EVERYDAY HOLIDAY SQUAD 開閉しろ都市 Part.1「渋谷の部屋」
開催概要
- 会期
- 2017年11月17日 〜 2017年12月22日
- 会場
- SNOW Contemporary (東京都港区西麻布2-13-12 早野ビル404)
- ジャンル
- アート
- タグ
- オープニングレセプション、インスタレーション
開催内容
SNOW Contemporaryでは『開閉しろ都市』と題して、2017年は11月17日よりEVERYDAY HOLIDAY SQUAD(エブリディ・ホリディ・スクワット、以下EHS)『渋谷の部屋』、2018年1月12日からSIDE COREのディレクターの一人である、松下徹による『常磐の部屋』を開催します。EHSは彼らと行動を共にするSIDE COREと同様に、複数人のアーティスト達が関わるアーティストコレクティブであり、公共空間に存在する閉ざされた/不可視化されたレイヤーを、悪戯や落書きの延長線上の行為として可視化させる集団です。
EHSは、東京の不可視化された地下空間である暗渠(あんきょ)に潜り込み、誰も見ることができない壁画制作をしたドキュメント『unknown』(ANAGRA、2015)や、社会の中で不確定な存在として扱われるホームレスたちと共作した写真作品や立体作品『STREET MATTERS』(Block House、2017)などを発表。また石巻にて行われたReborn-Art Festival(2017)では夜間工事現場がスケートパークに置き換わる映像作品で、注目を集めました。
今回EHSは、渋谷の街が表象する社会の歪みに介入した新作を発表します。オリンピックによる再開発が進む渋谷の街で、かつては誰でも入れた宮下公園は、現在は白い壁が建てられ、誰も入れない場所となっています。EHSはその壁の内部空間を利用した作品を発表します。また他の作品においては、近年取り締まりが厳しくなる自転車の駐停車の問題に着目し、放置自転車をパブリックアートへ変えるプロジェクトを展開します。その他の展示される作品も全て、この東京の街で、そして渋谷の街中で起こっている変化を読み解き、そこに介入していくことで作り出されます。今の渋谷は、かつての「若者の街、自由の街」というイメージとは異なります。しかしEHSはそのような現在の渋谷こそが、新たなストリートカルチャーが生まれる可能性を持った場所だと考えているのです。
展覧会は室内空間のみならず、SNOW Contemporaryの位置する西麻布の街、そして渋谷の街の中に作品をインストールします。彼らは彼らの参照元であるストリートに直接的に変化をしかけます。EHSは鑑賞者に変化した街を見せるのではなく、EHSが街を変化させていく過程を鑑賞者が見つめることで、彼らは鑑賞者との共犯関係を結びます。共犯関係は、19世紀には崩壊したと言われる公共圏を新たに作りだす行為、つまり大衆の感情や行動に悪戯をしかけることで、権力の無化を試みます。Squad roomは警官の執務室[点呼室・たまり場]を意味しますが、彼らは自分たちのSquad room(たまり場)を作る遊びをするのです。EHSが私たちに見せる現在の都市の変化を、ぜひご体感ください。
アーティストステイトメント
EVERYDAY HOLIDAY SQUAD(エブリディ・ホリディ・スクワッド)は、ストリートカルチャーに関わる、不特定多数のSQUAD(集まり)です。私たちはデザイナー、映像ディレクター、アーティストやグラフィティライター等々の人々で構成されています。それぞれの目が集まって都市空間を見る行為は、複眼のようでもあり、私たちに共通した「斜め」からの視点は、新しい何かを発見する好奇心とも繋がります。
都市を見る視点は、建築や都市開発、政治や地域社会とは異なります。厳密に言えば、私たちの文化背景であるグラフィティやストリートアートの視点とも異なります。私たちの斜めの視点は「ストリートアート」よりも「遊びや悪戯」の延長線上にあり、それは「街を自分たちの遊び場に変えていく」というアイデアに基づきます。なぜなら現在の東京の都市空間での自由な活動は、社会的な制約が厳しく、街を遊び場とするには複眼と斜めの視点、つまりアイデアの駆使が求められるからです。
今回の展覧会『開閉しろ都市』は第一期と第二期に分かれています。EVERYDAY HOLIDAY SQUADが参加する第一期『渋谷の部屋』は、渋谷の街が題材です。1970年代からユースカルチャーのメッカとなった渋谷は、2010年代から大人の街へとシフトをはじめ、現在はオリンピック誘致に向けて都市設計が進行し、ユースカルチャーの代名詞の歴史を閉じようとしています。
特に2017年に入ってからの建築ラッシュは凄まじいスピードで、かつてその場所に何があったのかを記憶するより早く、街の外観を変えていきます。春までは、スケボーやポケモンをしていた、ホームレスたちがいた宮下公園も、今では仮囲いされた白い壁です。そして白い壁の向こうにあったホームレスたちの段ボールハウスは壊され、瓦礫の山が置かれています。世界にはたくさんの分断の壁がありますが、宮下公園の仮囲いの壁もそれらと同じように、権力の象徴です。私たちはこの展覧会で、一時代を閉じようとしている、権力に開かれている渋谷の街を「開け/閉じ」ます。
私たちは街を開くという一方、都市を閉じるとも言います。なぜなら現在開かれている/開発されている場所は、公共空間を閉じてしまった場所。そして閉じてしまった/囲ってしまった壁の向こうは誰もが遊べる可能性を含んだ場所だとも言えるからです。
私たちは街を自分たちの部屋の中ように遊びます。私たちは部屋の中での個人的な悪ふざけやいたずらにこそ公共の可能性を見ています。
今回私たちEVERYDAY HOLIDAY SQUADは渋谷の街を開閉する、いくつかの実践を試みます。