創作と対話のプログラム アートセンターをひらく 第Ⅰ期
会期: 2019-03-02 - 2019-05-06
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
ワークショップ
現代アート
開催内容
2020年に開館30周年を迎える水戸芸術館現代美術センターは、移り変わる社会の中で今アートセンターに求められる役割を多角的に探る新しい企画「アートセンターをひらく」を開催します。「アートセンターをひらく 第Ⅰ期」ではテーマを「創作と対話」と設定して、ギャラリーを①滞在制作/長期ワークショップ、②パブリック・プログラム、③カフェの3つの用途で活用します。一部プログラムを除き、入場無料の特別企画です。
期間中は、会場でアーティストが滞在しながら作品を制作する一方、来館者もさまざまな活動や対話に参加できます。創作と対話を通して訪れる人びととともに「こんなアートセンターあったらいいな」を探ります。
なお、第Ⅰ期の成果を第Ⅱ期で発表する予定です。
【構成】
①滞在制作/長期ワークショップ
ギャラリーを、アーティストによる創作の現場へとひらき、制作過程の一部を来場者と共有できる場を設けます。
▼滞在制作
アーティストが1ヵ月間水戸に滞在し、当館の空間的特徴、アートセンターというパブリックな場所性やそれを取り巻く地域などをリサーチし、新作を制作します。1ヶ月3名の入れ替え制で計6名の作家が滞在します。第Ⅰ期で制作された作品は、第Ⅱ期にグループ展の形式で発表します。
3月2日~31日滞在作家:
Harold offeh (ハロルド・オフェイ) 1977年アクラ(ガ-ナ)生まれ、リーズとロンドン(ともに英国)を拠点に活動
身体を通して見出される空間や場所にまつわる物語に関心を寄せ、大衆文化や社会現象を引用した作品を制作する。パフォーマンスを軸とした遊び心あふれるその表現は、笑いや参加をきっかけに、身体やアイデンティティの表象、または習慣やしぐさに隠された問いを提起する。 70、80年代ポピュラー音楽へのオマージュである連作「カバーズ」をハーレム・スタジオ美術館(2014/米国)ほか各地で発表。2018年にはトロント(カナダ)のニュイ・ブランシュに招待され、同市のクイアカルチャーが辿った抑圧と解放の歴史を掘り下げる作品を上演した。
毛利悠子(もうり ゆうこ)1980年神奈川生まれ、東京在住
磁力や重力、光など、目に見えず触れられない力をセンシングするインスタレーションを制作。2015年、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)のグランティとして渡米。「リヨン・ビエンナーレ2017」(フランス)、「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ2016」(インド)、「ヨコハマトリエンナーレ2014」(神奈川)ほか国内外の展覧会に多数参加。
2015年に日産アートアワードグランプリ、2016年に神奈川文化賞未来賞、2017年に第67回芸術選奨文部科学大臣新入賞を受賞。
Emmanuelle Lainé(エマニュエル・レネ)1973年パリ生まれ、マルセイユ(フランス)在住
展覧会ごとにその場特有の性質に着目し、その施設の属性や会場の建築的要素を取り込み、また、そこで働くスタッフの職場環境に取材するなどして、サイトスペシフィック・インスタレーションを制作。実寸大の写真に有機物や日用品など身近なものを組み合わせたインスタレーションは、ヨーロッパを中心に各地で発表されている。主な個展として、ヘイワード・ギャラリー/ヘ二・プロジェクト・スペース(2018/英国)、FRACシャンパーニュ-アルデンヌ(2018/フランス)、パレ・ド・トーキョー(2017/フランス)、主な国際展にリヨン・ビエンナーレ(2015/フランス)がある。
4月6日~5月6日滞在作家:
呉夏枝(お はじ)1976年大阪生まれ、ウロンゴン(オーストラリア)在住
染織、刺繍、編む、結ぶなどの技術による制作を基点に、テキスタイルや写真、音声を用いた空間的な作品を発表している。布にまつわる行為から、ワークショップや対話を通じて、言葉にされることのなかった人びとの物語や生とともにある記憶を収集し、自らの作品のモチーフヘと展開する。近年の展示に「東アジア文化都市2018金沢『変容する家』-Altering Home-」(2018/金沢市内)。2014年より、オーストラリア、日本、韓国の間を、海を越えて渡った人びとの軌跡を調査し歴史と織り交ざった個人の物語に目を向ける試みとして、連作「grand-mother island」プロジェクトに取り組んでいる。
末永史尚(すえなが ふみなお)1974年山口生まれ、東京在住
日常的に目にする物や、美術作品をとりまく状況や空間に目を向け、その視覚的な特徴をもとにした絵画・立体作品を制作している。対象のイメージを写しとったり、その特定の要素を拡大または抽出するなど、ありのままとは少し異なる対象の姿をみちびきだすことで、描くことの本質的な意味をひらく連作に取り組んでいる。主な展示に「APMOA Project,ARCH vol.11 末永史尚『ミュージアムピース』」(2014/愛知県美術館)、「開館40周年記念 1974 第1部 1974年に生まれて」(2014/群馬県立近代美術館)。
潘逸舟(はん いしゆう)1987年上海生まれ、東京在住
等身大の個人の視点から、社会と個の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自らの身体を用いたパフォーマンス性の高い映像作品、インスタレーション、写真、絵画など様々なメディアを駆使しながら、真摯に、時にユーモアも交えながら表現している。主な個展に「The Drifting Thinker」(2017/上海MOCAパビリオン)、「私たちの条件」(2017/URANO、東京)、グループ展に「ln the Wake -Japanese Photographers Respond to 3/11」(2015/ボストン美術館、米国)、「Sights and Sounds:Highlights」(2016 /ジューイッシュミュージアム、米国)など。
▼長期ワークショップ
ダンサーで振付家の砂連尾理(じゃれお おさむ)が「変身」をテーマに怪我や老い、障害、性などについて参加者と語り合い、身体表現へと転換していく長期プロジェクトを行います。2019年1月の説明会を経て、3月にワークを開始して以降、毎月1~2回のワークおよび合宿を経て、2020年1月に成果を発表します。
砂連尾理(じゃれお おさむ)1965年大阪生まれ、東京在住
1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。 2002年、「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2002」にて「次代を担う振付家賞」(グランプリ)、「オーディエンス賞」をW受賞。04年、京都市芸術文化特別奨励者。 08年度文化庁・在外研修員としてベルリンに1年滞在。近年はソロ活動を中心に、ドイツの障がい者劇団ティクバとの「Thikwa十Junkan Project」、京都・舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」、宮城・閖上の避難所生活者への取材が契機となった「猿とモルターレ」等を発表。著書に『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉-ダンスのような、介護のような-』(晶文社)。
②パブリック・プログラム 土/日/祝日に開催
観て、聴いて、対話しながら「いま、必要な場所」をともに考える機会として、アートや映画、音楽、ダンスなどさまざまなジャンルのイベントをひらきます。
③カフェ 毎日開催 *休館日をのぞく
高校生が美術に触れるきっかけづくりとして実施してきた当センターの教育プログラム「高校生ウィーク」。その一環で、2004年以来、毎年春にカフェをギャラリー内ワークショップ室に開設してきました。15年目となる今回、高校生のギャラリー入場が通年無料になったことをふまえ、よリ多世代・多目的な場としてカフェをひらきます。
家族で安心して過ごせるエリアやのびのび描けるお絵かきコーナー、そしてアーティスト関連書籍や推薦図書、裁縫・工作のための道具を常備、セルフサービスで利用できるコーヒーやお茶を飲みながら、思い思いに過ごせる場として展開します。さらに、アーティストのパフォーマンスや、朝ごはん会、部活動などさまざまな活動が起こる舞台にもなります。