梅花美月展

開催概要

会期
2016年10月24日 〜 2016年10月29日
会場
K's Gallery room B (東京都中央区日本橋久松町4-6杉山ビル4F)
参加クリエイター
梅花美月
ジャンル
アート
タグ
平面

開催内容

ひたひたの記憶-梅花美月の造形をめぐって

 常陸国の名は一説に、この地を訪れたヤマトタケルノミコトの袖が泉に偶然「ひたった」ことに因むという。旅の途上で衣をうっかり濡らしてしまった英雄の姿は、後年あてがわれた「常陸」という字面の堅牢な印象ともまた異なり、微笑ましい雰囲気が漂う。
梅花美月が制作の拠点とするのは、その北部にある「西ノ内和紙」の生産地だ。その仕事は水分をたっぷり含んだ桔の繊維をメッシユ状のパネルに平置きすることから始まる。まもなくそこからはしずくがぽたぽたと落ちはじめ、やがて最も造形に適した時間が訪れる。そして和紙とは異なる運命を得たその素材は、与えられた色彩を吸い込みながらひとつの作品へと成長していく。
 その結果として現出した画面はまるでランドサットが捉えた常陸国の地表のようであり、その一部は叢雲のようでもある。そして、水を介して生み出されたその造形は、かつてひたひただった頃の記憶をその深層にとどめているにちがいない。
(文・山内斜子/キュレーター)

梅花美月展