永瀬武志 「生きている-super painting-」
会期: 2011-06-03 - 2011-06-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
平面
開催内容
昨年花をモチーフにした作品のみで個展を行った永瀬武志が、本展では「女性の顔」をテーマにドローイングを含めた新作約10点を発表します。実物のそれより遥かに拡大されてなお写真的リアリティを保つ永瀬の描く作品。エアブラシによってキャンバスに吹き付けられた塗料粒子の結晶としての「人物」に出会う時、鑑賞者の中には様々な思いが立ち現れる事でしょう。
その写実性を極めた技術への純粋な驚き
柔らかく深みある瞳と直面する事への戸惑い
生き生きとした表情が語るその人物のもつ文脈への共感
古典的な写実絵画における女性モデルは、その身体の客観的な「美しさ」を讃えますが、永瀬描く女性からはその人物のもつ内面が滲み出るかのよう。自身と関係が深い人物をモデルにし、写真を撮り、作品化していく…そのプロセスには作家の視点、そしてモデルの視点も介入し、情緒的な何か、個人史的な何かが画面に入り込んでいく。永瀬の作品と対峙した時に起こる感情は、実際に「人物」に出会った時の、戸惑いや感動に似ているのかもしれません。
ただ、このような反応は決して意図的に生み出されているものでは無いと永瀬は言います。作家にとっては描くモデルの選択、その写真の特定やトリミングさえも、絵画表現の目的ではなく、あくまで客観的な設計図でしかありません。
それゆえ、永瀬の描く人物やその構図には幅があるのです。光の中に溶けていくような美しい横顔。顔をくしゃっと歪ませてその感情を真っ 直ぐに表現する笑顔。その多様な表現に、作家からの答えはありません。だからこそ人物としての「リアリティ」が画面に宿り、作品との「出会い」となりえるのでしょう。