Hurvin Anderson (ハーヴィン・アンダーソン)展 「They have a mind of their own」

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会 期
20190222日 -  20190518
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
Rat Hole Gallery
情報提供者/投稿者
開催場所
RAT HOLE GALLERY
住所
〒107-0062 東京都
港区南青山5-5-3 B1
最寄り駅
表参道
電話番号
03-6419-3581

詳細

展覧会内容

ラットホールギャラリーでは2019年2月22日より5月18日まで、ハーヴィン・アンダーソンの個展「They have a mind of their own」を開催いたします。ジャマイカ系移民の両親のもと、1965年イギリスに生まれたアンダーソンは、美術史を幅広く参照しながら、自身のルーツであるジャマイカにまつわる記憶・場所・時間をテーマに制作している作家です。2017年にはターナー賞にノミネートされるなど、世界的に注目を集めています。日本で初めて彼の作品が紹介される機会となる本展では、ジャマイカの海岸沿い
で過ごした日々の経験をもとにした新作のほか、《Grafting》《Security Grille》といった彼の代表的なシリーズの集大成となるドローイングが発表されます。

アンダーソンの作品では、ジャマイカ系イギリス人である作家自身と、ジャマイカからの移民である両親の世代の記憶と経験が重ね合わされ、両文化にまつわるモチーフが頻繁に登場します。例えば、にわか仕立ての理髪店や公園といったイメージは、1970-80年代に地元バーミンガムのアフロカリビアン・コミュニティで育った彼自身の記憶に基づいたものです。また、カリブ海に浮かぶトリニダード島で滞在制作した頃からは、カリブ海文化特有の装飾が施されたフェンスや防犯用鉄格子、そして熱帯地域特有の植生が繰り返し描かれるようになります。鉄格子をモチーフとする《Grille》シリーズは本展では、ビデオカメラのレンズを通して得たイメージが用いられることで、通常であれば静止し揺るぎない鉄格子に動的な息吹が吹き込まれ、従来の作品とは異なる様相を呈しています。

本展の新作の多くは、ジャマイカの海岸線に点在するホテル群と、それらを取り囲むように草木が生い茂る風景をもとに描かれています。しかしそこに描かれているイメージが、観光客の欲求を満たす「楽園」計画を描いたものなのか、あるいは、まさに建設中の施工段階を描いたものなのか、はたまた計画が失敗に終わり「夢の跡」と化したものを描いていたものなのかは、定かでありません。建築物が群葉に溶け込み、この世のものとは思えない雰囲気を漂わせるものもあれば、藪の中に浮かんでいるようなもの、岩の中に消えていくようなものも見受けられます。まるで画家が建築家となり、施工業者が中断した地点から、自身の手によって理想的な風景を築き上げているかのようです。ユートピアを主題とするアンダーソンのこれらの作品は、クロード・ロランやニコラ・プッサンといった理想郷を描く17 世紀の作家たちの作品を思い起こさせもします。

《Speech Bubble》もまた、牧歌的な熱帯の風景を描いたものです。ジャマイカの強い陽射しを避けるようにして、ハマベブドウの木陰に身を寄せる人物の姿は、物語や対話の始まりを促す役割を担っているようにも見えます。カリブの島々を訪れる者が抱く欲求や期待のその向こうに、アンダーソンはカリブ海文化の内奥にあるものを深く見つめています。それは例えば、神話的なもの、あるいはディアスポラ(離散の民)の多くが胸に抱く「故郷」への憧憬です。彼が観者に投げかけているのは、次のような問いかもしれません。「『故郷』とはどんなものだろうか。ユートピア的な空想だろうか。……それは、平等、自由、そして豊かさをもたらす大地だ。浜辺の木の下で、静かにもの思いに耽る時間をもたらしてくれるような」。

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