約束の船・2016 安藤栄作

開催概要

会期
2016年08月19日 〜 2016年09月25日
会場
Gallery OUT of PLACE (奈良県奈良市今辻子町32-2)
参加クリエイター
安藤榮作
ジャンル
アート
タグ
トークイベント、レセプションパーティー、立体、彫刻、現代アート

開催内容

安藤栄作は、2011 年 3 月11日に起きた東日本大震災と巨大津波によって、アトリエはもとより保管していた作品など、家財の一切 合切を無くしている。
更に原発事故に追い討ちをかけられるように移住を余儀なくされ、現在は関西を拠点に制作活動を続けている。

昨年開催された【学園前アートウィーク 2016】(奈良市)で、私ははじめて安藤と一緒に仕事をさせてもらった。
ある大企業の社 長の古い邸宅がその舞台となったのだが、安藤はその一室に船あるいはカヌーの形をした木彫を設置した。
ただしその船は中央で 二つに切断されており、大きなガラスの窓越しに半分は野外に雨ざらしの状態で、半分は屋内に展示された。
まるでガラスの内側 から外側に向かって突き抜け、2つがつながっているかの様に...
安藤は何を意図してこの作品を創ったのだろうか? アートイベントのテーマ「イマココカラ」は、
空っぽになって行く日本の街(地域)に対して出展作家からなんらかの提言をし てもらおうと付けられたものであったが、
安藤は自身の体験を元に、世界に安全な場所などは無い、不安は大きくとも未来に 向けて漕ぎださねばならないと、
この作品を通して訴えていたように思える。船の形はしていてもそれは単なる乗り物ではな く、
我々に進むべきベクトルを示す方位磁石の針のようなものであったと、後日作家自身も語っている。

安藤には、昨年来それと同時進行で創り続けているもう一つの作品「ガザのこども達」というプロジェクトがある。
これは、2014 年イスラエル軍によるガザへの軍事侵攻によって犠牲になった、パレスチナのこども達の「鎮魂」のため に始まった作品だ。
安藤はまるでなにかに憑かれたかの様に、今も毎日休む事無く一体一体彫り続けているものだ。
現在そのヒトガタの数は、既に千体を越えている。
千体の木彫群を目にした者は、そこから強いオーラが発せられるのを感じずにはいられない。
それらはもはやガザの こども達を通り越え、世界中のすべての人間に向けられた安藤の強い「鎮魂」の思いに他ならない。

今回 Gallery OUT of PLACE では,'15~'16 に安藤の手によって彫り出された2つの別の作品が、敢えて同じ空間で展示 される事になる。
安藤が振り下ろす斧によって彫りだされた千体の「ヒトガタ」と、船の形を借りた木の造形物が指し 示す「ベクトル」。
そして穿たれた無数の刃の痕に、来場者はまさに日本の進むべき未来を透視する事になるだろう。 (文 : Gallery OUT of PLACE 野村ヨシノリ)

約束の船・2016  安藤栄作