開催時間 |
12時00分 - 19時00分
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休み |
日・月・祝
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入場料 |
無料 |
この情報のお問合せ |
Gallery MoMo Projects
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒106-0032 東京都
港区六本木6-2-6 2F |
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最寄り駅 | 六本木 |
電話番号 | 03-3405-4339 |
GALLERY MoMo Projectsでは、3月30日(土)から4月20日(土)まで台湾出身でニューヨークを拠点に活動するルル・モンと東京出身で現在ニューヨークに拠点を移した大久保如彌の二人展『Real Fairy Tale』を開催いたします。この展示は、3月初旬にニューヨークで開催されたキュレートリアルなアートフェアSPRING/BREAKのテーマ「Fact and Fiction(事実とフィクション)」へ応答するような形で企図した展示を再構成したものです。事実とフィクションは、表裏一体で、現代において誰かの真実が誰かのフィクションになり得るという考えから出発しています。
今展では、大久保とモンがアジアの女性たちが自身をどう見ているか、またどのように見られているかを考える際に、西洋のおとぎ話の影響に着目し、それぞれの視点を通して制作した作品を展示いたします。二人のアーティストにとって、この西洋のおとぎ話は完全なるフィクションであり憧れたり信じたりする対象ではないものの、その話を叶えるべき憧れの物語と現実に捉える人もおり、その捉え方は個々の価値観や視点に委ねられています。特に、戦後ディズニーによってからーアニメショーン化されたおとぎ話『白雪姫』、『シンデレラ』、『眠れる森の美女』では、女性が財力、権力を持つ者(=王子さま)に選ばれ、結婚することが幸せな人生のゴールであり、その為には、美しく、働き者で従順、そして受動的であると言う条件が示唆されています。
ニューヨークでアーティスト活動するモンと大久保が出会い、生い立ちや経験を共有する中で、ディズニー映画を見て育ち、初期のディズニープリンセスのような優雅で「女性らしい」振る舞いを強要される体験をしたことに気づきました。しかし、ボーイッシュな子供であったと言う二人は、それに戸惑い、「女の子らしくない」と言われてきました。二人とも「お姫様のように女性らしく」振る舞いなさいという強要の裏側に「王子様のような人と結婚し、その後幸せに暮らせるように」と言う意図を感じ困惑したことを覚えていると語ります。これらのおとぎ話は「現実」ではないことを本当はずっと知っていたものの、一度刷り込まれてしまった理想の女性像のプレッシャーから逃れるのは難しいのは、彼女たちだけでなく、多くの現代女性にも当てはまります。
お互いのこのような経験をもとに、タイトルである「Real Fairy Tale(現実のおとぎ話)」のコンセプトが出来上がりました。同じ経験を共有し、個人レベルの問題意識から女性のアイデンティティ、ステレオタイプ化したジェンダー、どのように社会的規範が一般的に認識されるかに関する幅広い社会問題へとその意識は移行しました。二人の作品は、表現方法は異なるものの、この西洋のおとぎを共通のテーマにそれぞれのおとぎ話への個人的な解釈と読み解きを加えることで、多角的な視点でおとぎ話と現実での女性が抱える問題を浮き彫りにしようとしています。作品を天井から吊るしたり、床に置いたりすることで、鑑賞者は森の中をさまよい歩くように展示を見ることができ、物語の中を体験するような展示構成となっています。
ルル・モンのインスタレーション作品シリーズ「Look in the Mirror」は彼女の女性としての経験と空想を表現しています。このシリーズは、女性的な素材であるベルベットとレースで覆われた複数のドーム型のオブジェでできていて、ドーム部分にはマジックミラーがつけらています。マジックミラーの中には、西洋のおとぎ話の中から選ばれたシンボリックなアイテムやイメージ、モン自信が経験した記憶などが映し出され、作家自身がタイミングをプログラミングしたライトがついた時だけ、鑑賞者に見えるようにできています。ついたり消えたりするライトは、記憶がパッと浮かんでは消えて行くような、全てを一度に思い出せないもどかしさを表現しています。例えば、『眠れる森の美女』を用いた作品では、紡錘、紡ぎ車、睡眠薬、ラインストーンや彼女のセルフポートレイトが映し出されています。ライトがついている間は、鏡の中にはそのイメージを見ることができ、ライトは消えると鑑賞者自身がその鏡に映り込みます。絶えずライトがついたり消えたりすることで、鑑賞者の見るものは変わっていきます。
大久保如彌の美しい色彩の魅力的なイメージは、彼女の思春期での経験、社会におけるより深い問題や矛盾に関するより暗いテーマをはらんでいます。作品では、理想的で誇張されたシーンに顔を隠した彼女自分自身を描き、おとぎ話のヒロインのように描いています。ある作品では、彼女はシンデレラとなり、片方の足にガラスの靴を履き、複数のケーキとロココ調の靴に囲まれています。作品で描いた服装を大久保が着て作品と並ぶことでより、架空と現実の要素がより強調されています。今回の展示では、裏にプレキシグラスがつけられた作品を天井から吊るし、他の作品や鑑賞者自身、そして他の鑑賞者が映り込み、複雑なイメージの層を生み出します。
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