企画展「アラワシの詠(うた)」
会期: 2018-11-10 - 2019-01-20
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
開催内容
本展は、詩人 吉増剛造の多様な創作スタイルと、企画展「涯テノ詩聲 詩人 吉増剛造」に着想を得て構想しています。
「詩人」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょう。
文字を推敲して詩作をしたり、できた詩を朗読する人、でしょうか。従来の詩のイメージで吉増を見ると、活動の多様さと幅の広さに驚かされます。「全身詩人」とも評されるその多様な仕事は総じて「詩」であり、他にない存在感を放っています。いつのまにか「詩人」や「詩」というものの持つイメージは崩れ、なにかを表現することに「決まったかたちはない」ということに気付かされます。
では「詩」が詠まれるとき、そこではなにが起きているのでしょう。
隠されていた大切な「なにか」が顕わにされ、もしくは未知の価値がたち現わされているような、そんな感覚を覚えます。そしてそれらは愛おしまれるようにして、ここに詠い留められ、もしくは解き放たれ、私たちに届けられているようです。
本展では、吉増をはじめ、様々な手法でなにかをアラワし、詠うように留める7組の作家を紹介します。それぞれの「なにか」を味わいつつ、表現というものの多様さと、その力を感じていただければ幸いです。
【みどころ】
表現に決まった方法はない!「詩」をテーマにした展覧会
詩人・吉増剛造をはじめ、様々な手法でなにかをアラワし、詠(うた)うように留める7組の作家を紹介します。
浅見俊哉はまばたきの瞬間をアラワした写真、上田假奈代は大阪・釜ヶ崎で“おっちゃん”たちと作った詩や創作物、鈴木ヒラクは言語以前の言語を彷彿させるドローイング、富塚純光は文字と絵を織り交ぜた虚構のストーリー、中村和暉は気になった言葉の朗読とそのドローイング、宮川隆は まじないやお告げのようにも見える「絵」を展示予定。吉増剛造は、手記や、多重露光の写真、震災以降に書いた詩「怪物くん」、原稿のうえに色鮮やかなドローイングが重なる「火ノ刺繍」などを中心に展示予定です。
詩人・吉増剛造に着想を得た展覧会。福島県内3箇所で開催。
時代の先端で表現を切り開き多彩な活動を展開する詩人・吉増剛造。吉増氏が福島で創作した作品、あるいは福島ゆかりの作品、関連資料を福島県内の文学館・美術館・博物館の3館で展示します。各館の専門領域に関連した展示で吉増氏の福島県での足跡を辿り、その表現を通して震災前の福島の豊かさと震災後の姿に向き合います。
来館者も「アラワス」ことができる様々な常設ワークショップ
展覧会を鑑賞したあとも、子どもから大人まで楽しむことができるワークショップがあります。上田假奈代(釜ヶ崎芸術大学)の展示では、来館者が自由に書に書いてアラワスことができるスペースが登場。
またカフェスペースでは、はじまりの美術館がある福島県猪苗代町出身の連歌師・猪苗代兼載にならい、「連歌」を体験できるコーナーも登場します。
【出展作家について】
浅見 俊哉(あさみ しゅんや)
1982年 東京都生まれ・埼玉県在住。美術家・写真作家・造形ワークショップデザイナー。2004 年頃から、「時間」と「記憶」をテーマに写真作品を制作し始める。
上田 假奈代(釜ヶ崎芸術大学)(うえだ かなよ/かまがさきげいじゅつだいがく)
1969年 奈良県生まれ・大阪市西成区在住。釜ヶ崎芸術大学は2012年スタート。大阪市西成区通称・釜ヶ崎を中心に ときどき全国・世界各地で釜芸を開催、展覧会なども行う。
鈴木 ヒラク(すずき ひらく)
1978年 宮城県生まれ、神奈川県育ち。アーティスト。ドローイングと言語との関係性を主題に、平面/インスタレーション/彫刻/パフォーマンス/映像など多岐に渡る制作を展開。
富塚 純光(とみづか よしみつ)
1958年 兵庫県西宮市出身・在住。1993 年すずかけ絵画クラブにて絵画制作を始める。2010年「ART BRUT JAPONAIS」出展〔アル・サン・ピエール美術館(パリ)〕。
中村 和暉(なかむら かずき)
1998年 大阪府出身・在住。2016年 アトリエコーナス入所、制作を始める。2017年「ポコラートvol.7 全国公募展」形にならない部門 入選・優秀賞受賞。
宮川 隆(みやがわ たかし)
1955年 沖縄県生まれ・東京都在住。グラフィック・デザイナー。1993 年ごろから「絵」を描きはじめ、その後「カンカカリャ」(宮古島に古くから伝わる霊能者) となる。
吉増 剛造(よします ごうぞう)
1939年 東京生まれ。慶應義塾大学国文科卒業。在学中から詩作を始め、1964年の第一詩集『出発』以来、先鋭的な現代詩人として国内外で活躍。2003年紫綬褒章、2013年文化功労者、2015年日本芸術院賞。