相川勝展
会期: 2018-11-10 - 2018-12-15
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
開催内容
アマラは2018年11月10日(土)より相川勝展を開催いたします。
相川は過去の展示において、AC/DCやピンク・フロイド、クラフトワークなど数々のミュージックCDの名盤と言われる複製作品(すべて作家自身が手描きでジャケットやライナーノーツ、プライスシール、帯などを再現した上に、アカペラでアルバム全曲を収録)を発表し、注目を集めました。また、現代美術家・小沢裕子と共作し、「rhythm」(展示会場の隅に座る監視員のまばたきと会場照明を同期したインスタレーション)や、ピンホールカメラやWebネットワークを介して出力された監視カメラ画像を使用した作品など、既存の美術のフィールドを颯爽と飛び出しながらも、私たちに非常に身近なものをメディア(媒介)として鑑賞者を現実から遠ざけ、非現実的な着地点から私たちが無意識に過ごしていた現実を肯定させるような創作活動を続けてきました。
今回の展示では、PCで出力した映像を暗室内でゼラチンと写真感光乳剤を塗装した木製パネルにPCの画面を投影したプロジェクターの光を感光させ、後に現像処理した写真作品を展示します。また、会場には、麻布(=実在)と映像(=架空)を同時に感光させるインスタレーションも設置します。そのほか、Webネットワークを介して出力された監視カメラ画像、スマートフォンで撮影した実在する風景も合わせて展示する予定です。
現実とは別のもう一つの架空の世界を提示することで、私たちのリアルな感覚を問いかけてくる相川の刺激的な最新作品をぜひこの機会にご高覧ください。
《本展に寄せて:相川勝》
今この瞬間にも膨大なイメージが生まれ、そして瞬く間に消費されていきます。そのイメージは実在するのか架空のものなのか検証する間もなく目の前を通り過ぎいていきます。
そのイメージにふれる度に、イメージは、だれにでもその存在が認められるものとして、そこにあるというあたりまえの前提なく存在し、私を不安にさせます。
私が私でいるためには常に判断しなくてはならず、それは私が私自身であるという存在を問われています。作品の表面にあるプロジェクターのグリッドはちょうど現実とイメージの間にある境界線です。私にはそのグリッドが鉄格子のようでもあり、頼もしくもあります。
例えば、高度なグラフィックのゲームや映画などの架空から、現実の実在に戻る時に感じる一瞬の揺らぎ、その揺らぎは精神が格子を通過する時の触覚とも言えます。
私たちは常日頃から実在と架空の間を行き来し、格子を通過する度に不安と安心、快楽と苦痛を感じています。ただその格子の触覚が実在と架空とを認知する新しい感覚器なのかもしれません。