表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち
開催概要
- 会期
- 2017年10月17日 〜 2017年12月20日
- 会場
- パナソニック汐留美術館 (東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F)
- ジャンル
- アート
- タグ
- 油画、平面
開催内容
抽象絵画の創始者ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)と、20世紀フランス最大の宗教画家ジョルジュ・ルオー(1871-1958)。
本展は、色とかたちを軸として、カンディンスキーを中心とするドイツ表現主義とルオーが共鳴するさまを探る初の試みです。
20世紀の初め、ルオーが重視したパリのサロン・ドートンヌにカンディンスキーが出品を続け、カンディンスキー率いるミュンヘン新芸術家協会の展覧会にルオーが出品するという時期がありました。それぞれがフォーヴィスムとドイツ表現主義の拠点となった展覧会で、互いの運動への関心を深めていたこともうかがえます。
また、ドイツ表現主義の画家たちとルオーが共有していた感覚を、彼らの作品の色彩やモティーフに見出すこともできます。やがてカンディンスキーは「内的必然性」に導かれて抽象絵画に至り、彼と交流を深めていたパウル・クレー(1879-1940)も独自の抽象世界を築きます。ルオーもまた、彼の内的必然性に従ってキリスト教の信仰に根差した独自の絵画を追求しました。
本展には、国内有数のカンディンスキーやクレー、ドイツ表現主義絵画のコレクションを誇る宮城県美術館の作品を中心に、パリのルオー財団や国内の美術館などから、油彩画を中心に水彩画、版画、デッサン、書籍など、貴重な作品約130点が出品されます。
1章 カンディンスキーとルオーの交差点
ミュンヘンを拠点に、色彩の響きに満ちた新しい絵画の制作に邁進していたカンディンスキーは、1904年、パリのサロン・ドートンヌに初めて出品し、以降1910年まで出展を続けます。1906年にはパリ郊外に長期滞在し、当時ルオーか館長を務めていたモロー芙術館も訪ねています。一方、ルオーはサロン・ドートンヌを本拠として色彩とフオルムによる独自の表現を探求していましたが、1910年には、カンディンスキーが会長のミュンヘン新芸術家協会の展覧会で絵画を出品しています。色彩と向き合うことで旧来の芸術を乗り越えようとした二人の足跡が交錯します。
2章 色の冒険者たちの共鳴
不安や焦りなど個人の精神のありようを色彩や形態に置き換えて表現しようとしたドイツ表現主義の運動は、ドレスデンのグループ「ブリュッケ」を端緒として、ミュンヘンのカンディンスキーが新しく始めた「青騎士」の活動へと緩やかにまとまりながら展開します。彼らは、自然回帰的でプリミティプ(原始文明)な表現や、「今ここ」からは失われた中世や古代などの理想化された光景を表現に取り入れました。彼らと、人間や事物の外見を超えて本質に迫ろうとしたルオーには、背景となる文化を超えた同時代的な親和性が感じられます。
3章 カンディンスキー、クレー、ルオー
ーそれぞれの飛翔
やがてカンディンスキーは、現実の事物の外観を飾る役割から解放された色彩が形態と共に響き渡る抽象絵画へと歩を進めます。また、1911年以来カンディンスキーと交流を深めていたパウル・クレーも彼独特の抽象世界を展開しました。一方ルオーは、キリスト教の信仰に根差した独自の絵画を追求し、その晩年の作品からは輝きに満ちた色彩かあふれるようです。彼らはそれぞれに色の冒険に挑み、表現の大きな地平を切り拓きました。