小西 紀行 「群れの記憶」

開催概要

会期
2017年09月02日 〜 2017年10月08日
会場
URANO (東京都品川区東品川1-33-10-3F)
参加クリエイター
小西紀行
ジャンル
アート
タグ
平面

開催内容

 小西紀行は、幼少期の自身を含めた家族、あるいは、ごく少数の身近な人々のスナップ写真を元に、群像形式の人物画に繰り返し取り組んできました。 それら匿名性に覆われた登場人物たちは、揺れ動き定まらない身体を捉えるかのように、大きくうねるような自由な筆致と、鮮やかで深い色彩で描かれ、その身体や目鼻立ちは記号的かつ多角度的で、人種・年齢・性別などの個性を示す要素は全て剥ぎ取られています。 一方で、人物たちの互いの関係や、空間と身体のバランスは、入念な思考を凝らして描かれ、集団で身を寄せ合う人物たちが垣間見せる親密な様、あるいは緊張感までもが伝わってくるようです。

 小西は、現在開催中の 「ヨコハマトリエンナーレ2017−島と星座とガラパゴス」 で新作絵画によるインスタレーションを発表している他、 近年は、個展 「私たちの習性」(Aike Dellarco / 上海 /2017年)、 「コレクション展2 ダイアリー」(金沢21 世紀美術館 / 2017年)、 「カンバセーション_ピース:かたちを( た) もたない記録」(武蔵野市立吉祥寺美術館 / 2016年) 、 「Art Basel Hong Kong 2014」 ディスカバリーズ・セクター個展、「ノスタルジー& ファンタジー:現代美術の想像力とその源泉」 (国立国際美術館 / 2014年)、 「絵画の在りか」 (東京オペラシティアートギャラリー /2014年)など、国内外の展覧会やアートフェアに参加、また、2016年には 「Prudential Eye Awards」のファイナリストに選出され、シンガポールのアート・サイエンス・ミュージアムで展示するなど、数多くの作品を制作する中で、自身の意識の幅のようなものが、自然と押し広げられつつあると作家は言います。

我々の群れの記憶
人間は本質的に人間にしか興味がない。
群れ (herd) という言葉が適当かどうかはさておき、
我々が同一種類の刹那的な集合体だとして、
我々の群れの記憶を呼び起こす。
もしくは描き留める。
そんな絵を。
‒小西紀行 日記より

 かつて人類がサバンナで狩猟採集をし、移動しながら暮らしていた時代には 「群れ」とは血縁関係のある小さな集団= 「家族」 のことでした。 現代の人間社会では「群れ」は巨大な集団となりましたが、その集団を主に構成しているのは利害の一致する集団= 「社会」であり、 「家族」を優先させる行為よりも 「群れ」への貢献こそ本質的に価値のあるもの、といった幻想が広まり、 人間は 「群れ」 と 「家族」 の間で揺れ動く存在となりました。
 小西の描く群像は、特定の誰をも表していないようでいて、その実、誰しもを表しているようで、時折、小西が知るはずのない、鑑賞者自身の記憶の中の家族の肖像を見ているような感覚を覚えます。 それは、イメージと想像力との果てしない相互作用が繰り返された結果の現れであり、絵の具を叩きつけ擦り取るといった身体的な痕跡や色彩が複雑に重なり合い、「肖像画」 というある種の制約の中にありながらも、 最大限の可能性を引き出し、 時に野生的ですらあります。
小西は、乖離し、ついには対立してしまった 「群れ」 と 「家族」 の価値観を再び融合させ、 人間の手に取り戻そうとしているのかもしれません。

 本展では、約10 点の新作を発表いたします。

小西 紀行 「群れの記憶」