開催時間 |
12時00分 - 19時00分
日曜 12時00分~17時00分 |
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休み |
月・火・祝日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
waitingroom
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒112-0005 東京都
文京区水道2-14-2 長島ビル 1F |
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最寄り駅 | 江戸川橋 |
電話番号 | 03-6304-1877 |
WAITINGROOM(東京)では、2019年2月23日(土)から3月24日(日)まで、エキソニモの個展『LO』を開催いたします。エキソニモは、千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成されたニューヨーク在住のアートユニットです。インターネット上での作品発表を皮切りに、独自の手法とハッキングを思わせる感覚でインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズなど、多岐にわたる活動を行い、日本のインターネットアートを20年に渡り牽引してきました。当ギャラリーでは初、国内では実に6年ぶりの個展となる本展は、「不完全なメッセージ」をテーマに新旧作織り交ぜた作品群で構成されます。去年水戸芸術館でのグループ展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』で展示された2台のモニター作品《I randomly love you / hate you》の他に、本展のテーマに基づいて制作される新作、また過去作品からリミックスし直した作品などを展示いたします。
作家・エキソニモ(exonemo)について
千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。1996年にインターネット上で活動を開始。2000年から実空間でのインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズ等へ活動を広げます。2006年、世界的なメディアアート・フェスティバルであるアルス・エレクトロニカのネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞(大賞)を受賞。2012年には10数名のメンバーと共にIDPW(アイパス)を組織し、「インターネットヤミ市」をはじめとするイベントを国内外で開催。2015年からはニューヨークを拠点に活動中。近年の展覧会として、2018年グループ展『メディアアートの輪廻転生』(山口情報芸術センター[YCAM]/山口)、『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』(水戸芸術館/茨城)、2018年個展『The Life-Cycle of Interfaces』(New Media Artspace gallery, Baruch College Library/ニューヨーク・アメリカ)、2016年グループ展『Spirit and Digit』(Electro Museum/モスクワ・ロシア)、2013年個展『TO THE APES』(三菱地所アルティアム/福岡)などが挙げられ、開催中の『オープン・スペース2018 イン・トランジション』(NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]/東京)では、3月10日までGoogle社が所蔵している作品《Natural Process(2004年制作)》が約14年ぶりに公開されています。
アーティスト・ステイトメント
“本展のタイトル『LO』は、1969年(今から50年前)にインターネットの原型となるARPANETの最初の通信実験で送信されたメッセージです。「LOGIN」と入力しようとしたところ、「LO」を送信した後にシステムがクラッシュ。続く「G」は送信されず、この2文字がインターネットの世界を切り開いた言葉になりました。エキソニモは、世界が分岐したとも言えるこの「LO」に続く言葉が「G」でなかったら、それは「VE」だったかもしれない(LOVE)、「L」だったかもしれない(LOL)と、想像を巡らせました。「不完全なメッセージ」が現在をこのように形作ったということは、ある意味示唆的です。メッセージが不完全であるからこそ、逆に伝わるものがあり、そこから異形の何かが生み出されることがある。この展覧会は、エキソニモの新作と旧作(リミックス含む)を構成し、そこから不完全なメッセージを立ち上げ、それに続くものを鑑賞者に問いかけるものになるでしょう。”
エキソニモ
情報空間と感情空間の間を様々なメッセージが行き来する場所
スマートフォンが震え、画面を見ると「新着メッセージがあります。」というような光景は、今やあまりに日常的な風景です。誰かから誰かへのメッセージがどこかの場所を中継することなく、情報空間のみを伝わって本人の手元に届く。郵便が主な通信手段であった以前は、郵便局という「場所」が大量の誰かから誰かへのメッセージの中継地点でした。今回エキソニモが「不完全なメッセージ」というテーマを選んだのは、ギャラリーの場所が元郵便局跡地だということにも興味を持ったからかもしれません。
Windows95が発売されたばかりの1996年にインターネット上でソフトウェアを発表し活動を開始、その後現実世界でのインスタレーションやイベントオーガナイズへと活動を広げたエキソニモの近作は、必ずしもインターネットに同期していたりテクノロジカルな要素のみで構成されているわけではありません。2012年に結成したIDPW(アイパス)は、現実世界に「インターネット的」なものを持ち込み、ネットショッピングがこれほど日常的になった現代で、足を使って赴く必要のあるマーケット「インターネットヤミ市」を世界各地で開催しています。さらに、2018年に水戸芸術館(茨城)で開催された展覧会『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』で発表した、モニター2台に映し出された約20種の顔がまるでキスをしているかのように合わさって設置されている《キス、または二台のモニタ》や、2台のモニターの中でLoveとHateがついたメッセージが会話し合う《I randomly love you / hate you》の制作を経て、これまではメディアそのものへの関心に基づき制作をしてきた彼らですが、近作に表れている「メッセージ」や「エモーショナル」なものへ関心が移行してきていることに気がつきました。
例えばSNS上のフォロワー数やそのコメントの数々に私たちは気持ちを左右されてしまう、つまりはネットとは感情を増幅する装置なのだと彼らは言います。情報と感情は直結しているため、テクノロジーや情報空間の進化の加速に伴い、人間の感情の形は今後どのように変化していくのでしょうか。情報の網目が無限に繋がっていく中で、それは個人的な感情や人間関係から、社会問題、世界情勢などに多大な影響を及ぼしていきます。実世界とは別にこういったバーチャルな空間が広がれば広がるほど、実際の場所で起こっていること、実際の人間の感情に触れることが、より一層重要な時代になっていくのではないでしょうか。
デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がけてきたエキソニモ だからこそ作れる、情報空間と感情空間の間を様々なメッセージが行き来する場所を、かつて大量な誰かから誰かへのメッセージの中継地点だった郵便局跡地のギャラリー・WAITINGROOMに作り上げます。そこに立ち上がる不完全なメッセージの数々に続く世界を、鑑賞者はどのように想像するのでしょう。
ぜひご期待ください。
本展のオープニングレセプションを、初日の2月23日(土)に開催します。ニューヨーク在住の作家も在廊いたします。なお、レセプション前の時間帯も、通常通り12時からギャラリーはオープンいたします。