開催時間 |
11時00分 - 19時00分
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休み |
月曜、火曜 12月24日は営業
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
ARTFRONT GALLERY
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒150-0033 東京都
渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラス A 棟 |
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最寄り駅 | 代官山 |
電話番号 | 03-3476-4869 |
この度アートフロントギャラリーでは、冨安由真の個展を開催致します。
冨安由真は1983年東京出身。
2005年から2012年までロンドン芸術大学にてアーティストとしての基礎を学び、MA Fine Artを取得。帰国後東京藝術大学大学院に進学し、2017年には同大学院博士課程にて博士号を取得している。ロンドン在住時の2010年からJerwood Drawing Prizeに入選するなど、技術的にも早くからその才能の片鱗を見せる。近年では従来の絵画表現に加えインスタレーション作品を展開。2018年の岡本太郎現代芸術賞にて特別賞を受賞するなど着実にその成長を見せている。昨年はこの岡本太郎現代芸術賞での展示に加え、北九州市立美術館と資生堂ギャラリーにて2つの個展を開催、特にshiseido art egg はそれまで無名の新人としては、驚くほどの集客を見せ、観客が最長2時間待ちという長蛇の列を出現させ話題となった。冨安の作品の特徴は、現実と非現実の狭間を意識させるところにある。
心霊現象や超能力といった科学で解明できないこと、または説明がつかない現象は、科学万能の現代においては「オカルト」と呼ばれ、目の錯覚や精神面での不安定が生み出す幻想のように脈略のない価値観として排除される傾向にある。しかし冨安はあえてそのことに目をむけ、自らの幼少時の体験に加え、このような現象を体験した人々の声に耳を傾け、これら「日常における奇妙な体験」を彼女のイメージを元に再現された部屋型のインスタレーションの中に仕掛けを組み込みそのシチュエーションを現実のものとして創造する。
その空間に立ちいったものは、まるでホラー映画の一場面に迷い込んだかのようにそれらの現象を体験するなかで、現実と非現実の狭間を見失い、ありもしない仕掛けの話をし始める。 説明のつかない現象と証言がこの作品より生まれてくる頃に、現代の科学者気取りでそれらの現象を否定してきた我々は思いも寄らぬ非現実に出会い、そこで初めて現実の不確かさを知ることになるのである。冨安の作品は昨年森美術館で話題になったレアンドロ・エルリッヒや、各地の芸術祭において高い集客率を誇る目など、近年流行っている体験型という点では近似でありながら異なるだろう。冨安のインスタレーション作品はお化け屋敷のような単なるエンターテイメントではなく、その空間での体験を通して、経済と科学の発展が否定し見落としてきた不確かな存在への新たな扉であり、そのシチュエーションを観客に用意するステージ型インスタレーションと呼べるかもしれない。アートフロントでは今回、このステージ型インスタレーションにアップデートを施した最新版と数点のペインティングを発表する。資生堂やTARO賞で見逃した方には必見の展示となるかも知れない。アートフロントの作家の中でも新世代を感じる冨安の新作を是非ご高覧いただきたい。
鏡とも静かに呼応しながら、その奥のほうへと私たちを導く。あるいはむしろ、それらの絵画や鏡が一つの仕掛けとなって、これらの空間の中に無数に隠された何かを私たちに気づかせ、そのメッセージの読み解きを促すのかもしれない。
冨安が仕組んだ現実と、非現実の夢の世界との隙間。それは、鑑賞者自身の身体に直接働きかけて私たちを驚かせ、象徴のような謎を読み解こうとする知的好奇心をくすぐって私たちを魅了する。
冨安由真のインスタレーション
資生堂ギャラリー キュレーター 伊藤 賢一朗
冨安由真は、入り組んだフレームで仕切られたいくつかの部屋の中から奇妙な世界が立ち現れる巨大な作品をつくる。それらの部屋には、絵画や鏡が壁に掛けられていて、冨安が収集してきた家具やさまざまな日用品がさり気なく配置されている。私たちは、こうした部屋の中で、突然の音や動き、光の明滅をともなった現象に遭遇し、奇妙な平衡感覚を覚え、驚き、その不可思議な空間世界を経験することになる。
この綿密に構成されたインスタレーションの内部は、私たちの日常的な空間に埋め込まれた現実と非現実の隙間をあらわにするような詩的な空間のシナリオをつくり出す。対比された部屋のコントラスト、部屋の中で体験する倒錯した空間感覚。そこには随所に、冨安が仕込んだ象徴的な意味合いの隠されたディテイルがあり、微妙な光が醸し出すドラマティックな瞬間が挟み込まれた虚構の世界への入り口が見え隠れする。
その入り口を探すには、冨安がつくり出す空間のどこか一つの場面をいったん写真に撮るとよい。そこに写されるものは、日常の静物や珍しい品々の細密なイメージ、画中画(絵の中に描きこまれた絵)のような入れ子の世界、光と影の演出的な効果など、一見すると17世紀のオランダ風俗画の室内のような絵画の世界を彷彿させることだろう。鏡に映った正反対の世界、二次元に凝縮された奥行きのイリュージョン。こうした幻想的な空間を体験することによるイメージの経験は、各々の部屋の壁に掛けられた絵画や
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