー・ミンウェイのプラクティスの土台となる、その率直で正直なあり方は息をのむほどです。弱さは人間の性質の一つですが、今日の閉ざされた国境と、約2億5千8百万人(2)もの大衆による地球規模の大移動の時代において、心を開くということは恐らくこれまでにないほど深刻に必要とされているのではないでしょうか。「ザ・ツーリスト」発表の場として、日本は特に興味深いと言えます。人口統計上の民族の単一性が示すところによると、日本国民の98.5%は古代から系譜的に続く場所とのつながりを持っています。また同時に、日本には毎年約2千万人の観光客が海外から訪れており、[未来の]日本の姿を想起させる集団を形づくっています。

「ザ・ツーリスト」における“ゲームのルール”は簡単です。参加に同意した個人は、ある一定の日に“その人の”街を特徴づける場所、空間、体験をリー・ミンウェイに紹介し、知識という“その人の”贈り物をシェアすることを申し出ます。こうすることで、その街が持つ秘密が明かされますが、それはシュルレアリストの未踏のflânerie(遊歩)による非現実的な遭遇さながらのネオ・アヴァンギャルド的表現や、前世紀中期のシチュアシオニスト・インターナショナルによる運動の観念であるdérive(漂流)もしくは都市空間にある秘密の遊歩道を漂うことによるものではありません。むしろ、これはその場所に深く、独自のつながりを持つ個人が先導する、街の媒介なのです。リー・ミンウェイはツアーガイドについて「私とともに作品を作るクリエイターであり、作品の真なる所有者である」と述べています。

「ザ・ツーリスト」は2001年にライス大学アートギャラリー(ヒューストン)のコミッションワークとして制作されました。その後、ニューヨーク近代美術館
(ニューヨーク、2003)、シャーマン・ギャラリーズ(シドニー、2006)、シルン美術館(フランクフルト、2008、2011)にて展示されました。個展「リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」は森美術館(東京、2014)で初展示された後、台北とオークランドを巡回しました。

(1)2005年にオーストラリア・シドニーのシャーマン・ギャラリーズにて開催された「ザ・ツーリスト」に併せて同年 3月8~9日に行われたインタビューよりリー・ミンウェイの言葉を引用、翻訳
(2) 国際連合による2018年版世界移住報告書より
https://www.un.org/en/development/desa/population/migration/publications...
Rhana Devenportはオーストラリア・アデレードの南オーストラリア州立美術館ディレクターです。リー・ミンウェイとは1999年よりコラボレーションしています。

リー・ミンウェイの作品は数多くのコレクションに含まれており、例としてホイ ットニー美術館(米国、ニューヨーク)、国立台湾美術館(台湾、台中)、ボストン美術館(米国、マサチューセッツ州)、イェール大学アートギャラリー(米国、コネチカット州)、クイーンズランド州立美術館(オーストラリア、ブリスベン)、ドイツ銀行(米国、ニューヨーク州)、ヤゲオ財団(台湾、台北)などがあります。また現在、クリーブランド現代美術館(米国、オハイオ州)にて個展「You Are Not a Stranger」を開催中です。同美術館の50周年を記念する本展では、リ ー・ミンウェイの主要な作品を展示しています。会期は2019年8月11日までとなります。

関連イベント

オープニング 2019年5月15日(水) 17 - 20時

アーティスト・トーク:片岡真実(森美術館 副館長兼チーフ・キュレーター)
会場:ペロタン東京
日時:2019年5月16日(木) 18時 - 19時

六本木アートナイト:2019年5月25日(土) 10時 - 5月26日(日) 18時
六本木の美術館やギャラリーなどにて開催
ペロタン東京は25日(土)に22時までオープン

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